刑事訴訟法
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民事系論文、本当にお疲れ様でした。 これで、司法試験の約3分の2を終えたことになります。 残すは、刑事系論文と短答3科目です。 民事系は、選択科目や公法系に比べて解答筋が不明瞭であることが多いので、初日以上に、自分の出来不出来が気になるかもしれません。 しかし、ここで過去を振り返ってはいけません。Twitterや5ちゃんねるに振り回られてもいけません。過去を振り返ることのないよう、自分をしっかりと律する必要があります。 こうしたことが、今、皆さんに問われています。 今回の記事では、出題内容に左右されることなく安定して合格答案を書くための【科目単位のコツ】のうち、刑事系に関するものを紹介いたしま […]

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刑事訴訟法では、刑法以上に、判例の規範の正しい意味を前提とした説得力のある当てはめが重視されています。 したがって、判例百選を読む際には、主として、重要論点における当てはめのポイント、その前提となる規範の正しい意味を理解することを獲得目標とします。 刑事訴訟法では、刑法以上に、理論面について深入りしようとしてしまいがちですが、理論面で深いことが問われることはほぼないので、発展的な問題も含めて理論面についての理解を得るために解説部分を読む必要はありません。仮に解説を読むのであれば、判例の規範の正しい意味と、本件における当てはめのポイントを把握するために必要な限度にとどめましょう。 こうした意味で […]

あと1か月半後、令和4年司法試験論文式と短答式が実施されます。 今週火曜日から、Twitterで、科目ごとの論文対策で大事なことについてtweetしております。 沢山の反響を頂きましたので、本ブログでも共有いたします。 憲法 ①違憲審査の基本的な枠組みを深く正確に理解記憶する ②特殊な違憲審査の枠組み(生存権など)についても最低限の知識は持っておく ③判例学説を①②の枠組みに結び付けて理解し、核心部分を一文で説明できるようにする ④何をどう論じるのかを問題文のヒントから判断 行政法 ①三大頻出分野である行政裁量・処分性・原告適格について、主として過去問演習を通じて、処理手順や講学上の判断枠組み […]

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平成22年司法試験では、甲が乙に対する拳銃譲渡を公訴事実として起訴され、罪証認否において甲が「自分は、乙に対して拳銃を譲り渡したことはない」旨述べて否認しているという事案において、検察官が、「甲乙間の本件拳銃譲渡に関する甲乙間の会話の存在と内容」を立証趣旨として、甲乙間における拳銃譲渡を窺わせる甲乙間の会話部分を含む捜査報告書を証拠調べ請求しています(説明の便宜上、甲丙間の会話部分は度外視します)。 拳銃譲渡に関する甲乙間の会話の使い方としては、①要証事実を甲乙間の会話の内容の真実性を前提としたものにする(甲乙間の会話の内容たる事実を要証事実とする)、②甲乙間でそのような内容の会話がなされたこ […]

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刑事訴訟法における「強制の処分」の判断基準は、3つあります。 ①「個人の意思を制圧し、身体、住居、財産等に制約を加え」るかどうかという昭和51年決定が示した基準 ②「相手方の意思に反して、重要な権利・利益を実質的に制約する処分」かどうかという現在の有力な学説の示す基準 ③「個人の意思を制圧して憲法の保障する重要な法的利益を侵害する」か否かという平成29年大法廷判決が示した基準 ②は、重要権利利益実質的侵害説とも呼ばれる学説です。 ②では、「強制の処分」の要件は、㋐相手方の意思に反して、㋑重要な権利利益を実質的に制約するという2つに整理されます。 平成27年・平成30年司法試験の出題趣旨・採点実 […]

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刑事訴訟法では、来年以降も、学説の対立が出題される可能性があります。 学説対立が問われる可能性がある分野の一つとして、無令状捜索・差押えが挙げられます。 無令状捜索・差押えについては、実質的根拠について相当説(合理説)と緊急処分説が対立しており、両説の対立が無令状捜索・差押えの許容範囲(時間的範囲・場所的範囲・物的範囲)に影響します。 無令状捜索・差押えについては、相当説と緊急処分説の違い(特に、緊急処分説の立場)について、正確に理解する必要があります。 相当説は、逮捕に伴う捜索・差押えが無令状で許容される実質的根拠について、逮捕の現場には証拠が存在する蓋然性が一般的に高く、令状裁判官の事前審 […]

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立証趣旨と要証事実の関係について、検察官請求証拠を念頭において、説明いたします。 立証趣旨は、争点となっている主要事実を立証するための証拠の使い方の指針みたいなものです。 立証趣旨をそのまま前提にするとおよそ証拠として無意味になるような例外的な場合を除き、立証趣旨を踏まえて要証事実を設定することになります。 このように、要証事実(証拠の直接の立証事項)は、原則として、立証趣旨を踏まえて把握することになります。 もっとも、立証趣旨を踏まえて要証事実を把握した場合に、必ずしも、立証趣旨と要証事実が同一事実を意味することになるわけではありません。 立証趣旨は、証拠により窮極的に証明しようとしている主 […]

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4年前に平成28年司法試験の再現答案の添削・講評をしていて気になったのが、伝聞証言の理解を誤っている答案が一定数あり、そういった答案はかなり厳しい採点をされているということです。 刑事訴訟法では、出題趣旨や採点実感において理論面についてかなり高度なことが求められることがありますが、こうした場面で理論的におかしなことを書いても、さほど厳しい評価はされません。 しかし、基本中の基本について明らかに間違ったことを書くと、厳しい評価を受けることになります。 捜査であれば、「強制の処分」該当性の当てはめで捜査の必要性を考慮する答案などです。 伝聞法則であれば、証人の知覚・記憶・表現・叙述の真実性が問題に […]

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検察官請求証拠を被告人の弁解供述の信用性を弾劾する証拠として使うことの可否 たまに、刑事訴訟法の伝聞の問題で、検察官請求証拠を被告人の弁解供述の信用性を弾劾するために使おうとする答案を目にします。 刑事訴訟法では、検察官が犯罪事実の存在について積極的に立証しない限り、「疑わしきは被告人の利益」の原則(=無罪推定の原則)が適用され、被告人は無罪となります。 そうすると、検察官としては、有罪判決を下してもらうためには、犯罪事実の存在について積極的に立証する必要があります。 そして、被告人の弁解供述の信用性の弾劾に成功したからといって、検察官立証が成功するわけではありません。 したがって、少なくとも […]

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伝聞証拠であるかは、形式説によれば、「要証事実との関係で公判廷外供述の内容の真実性が問題となるかどうか」により判断されます。 だからこそ、ある公判廷外供述が伝聞証拠に該当するかは、要証事実との関係で変わり得るわけです。 例えば、あるメモが伝聞証拠に該当するかどうかを判断する際に、要証事実ではなく、いきなりメモの作成過程から考えると、伝聞・非伝聞の結論を誤ってしまう可能性があります。 メモは、作成者の知覚・記憶・表現・叙述を経て作成されるのが通常です。 そうすると、メモの伝聞証拠該当性について、当該メモが作成者の知覚・記憶・表現・叙述を経て作成されたかどうかという観点から判断すると、ことごとく、 […]

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伝聞法則における伝聞・非伝聞の区別の場面で、「甲がVを刺した」旨のWの公判廷外供述の存在自体から甲の犯人性を推認するという推認過程を前提として、要証事実を『「甲がVを刺した」旨のWの供述の存在』と捉えることができるのかについて、説明いたします。 具体的には、甲のVに対する殺人罪を公訴事実とする被告事件において、甲の犯人性が争点になっている場合に、「甲がVを刺しているところを見た」旨のWの公判廷外供述が記載された供述書について、Wの供述調書(証拠)⇒Wの発言の存在自体(間接事実)⇒甲がVを刺した犯人である(主要事実)という推認過程を前提として、要証事実を『「甲がVを刺した」旨のWの供述の存在』と […]

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学説対立問題を適切に処理するために最低限おさえておくべき知識として問題になるのが、以下の6つです。 . ①自説の規範・理由 ②反対説の規範 ③学説対立が顕在化する典型事例 ④反対説の理由 ⑤反対説に対する自説からの批判 ⑥学説の組み合わせ . ※ 自説・反対説双方の立場の意味を正しく理解していれば③も分かるため、厳密には、③は①②に包摂されます。 以下では、①~⑥のうち、どこまでが答案を完成させるために最低限必要とされるのかについて、令和1年司法試験刑法設問2と令和1年司法試験刑事訴訟法設問1を使って説明いたします。 . 令和1年司法試験・刑法設問2  (答案) 設問2 1.① (1) まず、 […]

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訴因変更の要件である「公訴事実の同一性」について基本的事実関係の同一性と理解する立場からは、基本的事実関係の同一性の下位基準的なものとして、単一性と狭義の同一性が挙げられます。 古い教材等を使っている方の中には、基本的事実関係の同一性につき「単一性あり、かつ、狭義の同一性あり」と理解している方もいるかもしれません。 しかし、少なくとも現時点では、そのようには理解されておりません。 単一性と狭義の同一性は、事案類型に応じて使い分けられるものです。 基本的事実関係の同一性は、公訴事実の横の広がりが問題となっている場合には単一性により判断され、公訴事実の縦の変化が問題となっている場合には狭義の同一性 […]

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講師紹介

加藤 喬 (かとう たかし)

加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
司法試験・予備試験の予備校講師
6歳~中学3年 器械体操
高校1~3年  新体操(長崎インターハイ・個人総合5位)
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
労働法1位・総合39位で司法試験合格(平成26年・受験3回目)
合格後、辰已法律研究所で講師としてデビューし、司法修習後は、オンライン予備校で基本7科目・労働法のインプット講座・過去問講座を担当
2021年5月、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立

執筆
・「受験新報2019年10月号 特集1 合格
 答案を書くための 行政法集中演習」
 (法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
 憲法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成30年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成29年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成23~
 25年」行政法(法学書院)

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