加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

0

特定の思想・意見を発表したことを理由とする不利益取扱い

平成27年司法試験憲法における、A市が「Bが・・Y採掘事業を安全に行う上での基本的条件に関する自分の意見・評価を甲市シンポジウムで述べた」ことを理由としてY対策課の専門職員としてBを正式採用することを拒否したという問題について、質問させてください。加藤先生の答案・解説から、明確性の原則の根拠である萎縮効果論を実体審査段階にも及ぼすという点については理解したのですが、「表現の自由に対する不利益取扱いが表現の自由に対する萎縮効果を生み、思想の自由市場を歪めるなら、各人がその自由意思により表現行為を行えることとした憲法21条1項の趣旨を没却する結果となるから、「表現」には特定の表現行為等を行ったことを理由に不利益取扱いを受けない自由も含まれる」として、「制約」に先立ち「保護領域」の段階で論じることは可能でしょうか。

私の答案では、①「表現の自由」の保護領域について、拡張することなく、本来的な定義通り「思想・意見(等)を発表し伝達する自由」と把握した上で、いかなる干渉が「制約」として評価されるかという問題として論じています。つまり、上記意味における「表現の自由」に対する「制約」として評価される干渉の範囲の問題として論じているわけです。

質問者様の答案では、②「制約」の対象となる「表現の自由」の保護領域を本来的な定義よりも拡張することで、「制約」を肯定するという構成です。②の構成も、理論的にあり得ますし、憲法上の権利に対する制約が問題となる事案のうち、②の構成に馴染むものもあると思います。もっとも、平成27年司法試験では、積極的な表現活動を理由とする不利益取扱いが「表現の自由」に対する制約と評価されるのかが問われているため、保護領域を拡張させる形で「制約」を肯定するということは、少なくとも解答の本筋としては想定されていないと思います。「表現」という文理からしても、「表現の自由」の保護領域を「特定の表現行為等を行ったことを理由に不利益取扱いを受けない自由」にまで拡張するという構成には、無理があるのではないかと思います。そのため、①の構成のほうが説得力があると思います。

2020年09月07日
講義のご紹介
もっと見る

コメントする

コメントを残す

コメントをするには会員登録(無料)が必要です
※スパムコメントを防ぐため、コメントの掲載には管理者の承認が行われます。
※記事が削除された場合も、投稿したコメントは削除されます。ご了承ください。

加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

kato portrait
加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
質問コーナーのカテゴリ
ブログ記事のカテゴリ