加藤喬の法律コラム

最新の質問

昭和44年12月18日最高裁判決は、「夫婦の一方が右のような日常の家事に関する代理権の範囲を越えて第三者と法律行為をした場合においては、その代理権の存在を基礎として広く一般的に民法110条所定の表見代理の成立を肯定することは、夫婦の財産的独立をそこなうおそれがあつて、相当でないから、夫婦の一方が他の一方に対しその他の何らかの代理権を授与していない以上、当該越権行為の相手方である第三者においてその行為が当該夫婦の日常の家事に関する法律行為の範囲内に属すると信ずるにつき正当の理由のあるときにかぎり、民法110条の趣旨を類推適用して、その第三者の保護をはかれば足りるものと解するのが相当である。」と判 […]

2023年05月12日

総まくり講座2021では、中上級者向けに作成した総まくりテキストを使って授業を行っていましたが、総まくり講座2023では、入門講座でも使用している新しい基礎応用完成テキスト(総まくりテキストを入門講座にも対応した内容に作り直したもの)を使って授業を行っています。そのため、総まくり講座2023では、中上級者向けレベルのことに加えて、より基礎的なことまでテキストと講義に反映されております。なお、論点や処理手順について大きな変更はありません(例えば、見解の変更など、ある論点の理解そのものを変更した部分はほとんどありません。)。 また、授業のスタイルが変わり、常に画面上にテキストの該当箇所が表示されて […]

2023年05月11日

キーワードで絞り込み検索

最新の記事

「令和2年司法試験リアル解答速報」企画で作成した手書き答案を文字起こししたものを公開いたします。 科目ごとの雑感については、下記の記事をご覧ください。 労働法憲法行政法 民法商法民事訴訟法 刑法刑事訴訟法 . 労働法第1問 所要時間 81分(読む9分構成14分答案58分) 想定順位 10位以内 答案(手書き答案を文字起こししたもの) 約2300文字、1行あたり平均37文字 PDF化した答案はこちら 設問1 1.まず、月間180時間以内の労働時間中の時間外労働に対する割増賃金請求権(以下、「本件割増賃金請求権」とする)が発生しているか。 (1) XはY社との間で本件雇用契約(民 […]

0

刑事訴訟法における「強制の処分」の判断基準は、3つあります。 ①「個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加え」るかどうかという昭和51年決定が示した基準 ②「相手方の意思に反して、重要な権利・利益を実質的に制約する処分」かどうかという現在の有力な学説の示す基準 ③「個人の意思を制圧して憲法の保障する重要な法的利益を侵害する」か否かという平成29年大法廷判決が示した基準 ②は、重要権利利益実質的侵害説とも呼ばれる学説です。 ②では、「強制の処分」の要件は、㋐相手方の意思に反して、㋑重要な権利利益を実質的に制約するという2つに整理されます。 平成27年・平成30年司法試験の出題趣旨・採点実 […]

0

刑事訴訟法では、来年以降も、学説の対立が出題される可能性があります。 学説対立が問われる可能性がある分野の一つとして、無令状捜索・差押えが挙げられます。 無令状捜索・差押えについては、実質的根拠について相当説(合理説)と緊急処分説が対立しており、両説の対立が無令状捜索・差押えの許容範囲(時間的範囲・場所的範囲・物的範囲)に影響します。 無令状捜索・差押えについては、相当説と緊急処分説の違い(特に、緊急処分説の立場)について、正確に理解する必要があります。 相当説は、逮捕に伴う捜索・差押えが無令状で許容される実質的根拠について、逮捕の現場には証拠が存在する蓋然性が一般的に高く、令状裁判官の事前審 […]

0

令和2年11月25日に、”地方議会による議員に対する出席停止の懲罰の適否は、部分社会の法理により、司法審査の対象外である”とする村会議員出席停止事件判決等(最大判S35.10.19・百Ⅱ181)を変更する最高裁大法廷判決が出ました。 最高裁裁判所判例集はこちら   【目次】 1.従来の判例理論である「部分社会の法理」 2.学説の外在的制約論 3.令和2年11月25日大法廷判決の立場 (1)法律上の争訟性 (2)従来の「部分社会の法理」から「外在的制約論」へ変更 (3)司法審査では団体の自主性・自立性にも配慮する   1.従来の判例理論である部分社会の […]

令和2年予備試験論文試験で出題された論証のうち、どれだけ総まくり論証集に掲載されているのかについてご質問を頂きましたので、科目ごとに説明いたします。 結論から申し上げますと、令和2年予備試験論文と総まくり論証集は、全科目において、ほぼ100%対応しています。 . 憲法 犯罪被害者及びその家族等のプライバシーを保護するために「報道関係者」が「犯罪等」について「犯罪被害者等」に「取材等」をすることを事後的段階的規制(中止命令⇒罰則)により制限する立法の合憲性が問われた事案において、①取材の自由の憲法上の保障、②明確性の原則(憲法31条、21条1項)、③取材規制の憲法21条1項適合性(実質的観点)の […]

0

立証趣旨と要証事実の関係について、検察官請求証拠を念頭において、説明いたします。 立証趣旨は、争点となっている主要事実を立証するための証拠の使い方の指針みたいなものです。 立証趣旨をそのまま前提にするとおよそ証拠として無意味になるような例外的な場合を除き、立証趣旨を踏まえて要証事実を設定することになります。 このように、要証事実(証拠の直接の立証事項)は、原則として、立証趣旨を踏まえて把握することになります。 もっとも、立証趣旨を踏まえて要証事実を把握した場合に、必ずしも、立証趣旨と要証事実が同一事実を意味することになるわけではありません。 立証趣旨は、証拠により窮極的に証明しようとしている主 […]

0

4年前に平成28年司法試験の再現答案の添削・講評をしていて気になったのが、伝聞証言の理解を誤っている答案が一定数あり、そういった答案はかなり厳しい採点をされているということです。 刑事訴訟法では、出題趣旨や採点実感において理論面についてかなり高度なことが求められることがありますが、こうした場面で理論的におかしなことを書いても、さほど厳しい評価はされません。 しかし、基本中の基本について明らかに間違ったことを書くと、厳しい評価を受けることになります。 捜査であれば、「強制の処分」該当性の当てはめで捜査の必要性を考慮する答案などです。 伝聞法則であれば、証人の知覚・記憶・表現・叙述の真実性が問題に […]

0

検察官請求証拠を被告人の弁解供述の信用性を弾劾する証拠として使うことの可否 たまに、刑事訴訟法の伝聞の問題で、検察官請求証拠を被告人の弁解供述の信用性を弾劾するために使おうとする答案を目にします。 刑事訴訟法では、検察官が犯罪事実の存在について積極的に立証しない限り、「疑わしきは被告人の利益」の原則(=無罪推定の原則)が適用され、被告人は無罪となります。 そうすると、検察官としては、有罪判決を下してもらうためには、犯罪事実の存在について積極的に立証する必要があります。 そして、被告人の弁解供述の信用性の弾劾に成功したからといって、検察官立証が成功するわけではありません。 したがって、少なくとも […]

0

伝聞証拠であるかは、形式説によれば、「要証事実との関係で公判廷外供述の内容の真実性が問題となるかどうか」により判断されます。 だからこそ、ある公判廷外供述が伝聞証拠に該当するかは、要証事実との関係で変わり得るわけです。 例えば、あるメモが伝聞証拠に該当するかどうかを判断する際に、要証事実ではなく、いきなりメモの作成過程から考えると、伝聞・非伝聞の結論を誤ってしまう可能性があります。 メモは、作成者の知覚・記憶・表現・叙述を経て作成されるのが通常です。 そうすると、メモの伝聞証拠該当性について、当該メモが作成者の知覚・記憶・表現・叙述を経て作成されたかどうかという観点から判断すると、ことごとく、 […]

0

伝聞法則における伝聞・非伝聞の区別の場面で、「甲がVを刺した」旨のWの公判廷外供述の存在自体から甲の犯人性を推認するという推認過程を前提として、要証事実を『「甲がVを刺した」旨のWの供述の存在』と捉えることができるのかについて、説明いたします。 具体的には、甲のVに対する殺人罪を公訴事実とする被告事件において、甲の犯人性が争点になっている場合に、「甲がVを刺しているところを見た」旨のWの公判廷外供述が記載された供述書について、Wの供述調書(証拠)⇒Wの発言の存在自体(間接事実)⇒甲がVを刺した犯人である(主要事実)という推認過程を前提として、要証事実を『「甲がVを刺した」旨のWの供述の存在』と […]

短答対策の常識が変わる「令和2年司法試験短答過去問完全解説講義」をリリースいたしました 本講座は、問題類型に応じた解法と勉強法の習得に重点を置いています。 全ての問題について、問題類型を踏まえた効果的な解法を説明した上で、選択肢ごとに知識と解法を使って正誤を判断するプロセスを説明いたします。 知識という汎用性の低い情報だけを解説に反映するのではなく、知識の使い方と読解思考のコツという汎用性の高い技術(思考過程)まで解説に反映されているという点が、知識偏重の従来型の過去問集・肢別問題集の解説との大きな違いの1つです。 本講座により、短答対策の常識が変わります。 . 目次 1.短答対策の常識が変わ […]

0

第73期司法修習生の皆さんは、明日から二回試験ですね。 二回試験に合格すると、長かった受験生時代がひと段落することになります。 二回試験については、私から皆さんにアドバイスできることは少ないのですが、以下では、全科目共通の留意点と科目ごとの留意点について取り上げさせていただきます。 全科目共通 普段通りの起案をする 毎年、修習生の方から、「集合修習で成績が悪かった科目が不安である」といった相談を受けるのですが、私は「普段通りの起案を書いてくるように」と回答しています。普段通りの実力を発揮して書いたのに不可になるということは、まず考えられません。むしろ、二回試験だからと気張って、時間配分も含め普 […]

0

論文試験では、科目によっては、知識・思考力と同じくらい、文章力が重要になってきます。 簡潔にまとめる力があれば、配点項目を拾いやすくなります。 表現力があれば、例えば刑事訴訟法における事実評価や推認過程の説明の説得力が増します。理解が正確であることと理解したことを答案に反映することとは別次元ですから、文章力が不十分だと、理解していることを答案に十分に反映することができないわけです。 丸暗記した論証を張り付けることができない現場思考要素の強い問題でも、その場でイメージした抽象論を答案に反映する上で、文章力は非常に重要です。 もっとも、美しい文章を書く必要まではありません。正解筋を把握している玄人 […]

予備校の入門講座を受講している段階で判例百選までやるべきかについて、ご質問を頂くことがあります。 私は、少なくとも予備校の入門講座を受講している段階では、判例百選を網羅的に読み込む必要はないと考えています。 入門講座を受講している段階で最優先すること 基礎講座を受講している段階では、主として、以下の4点を最優先するべきです ①浅く広く勉強することで、出来るだけで早く、各科目の全体像を把握する ②条文・制度を理解・記憶する ③論点について、判例・通説がどういった立場なのかをざっくりと理解・記憶する ④論点がどういった事案で問題になるのかを知る 刑法の因果関係を例に挙げるなら、下記4点までを次回の […]

2

司法試験論文のうち、基本7科目では、書くべきことを2時間で答案に書き切ることができないという形で、時間の制限が顕在化することが多いです。 選択科目では、書くべきことを4枚以内で書き切ることができないという形で、紙面の制限が現在化することもあります。 また、現行司法試験・予備試験の論文試験では、採点方法として原則として加点方式が採用されていると思われるため、配点項目に言及した分だけ点数が伸びます。 そうすると、論文試験では、時間と紙面が限られている中で、どれだけ配点項目に言及することができるかが肝になってきます。 そして、時間と紙面が限られている中で出来るだけの多くの配点項目に言及するためには、 […]

2

今回は、答案で読みやすい文章を書くコツについてお話しします。 司法試験・予備試験論文では、そこそこの内容的正確性をもって配点項目を出来るだけ網羅することが最も重要です。 ここでいう配点項目は、基本的には大・中・小の分類され、刑法であれば、大:罪名、中:体系・要件・論点、小:事実の摘示・評価という分類になります。 時間と紙面が限られている中で出来るだけ多くに配点項目に(正確に)言及するという意味で、点取りゲームのような側面が強いです。 現行の論文試験の特徴であると思われます。 もっとも、私がゼミ生等の再現答案と成績表を比較してきた経験からすると、読みやすい文章を書くということも、何らかの形で採点 […]

0

論文試験では、知らない論点が出題されることもあります。現場思考論点が出題されることもありますし、自分が知らない既存論点が出題されることもあります。 知らない論点が出題された場合でも合格水準の答案を書くことができるように、”知識”以外の”技術”を身につけておくことが重要です。 短期合格を目指すためにも、上位合格を目指すためにも、知らない論点が出題された場合における対処法をしっかりと確立しておくことは重要です。 以下が今回紹介する対処法です。 . 理由⇒規範という構造の”論証”を書く(法的三段論法の形式を守る) 問題文のヒント […]

本記事では、選択科目の選び方、選択科目対策を開始する時期、労働法の科目特性、及び労働法の勉強のコツなどについて紹介させて頂きます。 令和4年からは、予備試験の論文科目にも現行司法試験と同じ科目の選択科目が導入されることになるため、司法試験合格を目指す方だけでなく、令和4年以降の予備試験合格を目指す方にも参考にして頂きたいと思います(予備試験論文式における選択科目の導入については、こちらの記事をご覧ください)。 . 目次 1.司法試験・予備試験における選択科目対策についての動画 2.選択科目の選び方 3.選択科目対策を開始する時期 4.労働法の特徴 5.労働法の勉強のコツ 6.労働法・経済法選択 […]

0

学説対立問題を適切に処理するために最低限おさえておくべき知識として問題になるのが、以下の6つです。 . ①自説の規範・理由 ②反対説の規範 ③学説対立が顕在化する典型事例 ④反対説の理由 ⑤反対説に対する自説からの批判 ⑥学説の組み合わせ . ※ 自説・反対説双方の立場の意味を正しく理解していれば③も分かるため、厳密には、③は①②に包摂されます。 以下では、①~⑥のうち、どこまでが答案を完成させるために最低限必要とされるのかについて、令和1年司法試験刑法設問2と令和1年司法試験刑事訴訟法設問1を使って説明いたします。 . 令和1年司法試験・刑法設問2  (答案) 設問2 1.① (1) まず、 […]

0

令和1年司法試験刑法論文の現実的な上位答案を公開いたします。 想定順位200~400位(62~65点)、約2200文字(1文字あたり26~28文字)です。 出題趣旨・採点実感では難しいこと・細かいことが色々と書かれていますが、振り回されてはいけません。 まずは、今回公開する答案を目指しましょう。 現実的な上位答案から、「記憶する抽象論の長さ・正確性」(インプットの水準)や「簡にして要を得た文章の書き方」を掴んで頂きたいと思います。 答案はこちら 以下では、今回の答案を作成した際の思考過程について説明いたします。 . 令和1年司法試験刑法・設問1 (問題) 〔第1問〕(配点:100) 以下の【 […]

PVアクセスランキング にほんブログ村

法律コラムのカテゴリ

記事のカテゴリ

質問コーナーのカテゴリ

講師紹介

加藤 喬 (かとう たかし)

加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
司法試験・予備試験の予備校講師
6歳~中学3年 器械体操
高校1~3年  新体操(長崎インターハイ・個人総合5位)
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
労働法1位・総合39位で司法試験合格(平成26年・受験3回目)
合格後、辰已法律研究所で講師としてデビューし、司法修習後は、オンライン予備校で基本7科目・労働法のインプット講座・過去問講座を担当
2021年5月、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立

執筆
・「受験新報2019年10月号 特集1 合格
 答案を書くための 行政法集中演習」
 (法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
 憲法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成30年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成29年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成23~
 25年」行政法(法学書院)

お知らせ

動画コンテンツ

タグ一覧