加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

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既得の具体的財産権の制限事例と財産権の内容形成事例の違い

財産権侵害について、既得の具体的財産権の制限・財産権の内容形成の限界の2パターンの問題があり、前者の例としては国有地売払特措法判決、後者の例としては証券取引法判決があることまでは理解できています。国有地売り払い特措法判決、後者に証券取引法判決が属するとのことも理解できました。もっとも、後者については、どういった場面で問題になるのかについて、イメージできません。簡単な具体例を教えて頂きたいです。

ある法律によりある権利が具体的な財産権として保障されており、これを事後的に不利益に変更(剥奪を含む)するという場面が、既得の具体的財産権の制限事例です。

財産権の内容形成の事例は、ある法律により保障されている具体的財産権の不利益変更を伴わない場面です。例えば、ある法律である財産権の具体的内容をいちから定める場面などです。前者の例に当たるかどうかで、前者・後者を棲み分けてみると良いと思います。

なお、現在の有力な理解では、いずれの問題類型についても、証券取引法判決(最大判平成12・2・13)の枠組みで処理されます。平成29年予備試験の出題趣旨でも、前者に属する事案について、「本件条例が、憲法29条第1項で保障される財産権を侵害する違憲なものであるかを論じる・・際、本件条例の趣旨・目的と、それを達成するための手段の双方について、森林法違憲判決・・及び証券取引法判決・・などを参照しながら、検討する必要がある。特に、規制手段については、・・ことを念頭に置きつつ、その合理性・必要性について考察することが求められるであろう。」と説明されています。なので、いずれの問題類型に属するかで、論じ方に大きな違いはありません。前者では「憲法29条1項は「財産権」として個々の具体的財産権も保障している⇒法令を根拠として具体的財産権の有無・内容を明らかにする⇒法令による具体的財産権に対する制限の認定」をしてから証券取引法判決に従って違憲審査をするのに対し、後者では「法令による財産上の不利益を認定」してから証券取引法判決に従って違憲審査をすることになるため、「 」以降の論じ方は同じですし、「 」内でも部分的に重複します。森林法共有林事件(最大判昭和62・4・22・百Ⅰ96)について前者・後者のいずれに属するかについて学者間で理解が対立していることも踏まえると、前者・後者いずれに属するか曖昧な事案において選択を誤ってもたいした不利益はないと考えています。

2020年09月07日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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