質問コーナー「 刑法 」
6件の質問

甲の罪責については、反抗抑圧手段性を欠くとして、強盗罪における「脅迫」が認められないとして、強盗罪の成立を否定するのが解答の本筋であると考えられます。 もっとも、司法試験論文式において点数がつく解答筋は1つではありません。例えば、甲の脅迫行為について反抗抑圧手段性を欠くと説明する際、行為者甲や相手方丙の主観面を考慮することになります。 甲の脅迫行為を準客観的に見れば丙の反抗抑圧の惹起に向けられているのですから、反抗抑圧手段性は準客観的に判断するべきであるとして、強盗罪における「脅迫」を肯定するという理論構成も、あり得ると思います。 その上で、占有の帰属について論じ、問題文の事実を曲解しない範囲 […]

2021年06月01日

強盗罪における「暴行又は脅迫」は、相手方の反抗を抑圧する手段として行われることが必要です(山口厚「刑法各論」第2版220頁、高橋則夫「刑法各論」第3版274頁)。ひったくり行為について原則として強盗罪の成立が(さらには恐喝罪の成立も)否定され窃盗罪が成立にとどまると解されているのは、原則として反抗抑圧手段としての暴行又は脅迫を欠くからです。これは、平成27年司法試験でも出題されています。 ご指摘の通り、甲による脅迫行為は、丙との間における腕時計が強取されたように装ってこれを窃取するという犯行計画に基づいて、強盗を偽装するための手段として、丙に向けられて行われています。 そうすると、甲の脅迫行為 […]

2021年06月01日

2項強盗殺人罪では、①「強盗」要件との関係で236条2項の強盗罪を侵したことが必要とされ、②これが認められた場合に初めて、殺人罪の実行行為又は「実行に着手」が問題となります。 ①では、単に2項強盗罪における実行行為である「暴行又は脅迫」が認められれば足りるのですから、ここでは殺人の実行行為又は「実行に着手」まで認定する必要はありません。したがって、①と②は別次元の要件であり、①は②に先行して認定される要件であるという位置づけになります。 もっとも、①について、②の結論を先取りする形で認定する場合もあります。それが、令和2年司法試験設問3の事案において、Aに睡眠薬を飲ませた第1行為について、㋐「 […]

2021年04月25日

ご質問について、平成25年司法試験の事案を簡単なものに修正した上で、説明いたします。 暴力団組長である甲は、末端組員である乙に対して、自動車内にVが監禁されている事実及び自らのV殺害計画を秘したまま、自動車を燃やして処分するように指示した。 乙は、了承の上、事情を知らないまま、自動車の走行を開始した。 乙は、途中で、自動車内にVが監禁されている事実を知り、これにより甲のV殺害計画にも気が付いた。 乙は、組長甲からの命令であることに加え、Vに対して個人的な恨みを持っていたことから、自動車を燃やしてVを殺害しようと決意し、自動車の走行を継続した。 乙は、目的地に到着し、自動車に放火して、Vを焼き殺 […]

2021年04月06日

まず、「甲に殺人既遂罪が成立しないという結論の根拠となり得る具体的な事実として…考えられるものを3つ挙げた上で、上記の結論を導く理由を事実ごとに簡潔に述べなさい」という設問は、①「甲に殺人既遂罪が成立しないという結論の根拠となり得る具体的な事実として…考えられるものを3つ挙げ」ることと、②「上記の結論を導く理由を事実ごとに簡潔に述べなさい」の2つに分けることができます。 ①事実については、簡潔にではなく、具体的に摘示する必要があります。 これに対し、②「理由」である理論面及び当てはめは、「簡潔」に書けば足ります。具体的には、問題提起に属することを書くというイメージです。規範を導く理由付けを書い […]

2021年04月06日
平成19年司法試験では、BからAに対する120万円の損害賠償請求権について取立てを依頼された甲が、恐喝によりAからBに対する賠償金として20万円を受け取り、それをBに手渡した後、さらに、恐喝によりAからBに対する賠償金として100万円を受け取ったにもかかわらず、Bに対して「残り100万円のうち50万円しか受け取れなかった」と嘘を言って現金50万円のみを手渡し、残金50万円を自己のものとして費消したことについて、Bに対する委託物横領罪が成立することになると思います。 他方で、プレテストでは、丙が経営する居酒屋Tの店長である甲が、乙との間で「泥棒が入ったようにして店の売上金を領得する、領得した売上金は甲乙で山分けにする」ということについて合意した上で、店のダイヤル式の金庫から2月9日の売上金である現金合計18万円を取り出した後、取り分をごまかすために、乙に対して「今日の売上げは10万円だったので、山分けして5万円ずつだ」と嘘を言い、乙にそのように信じ込ませることで、13万円を自分のものにしています。売上金18万円のうち、甲の取り分である9万円を超える4万円については、甲が費消していないため、委託物横領罪が成立しないということになるのでしょうか。

大塚裕史「基本刑法Ⅱ」第2版282頁では、「預かった物の返還を求められた際にそれを拒絶したりすれば、それだけで既遂に達する」とされていますから、委託信任関係に基づき「他人の物」を「占有」する者が、当該「他人」からの返還要求に対して嘘をつくなどしてこれを拒絶した場合には、それだけで「横領」に達するとして委託物横領罪が成立します。平成19年司法試験の事例において、甲が費消した残金50万円は、甲がBとの委託信任関係に基づき「占有する」「他人」B「の物」ですから、委託物横領罪の客体に当たります。そうすると、甲がBに対して「残り100万円のうち50万円しか受け取れなかった」と嘘を言った時点で「横領」が既 […]

2020年09月11日
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講師紹介

加藤 喬 (かとう たかし)

加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
司法試験・予備試験の予備校講師
6歳~中学3年 器械体操
高校1~3年  新体操(長崎インターハイ・個人総合5位)
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
労働法1位・総合39位で司法試験合格(平成26年・受験3回目)
合格後、辰已法律研究所で講師としてデビューし、司法修習後は、オンライン予備校で基本7科目・労働法のインプット講座・過去問講座を担当
2021年5月、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立

執筆
・「受験新報2019年10月号 特集1 合格
 答案を書くための 行政法集中演習」
 (法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
 憲法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成30年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成29年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成23~
 25年」行政法(法学書院)

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