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判断過程審査に関する規範について、正確性をやや犠牲にしてコンパクトに書くのであれば、「行政庁の判断過程に不合理な点があれば、裁量権の逸脱・濫用に当たる」という表現がお薦めです。判断過程審査とは、行政庁が考慮すべき事項を考慮せず、又は考慮すべきでない事項を考慮したのではないかというように、「行政庁の判断過程に不合理な点がないか」を審査する方法だからです(中原茂樹「基本行政法」第3版133~134頁、北村・野呂ほか「事例研究行政法」第3版103頁)。 正確性を重視するのであれば、「判断過程が合理性を欠く結果、処分が社会観念上著しく妥当を欠く場合には、裁量権の逸脱・濫用に当たる」という表現がお薦めで […]
一つの判例に論点が複数ある場合には、論点ごとに一言で説明できるようにまとめることになります。もっとも、その際、論文試験で出題される可能性の高いと考えられる論点から優先的にまとめ、出題可能性が高くないと考えられる論点のまとめは1周目で飛ばして2周目以降に残しておく(あるいは、2周目以降でもまとめない)というやり方が望ましいと考えます。 例えば、三菱樹脂事件大法廷判決(最大判昭和48・12・12・百Ⅰ9)であれば、①憲法の人権規定の私人間効力について、憲法の人権規定が対国家的なものであるから私人間に直接適用されないとする一方で、私法の一般条項の解釈・適用の際に憲法の趣旨・精神を取り込むという形で憲 […]
ある法律によりある権利が具体的な財産権として保障されており、これを事後的に不利益に変更(剥奪を含む)するという場面が、既得の具体的財産権の制限事例です。 財産権の内容形成の事例は、ある法律により保障されている具体的財産権の不利益変更を伴わない場面です。例えば、ある法律である財産権の具体的内容をいちから定める場面などです。前者の例に当たるかどうかで、前者・後者を棲み分けてみると良いと思います。 なお、現在の有力な理解では、いずれの問題類型についても、証券取引法判決(最大判平成12・2・13)の枠組みで処理されます。平成29年予備試験の出題趣旨でも、前者に属する事案について、「本件条例が、憲法29 […]
営業の自由で構成する答案に対する批判と、知る権利で構成する答案に対する批判は、その理由が異なります。 営業の自由で構成する答案に対する批判の理由は、①理論上は「営業の自由」を問題にすることも可能である(憲法22条1項の保護領域と制約を満たす)が、②三者間形式では違憲の結論に向けられた原告主張から論述が始まるにもかかわらず、「表現の自由」を問題にする余地がある事案でわざわざ負け筋の「営業の自由」の侵害を主張させるというのは、違憲の結論に向けられた主張を展開することが求められている原告側の論述としておかしい、というものです。しかも、③問題文には、原告側の言い分として、Z機能画像がこういった意味で受 […]
その理解で問題ありません。厳格審査の基準・中間審査の基準では、目的・手段の双方につき、立法事実を根拠とした心証形成が必要とされます。立法事実を根拠とした心証形成という点における両者の違いは、立法事実として要求される客観性の程度です。有害図書規制の憲法21条1項適合性等が問題になった岐阜県青少年保護育成条例事件(最小三判平成元・9・19・百Ⅰ50)及び同事件の伊藤正己裁判補足意見によれば、厳格審査の基準では立法事実として「科学的証明」レベルのことまで要求されるが、中間審査の基準では「社会共通の認識」で足りる、と理解することになります。 手段適合性が認められるためには、㋐規制対象が立法目的にとって […]
職業規制では、中間目的ではなく、究極目的を規制目的として捉えることになります。職業規制では、規制目的は、違憲審査基準の適用(目的審査)においてのみならず、違憲審査基準の定立過程においても、規制態様と並んで、裁判所が立法裁量を尊重するべき要請がどれだけあるのかを明らかにする要素として考慮されます。当該目的に基づく当該規制を支える立法事実について、裁判所においてどれだけ把握可能性があるのかを明らかにするために(把握可能性が低ければ、その分だけ、立法裁量尊重の要請が強く働く)、規制態様と規制目的を考慮しているわけです。そして、当該目的に基づく当該規制を支える立法事実について、裁判所においてどれだけ把 […]
例えば、酒類販売免許制事件判決(最三小判平成4・12・15・百Ⅰ94)は、酒類販売業の免許制について、①薬事法事件大法廷判決(最大判昭和50・4・30・百Ⅰ92)を参照して、「一般に許可制は、・・狭義における職業選択の自由そのものに制約を課するもので、職業の自由に対する強力な制限であるから、その合憲性を肯定し得るためには、原則として、重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることを要する」と述べる一方で、②当該免許制は「租税の適正かつ確実な賦課徴収を図るという国家の財政目的」に基づくものであり、「総合的な政策判断」及び「極めて専門技術的な判断」が必要であるとの理由から、「必要性と合理性 […]
目的効果基準を使った最高裁の当てはめでは、公権力の行為を「一般人」「社会通念」から見て「習慣化した社会的儀礼」と評価すべきかの判断が先行し、目的・効果の判断はただ「習慣化した社会的儀礼」といえるかどうかの評価に従っているにすぎないから、目的・効果の判断それ自体はあまり重要ではない(目的・効果に関する判断には独自の役割がない)という説明もあります(曽我部「憲法論点教室」第2版131頁、横大道聡「憲法判例の射程」初版96頁)。目的・効果を区別して論じることが困難な事例があることも踏まえると、論文対策としては、上記のように理解するのが得策かなと思います。私の秒速・過去問攻略講座の答案でも、上記の理解 […]
赤坂正浩「憲法講義(人権)」初版21頁では、表現内容規制について、「国家が、情報をその内容によって選別し、特定の情報の流通を妨害する目的でおこなう・・規制」と定義した上で、「時・場所・方法の規制=表現内容規制と短絡的に考えてはならない。内容規制も、何らかの表現方法をターゲットとするのが普通だからである」とされています。芦部信喜「憲法学Ⅲ 人権各論(1)」増補版403頁では、表現内容規制について「規制目的がある表現の「伝達的効果」・・に関わる規制」と定義した上で、「ある表現を規制することによって除去しようとする害悪が・・表現の「伝達的効果」から生じる場合、その規制目的は表現内容に関わるものである […]
処分違憲(適用違憲)を論じる際には、「憲法の価値を踏まえた規範定立」をすることになりますが、「行政法の個別法の問題の処理と同じ」ではありません。 平成23年司法試験採点実感では、「処分違憲の審査で、法律適用の合法性、妥当性のみを論じる答案が今年も多かった。憲法との関係を論じないと、合憲性審査を行ったことにならない。」とあります。中止命令の処分要件について、法律の趣旨や条文の文言に着目した「通常の法令解釈」により規範を定立して、それに事例を当てはめることで、処分要件を満たすかどうかを審査するのは、処分の憲法適合性の審査ではなく、処分の法律適合性の審査にすぎません(高橋和之「体系憲法訴訟」初版32 […]
被制約権利(表現の自由)と反対利益(プライバシー)の衝突を、「保護法益であるプライバシーは重要であるから、違憲審査基準を引き下げるべきである」といった形で、違憲審査基準を定立過程で取り上げるのは避けるべきです。例えば、平成30年司法試験採点実感では、「立法目的が重要だから審査基準が緩和されるのかについては十分な議論が必要であり、その点を意識した論述が必要である。」とされています。 そこで、違憲審査基準の定立ではなく、適用(当てはめ)に属する目的審査で言及するべきです。中間審査の基準における「重要な利益」とは、制約されている憲法上の権利との比較による相対的な重要性を意味します(曽我部ほか「憲法論 […]
形式的平等と実質的平等は、機会の平等と結果の平等に対応する概念です。つまり、憲法14条1項の「平等」はどういった意味で等しく取り扱うことを意味しているのか、ということです(渡辺・宍戸ほか[憲法Ⅰ 基本権]初版131頁)。①「平等」の意味を明らかにする、②法令等により「平等」ではない取扱いがあること(形式的平等説からは、機会が平等に与えられていないこと)を認定する(差別的取扱い又は区別の認定)、③差別的取扱い又は区別の憲法14条1項適合性という3段階のうち、1段階目の①で問題になるのが通常です。 相対的平等は、形式的平等について言えば、絶対に各人に同じ機会を与えなければならないわけではなく、人ご […]
私の答案では、①「表現の自由」の保護領域について、拡張することなく、本来的な定義通り「思想・意見(等)を発表し伝達する自由」と把握した上で、いかなる干渉が「制約」として評価されるかという問題として論じています。つまり、上記意味における「表現の自由」に対する「制約」として評価される干渉の範囲の問題として論じているわけです。 質問者様の答案では、②「制約」の対象となる「表現の自由」の保護領域を本来的な定義よりも拡張することで、「制約」を肯定するという構成です。②の構成も、理論的にあり得ますし、憲法上の権利に対する制約が問題となる事案のうち、②の構成に馴染むものもあると思います。もっとも、平成27年 […]
「表現の自由」の保護領域について、「情報をコミュニケイトする自由」(渋谷「憲法」初版350頁)だとか「情報交換行為」(赤坂「憲法講義(人権)」初版19頁)といった説明がされるのは、結局のところ、閲読の自由の憲法21条1項による保障を肯定したよど号ハイジャック記事抹消事件判決(最大判昭和58・6・22・百Ⅰ14)や、知る権利の存在を承認した上でそれに奉仕することを根拠として報道機関の事実報道の自由について憲法21条1項による保障を肯定した博多駅事件決定(最大決昭和44・11・26・百Ⅰ73)といった判例(あるいは、その背後にある考え)があってこそのことだと思います。そうすると、やはり、判例に引き […]
表現規制についていえば、①直接的制約は「表現行為それ自体」を規制対象とするものであり、これには内容規制・内容中立規制の双方がある、②間接的・付随的規制(制約)は「行動のもたらす弊害の防止をねらいとして禁止するとき」に「単に行動の禁止に伴う限度」で生じる「意見表明の自由」の制約を意味する、③間接的と附随的を区別する必要はない、という理解で良いかなと思います。③につき補足しますと、間接的と附随的は厳密には異なる概念であるものの、令和1年司法試験採点実感でも「間接的・付随的規制」というように間接的と附随的が区別されていないので、試験対策としては基本的に区別しなくても良いと思います。 それから、「憲法 […]
令和1年司法試験の立法措置①に関する立法事実については、目的審査で使う構成と、手段適合性の審査で使う構成、どちらもあり得ます。厳密には、本事例では、目的審査と手段適合性の審査の双方において、ご指摘の立法事実を使うことになると考えております。 厳格審査の基準・中間審査の基準では、目的・手段の双方につき、立法事実を根拠とした心証形成が必要とされます。立法事実を根拠とした心証形成という点における両者の違いは、立法事実として要求される客観性の程度です。例えば、有害図書規制の憲法21条1項適合性等が問題になった岐阜県青少年保護育成条例事件(最小三判平成元・9・19・百Ⅰ50)では、手段適合性の審査におい […]
確かに、最高裁は、多くの場合、違憲審査の手法として、「一定の利益を確保しようとする目的のために制限が必要とされる程度と、制限される自由の内容及び性質、これに加えられる具体的制限の態様及び程度等を具体的に比較衡量する」という「利益較量」論を採用しており、「違憲審査基準」そのものは採用していないと理解されています。最高裁は、違憲審査基準っぽい基準を定立することもありますが、それは大きな判断枠組みである「利益較量」論による判断の指標として言及されているものにすぎないと理解されています(堀越事件・最二小判平成24・12・7・百Ⅰ14 千葉勝見裁判官の補足意見参照)。 しかし、司法試験委員会は、「保障⇒ […]
憲法論文の対策としては、判例学説に関する知識を身につけることよりも、①人権の保障の内容・趣旨等の教科書知識、②違憲審査の基本的な枠組みの正しい使い方、③個別法の仕組みを正確に把握する力、④問題文のヒントを違憲審査の枠組みに落とし込む形で法的に構成し、文章化して答案に反映する力という4つを身につけることのほうが遥かに大事です。今回、判例に言及していないのにA評価が付いた理由は、採点上において判例に言及することよりも上記①~④という基礎的なことが重視されていることと、判例を踏まえた論述が明示的に要求されてから1年しか経過していないため判例を踏まえた論述をすることができている答案が少ないということに […]
確かに、「憲法Ⅰ 基本権」初版(著:渡辺ほか)236頁には、「表現の自由を規制する法令が違憲的に適用される事例を含む場合には、その規定を文面上無効とするものである」という記述があります。 しかし、「違憲的に適用される事例を含む」か自体が基準になるわけではないと思います。仮に「違憲的に適用される事例を含む」だけで文面上違憲になるのであれば、文面審査の段階で目的手段審査等により違憲的適用部分の洗い出しをすることになり、実質的観点に属する目的手段審査等の結果により形式的観点に属する過度の広汎性ゆえに無効の法理に関する結論が導かれるという、おかしな事態になるからです。 おそらく、萎縮効果除去の要請が働 […]
短答式試験の問題類型 短答式試験の問題類型は以下の3つです。 ①短答知識重視の問題 ②論文知識重視の問題 ③思考読解重視の問題 ①は、刑法であれば、第1篇・総則(1条~72条)、第2編以降の犯罪のうち論文対策として正確に記憶する必要が乏しい構成要件要素(これの解釈に関する判例知識を含む)、244条1項・2項・3項など論文対策として正確に記憶する必要が乏しい条文知識を正面から問う問題です。 ②は、事例問題を通じて、論文対策として正確に記憶しておく必要のある知識を正面から問う問題等です。 判例の立場に従って因果関係の成否を判断させる問題であれば、記憶した個々の判例の事例・結論と選択肢 […]
加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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