質問コーナー「
商法 」
3件の質問
名義説の内部では、取締役が自己又は第三者の名義で(つまり、自己が取引当事者となり又は取引相手方を代理・代表して)取引をしたかについて、形式的に判断する見解と実質的に判断する見解とがあります。形式的に判断する見解は、直接取引としての規制範囲の明確化(あるいは、直接取引と間接取引の区別の明確化)を理由とします(例えば、髙橋美加ほか「会社法」第3版204~205頁)。 そして、「甲社取締役Bが甲社を代表して甲社取締役Aが全株を保有する乙社との間で取引をした、甲社の取締役はA・B、乙社の取締役はCのみ」という事案では、形式的に判断する見解からは、形式的には、甲社「取締役」が甲社の取引の相手方ではない上 […]
今回の事案では、推定規定(423条3項)を使わずに、善管注意義務違反から任務懈怠を認定することは可能です。 利益相反取引の場面において、推定規定を使わない場合、取締役は「任務」たる善管注意義務の内容として公正な取引条件にする義務を負いますから、合理的理由なく市場価格の2倍近くの価格で本件ワインを買い取るという不公正な条件での取引がなされている本問では、善管注意義務違反が認められます。 もっとも、推定規定を使った方が原告に有利ですし、推定規定に対する配点もありますから、推定規定を使うべきです。
取締役がAしかいない非取締役会設置会社である甲社では、Aが単独で業務を決定し、執行します(会社法348条1項、田中亘「会社法」第2版241頁)。したがって、AがBに対して「それならば300万円で、乙社が買い取ることにすればいいよ」と述べたことをもって、Aが甲社の代表取締役としてBによる利益相反取引について同意をしたとみることにより、Aが代表した甲社(100%株主)による同意があったとみる余地もあります。 しかし、Aを介した甲社(100%株主)による同意は、利益相反取引をすること自体を対象とするものであり、Bの責任免除まで対象としたものではないと思いますから、会社法424条でいう責任免除について […]

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講師紹介

加藤 喬 (かとう たかし)
弁護士(第二東京弁護士会)
司法試験・予備試験の予備校講師
6歳~中学3年 器械体操
高校1~3年 新体操(長崎インターハイ・個人総合5位)
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
労働法1位・総合39位で司法試験合格(平成26年・受験3回目)
合格後、辰已法律研究所で講師としてデビューし、司法修習後は、オンライン予備校で基本7科目・労働法のインプット講座・過去問講座を担当
2021年5月、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
執筆
・「受験新報2019年10月号 特集1 合格
答案を書くための 行政法集中演習」
(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
憲法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成30年」
行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成29年」
行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成23~
25年」行政法(法学書院)