質問コーナー「 論文全般 」
92件の質問

当てはめでは、問題文の事実を答案に摘示し、それに対する評価を書くことになります。このように、当てはめは、問題文の事実の「摘示」とそれに対する「評価」から構成されています。したがって、事実を摘示するだけでは足りませんし、事実の摘示を飛ばしていきなり評価から書くこともできません。特に、司法試験の刑事系では、設問で「具体的事実を摘示しつつ論じなさい。」というように、事実の摘示について明確な指示があることが多いです。 答案に問題文中の事実を摘示する方法には、①問題文中の事実をほぼそのまま引用する方法と、②(大幅に)意味が変わらない範囲で要約して摘示する方法とがあります。 特に司法試験では、問題文が長い […]

2023年03月22日

初学段階の短文事例問題演習では「答案の構成・作成→参考答案の確認」という順序にこだわる必要はありません。 答案を書けるようになるためには、①基礎講義レベルのインプット講義で学習した条文知識(条文の趣旨、意味、定義など)や論点の知識(判例・通説的見解の立場)に加えて、②条文・論点ごとの典型事例(ある条文・論点がどういった事例で問題となるのか)、条文・論点ごとの論述の流れ(ある条文・論点がどういった流れで展開されるのか)、当該科目・分野ごとの答案の型などもある程度頭に入れておく必要があります。②の知識は、インプット講義だけで身に付けることは困難であり、短文事例問題演習を通じて身に付けることになりま […]

2023年02月25日

①についてですが、質問者様が挙げていることができれば上位水準です。なお、情報量が多い司法試験の問題文になると、個々の事実ごとの評価だけでなく、個々の事実の集積により導かれる「事実群としての評価」まで書くことが望ましいです。 例えば、証拠隠滅の具体的危険については、「事実Aの評価(ex.覚せい剤の水溶性の高さなど)、事実Bの評価及び事実のCの評価から、証拠隠滅の可能性が認められる。事実D(ex.不自然な挙動など)の評価、事実Eの評価から、被疑者が覚せい剤をトイレに流して隠滅する具体的危険が認められる。」といった感じで論じることができればベストです。 ②についてですが、問題文のヒントから比較的明ら […]

2023年02月25日

当てはめでは、問題文の事実を答案に摘示し、それに対する評価を書くことになります。このように、当てはめは、問題文の事実の「摘示」とそれに対する「評価」から構成されています。したがって、事実を摘示するだけでは足りませんし、事実の摘示を飛ばしていきなり評価から書くこともできません。特に、司法試験の刑事系では、設問で「具体的事実を摘示しつつ論じなさい。」というように、事実の摘示について明確な指示があることが多いです。 もっとも、問題文の事実を一言一句そのまま答案に反映しなければ事実を「摘示」したと評価されないというわけではありません。必要に応じて、(大幅に)意味が変わらない範囲で要約して答案に反映して […]

2023年02月09日

司法試験合格パックを受講して頂き誠にありがとうございます。 今の司法試験では、とにかく基礎的なこと(司法試験合格パックにおける基礎講義、基礎問題演習講義レベルのこと)で合否が決まりますので、未修1年目の間は、とにかく、基礎講義と基礎問題演習講義の内容(基礎問題演習講義が私が担当しているものまでを含みます)を徹底的に繰り返しましょう。講義を視聴し終えたら次に進むというのではなく、基礎講義と基礎問題演習講義の内容をしっかりと定着させ、自分の中で常識化しましょう。この基礎固めをできるか否かが一番重要です。 その後で、未修2年目に徐々に総まくり講義、司法試験過去問までやります。司法試験過去問は、基礎講 […]

2023年01月28日

学者の先生方は、ある科目の特定の分野について何十年も研究をしているのですから、分野・論点の理解が深いのは当然のことです。とはいえ、論証の理由付けの精度を高めれば、その分だけ理由付けが長くなりますから、学者の先生方の理解をそのまま答案に反映することは不可能です。量が膨大になるため、120分・8枚という制限の中で書き切ることはできないでしょうし、論証が長くなり論証と当てはめの分量が逆転してしまい答案のバランスも崩壊することになります。 受験生の皆さんは、数年間で8科目を勉強するのですから、分野・論点の理解が学者の先生方のそれに劣るのは当然のことです。総まくりテキスト・総まくり論証集の論証は、私が著 […]

2022年12月13日

予備試験対策としての司法試験過去問の位置づけについては、こちらで回答しておりますので、ご確認くださいませ。 https://kato.blog/qapost/10562/ ご質問では「予備試験過去問をほぼやりつくしている」とありますが、「予備試験過去問なら正解筋レベルのことはほとんど気が付けるが、点の入る書き方ができてない」という状態なのだと思います。 この状態で当てはめの練習をするために司法試験過去問をやっても、当てはめをする際に意識するべきポイントが分からないままがむしゃらに学習進度に合っていない難易度の司法試験過去問をやることになるだけです。 予備試験論文で点数が伸びない原因はもっと初歩 […]

2022年11月30日

今年の予備試験論文式は、憲法・行政法以外の科目は特に捻りの利いていないオーソドックスな問題ですから、不合格の原因は、応用力の不足ではなく、基本的な論点の抽出・組み合わせ・論証、基本的な条文の操作(特に民法、会社法)、科目・重要分野ごとの答案の書き方といった基礎力の不足にあります。 こうした基礎力を培うために最適なのが基本7科目の基礎問題演習講座です。 予備試験過去問の検討を終えていても、予備試験の問題を解くために必要とされる知識と方法論が身に付いているわけではありません。 総まくり講座→そこで学習した知識と方法論を総動員するつもりで基礎問題演習講座の演習・復習→基礎問題演習講座までで学習したこ […]

2022年11月06日
いつもありがとうございます。総まくり講義と基礎問題演習講座を受講しています。少し気になることがあります。さきごろ公表された採点実感では、一例として民事訴訟法では「受験者が民事訴訟の体系的な理解と基礎的な知識の精確な取得のために体系書や条文を繰り返し精読するという地道な作業をおろそかにし、依然として論点主義に陥っており、個別論点に対する解答の効率的な取得を重視しているのではないかとの強い懸念を生じさせる」とあります。指摘は理解できますが、特に「体系書・・を精読する」という部分については、予備校テキストの論証暗記ではなく、基本書・体系書をよく読んで法律を深く学習・理解しないと点は与えない、と読み取れます。これは試験勉強においてはいつも迷いのある部分です。勉強範囲を絞って知識なり理解を使えるようになるまで身に着けないとそもそも答案を書けないと思いますが、基本書・体系書を多数精読せずとも、テキスト・論証集を反復学習すれば「点はもらえる」のでしょうか。指摘されている「体系的な理解と基礎的な知識の精確な取得」のための、テキスト・論証集の必須勉強法について、あらためてご教示いただけると幸甚です。よろしくお願いいたします。

民事訴訟法の採点実感における「受験者が民事訴訟の体系的な理解と基礎的な知識の精確な取得のために体系書や条文を繰り返し精読するという地道な作業をおろそかにし…」という記述に引きずられて取り敢えず基本書の読み込みをするというのは、勉強の方向性を見誤っていると思います。 民事訴訟法に限ったことではありませんが、過去問の演習・復習を進める過程で徐々に試験傾向(出題の範囲、深度、角度など)が分かり、過去問を解くために必要とされる「知識の範囲、深度、角度」と「方法論」に気が付き、それらの習得を明確に意識したインプット・アウトプットをするべきです。これが王道です。 試験傾向から過去問で必要とされる知識と方法 […]

2022年11月06日

短文事例問題(加藤ゼミナールの基礎問題演習講座を基準にします)と予備試験過去問だけで出題範囲を網羅できるかは、科目によって異なります。 出題範囲に偏りがある憲法、行政法、刑法、民事訴訟法及び刑事訴訟法については、短文事例問題と予備試験過去問だけで出題範囲をほぼ網羅することができますから、仮にこれらの問題以外から出題された場合に備えて総まくり論証集で未出題のABランク論点も軽く確認すれば足ります(あくまでも”合格レベル”を目指すならの話であり、上位合格や確実な合格を目指すなら、やはり総まくり論証集を使った網羅的なインプットもちゃんとやるべきです)。 これに対し、出題範囲が […]

2022年11月04日

加藤ゼミナールの総まくり講座及び予備試験過去問講座を受講して頂き誠にありがとうございます。 難しい問題に対応する力を身に付けることを目的するならば、旧司法試験過去問をやるのもありです。しかし、基礎的知識の習得と基礎的演習の経験を目的とするならば、捻りの利いた旧司法試験過去問はお薦めできません。 また、他校の旧司法試験過去問講座を受講する場合、加藤ゼミナールの総まくり講座・予備試験過去問講座における知識・方法論との一貫性が保てなくなるという問題も生じます。 私は、短文事例問題演習の決定版とも言える加藤ゼミナールの基礎問題演習講座を受講して頂くのがベストであると考えます(なお、民事訴訟法については […]

2022年10月27日
お世話になっております。 現在、京都大学法科大学院の2年次に在籍しています。私は、ソクラテスメソッドを中心とした、またケースブック等のクエスチョンに1問1答形式で回答していく勉強を前期にしてきました(ロースクールの指導方針がそうでした)。確かに、各論点についての深い知識や、「〇〇という問題に対しては、Aとも考えられるし、Bとも考えられる」等の勉強は、それはそれで楽しくはありました。しかし、いざ、期末試験に出題されるのはクエスチョンに対する回答ではなく、司法試験と同レベルの事例問題で、クエスチョンに回答するための予習復習に追われたことで、試験の成績は散々でした。 そこで、後期以降の勉強法として、各科目の予習として、①まず、取り扱う分野を総まくりテキストで復習する。②次に、クエスチョンに回答する。なお、答えが出ないものについては①総まくりで確認した知識を使って考える程度にとどめ、正確な答えを導出することは適度にあきらめる。ことを考えています。また、復習としては、該当分野の司法試験の問題及び過去問講座を利用し、授業で学んだことを答案にどう落とし込むかに重点を置く。また、問題演習を重ねる。ことを考えています。 ロースクールの予復習に大量の時間を費やさなければならないこと、同時に来年の司法試験の勉強もしなければならないこと、という2つのタスクをこなす方法として以上のものを考えていますが、いかがでしょうか?

司法試験では、刑事系で学説対立が問われる場合を除き、基本的には、判例・受験界通説といった自説を使って結論まで一本の筋を通すことで足り、自説と異なる見解に従って結論について想定する必要はありません。憲法では、三者間形式でも法律意見書形式でも、多角的な検討が求められますが、学説対立という形で多角的な検討が求められているわけではありません。 刑事系の学説対立の対策以外では、他説を勉強する際には、あくまでの自説の理解を深めるために必要な限度でやれば足ります。 したがって、法科大学院における授業及び試験の内容と、司法試験対策としての勉強を区別する必要があります。司法試験対策としては、基本的には自説だけを […]

2022年09月25日

実力を底上げるする段階では、1科目ずつ、総まくり講座→過去問講座という流れで受講することにより、1科目を短期集中的に勉強した方がいいです。 もっとも、当然ことながら、別科目の復習を一切やらないのでは、別科目の実力(知識、感覚など)がどんどん衰退していきますから、衰退の速度を抑えるために、最低限、別科目の復習もする必要があります。 例えば、憲法、行政法、民法、商法、民事訴訟法、刑法、刑事訴訟法という流れで、総まくり講座と過去問講座を受講するとして、行政法の段階では、憲法の復習も軽く並行してやる必要があります。深いことをやる必要はありませんから、知識や感覚があまり鈍らないようにするために、軽く総ま […]

2022年05月18日

令和5年司法試験から、法科大学院最終学年在学生のうち一定要件を満たした者による司法試験受験が可能になるため、令和3年・4年よりも受験者数が増えます。 令和5年司法試験会場の公募についてという資料において各試験会場の収容人数の合計が4630人程度となっていることからも、令和3年・4年よりも受験者数が増えることが想定されます。 表面的な受験者数増加に加えて、既修1年目まで本気で予備試験合格を目指していたが最終合格できなかったという既修2年目の大部分が司法試験を受験してくるので、受験生全体のレベルも上がります。 もっとも、合格難易度としては、1番競争が激しかった平成21年~24年、2年番目に競争が激 […]

2022年04月02日

受験者のほぼ全員が、記述と設小問等との対応関係を明確にするために、「設問1」「小問1」といったことを答案に書きます。 もっとも、こうしたことを書かなくても、採点者において各設小問等に対応していると判断することができれば、ちゃんと採点されるはずです。対応関係を明らかにするための一手段として、一応、書いているだけなんですよね(もちろん、採点上の不利益を受ける可能性を0にするために、「設問1」「小問1」といったことを書くべきです)。 例えば、「設問1小問2を設問2と誤って記載してしまった」としても、設問1小問1→設問1小問2→設問2という流れで書いているのですから、「第一設問1 設問2」の記述が設問 […]

2021年10月04日

一般論として、司法試験・予備試験の採点方法は、原則として加点方式です。したがって、例えば、配点10点/100点の事項(以下「配点事項A」とします)について完全に誤ったことだけを書いた場合、配点事項Aの配点10点が丸々入らないというだけです。これが原則です。 もっとも、例外として、極端に誤ったことを書いた結果、採点官の印象が悪くなり、他の配点事項について辛めの採点をされる結果として答案全体の点数が下がる可能性があります。採点官の悪印象を通じて、間接的に減点に繋がるということがあるということです。 質問者様の記述は、「既判力が後訴に作用する→債権者代位権だから債権者間で反射効が及ぶかが問題となる→ […]

2021年10月04日

司法試験対策パックを受講して頂きありがとうございます。 司法試験で予備試験過去問が流用される可能性もあるため、司法試験対策として予備試験過去問をやることは有益であると考えます。 以下では、司法試験過去問の穴をカバーする必要性と、予備試験過去問が流用される可能性とを主たる基準として、問題ごとにA・B・Cのランク付けをさせて頂きます。 憲法 A H23 H29 R1 B H28 H30 R2 R3 C H24 H25 H26 H27 行政法 A H23 H25 H29 H30 B H24 H26 H28 R1 R2 R3 C H27 民法 A H26 R2 B H23 H25 H28 H29 H3 […]

2021年08月28日

まず、1行35文字程度で4~5枚なら、分量としては合格水準であると考えます。私の場合、1行28~30文字前後で平均5枚でした。 次に、分量を増やす方法ですが、ご質問に書かれている内容からすると、4~5枚にとどまっている原因は、おそらく、法律知識の定着が不十分であることと、司法試験レベルの問題の処理に慣れていないことの2点にあると思います。司法試験過去問では、短文事例問題とは異なり、複雑な事実関係を前提としてたくさんの条文・論点等に関する法律知識を組み合わせて答案を作成することになりますから、”なんとなく知っている”というレベルの知識水準だと本問で使うべき法律知識の抽出& […]

2021年08月28日

試験本番で判例・通説以外の見解を採用することの適否は、科目、問題文及び論点によって異なります。 まず、憲法・行政法・商法・刑事訴訟法・労働法では、判例の立場が明らかである論点については、判例の立場で論じることが想定されているため、基本的に、判例以外の学説を選択するべきではありません。高確率で失点することになります。それ以外の科目については、ある程度、学説選択についての自由が認められているので、判例・通説以外の見解を選択すること自体が失点に直結するという事態は、上記5科目に比べると少ないです。もっとも、判例・通説以外の見解を採用するのは、答案戦略上合理的な理由がある場合に限るべきです。 次に、問 […]

2021年08月28日

法科大学院既修1年目ということは、短文事例問題を使った基礎的な演習を終えているはずですから、なるべく早く、ご自身が受験する司法試験の過去問に着手するべきです。 今の状態では司法試験過去問には歯が立たないと思いますが、それでも構いません。知っている論点なのに事案から抽出することができない、問題の所在がよく分からない、上手く答案に書くことができないというのが、司法試験レベルの問題の特徴です。こうした司法試験の難しさを実感し、司法試験レベルの問題に対応できるようになるためにこれから2年で科目ごとにどういった勉強をすればいいのかを考えるきっかけを得るということも、司法試験過去問をやる意味の一つです。こ […]

2021年08月18日
92 件の記事
PVアクセスランキング にほんブログ村

法律コラムのカテゴリ

記事のカテゴリ

質問コーナーのカテゴリ

講師紹介

加藤 喬 (かとう たかし)

加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
司法試験・予備試験の予備校講師
6歳~中学3年 器械体操
高校1~3年  新体操(長崎インターハイ・個人総合5位)
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
労働法1位・総合39位で司法試験合格(平成26年・受験3回目)
合格後、辰已法律研究所で講師としてデビューし、司法修習後は、オンライン予備校で基本7科目・労働法のインプット講座・過去問講座を担当
2021年5月、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立

執筆
・「受験新報2019年10月号 特集1 合格
 答案を書くための 行政法集中演習」
 (法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
 憲法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成30年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成29年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成23~
 25年」行政法(法学書院)

お知らせ

動画コンテンツ

タグ一覧