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法律要件を検討する際に、途中である要件の該当性が否定されてもそれ以降の要件も検討するべきかは、悩ましいところです。法律要件だけでなく、論点についても同様です。 採用した結論にかかわらず全ての法律要件・論点を検討する必要があるか否かは、科目、設問によって異なります。 司法試験「民法」の出題趣旨・採点実感では、所有者と債務者とが同一人でないとの理由から留置権の成立が否定される事案において、「ある者が主張する法律効果の発生を認めるためには、その要件の全てが充たされることが必要であり、一部の要件が充たされるだけでは法律効果の発生を認めることができない。これは、法の解釈・適用に関する基本であり、おろそか […]
刑法の錯誤論の論証では、基本的に故意責任の本質にも配点があります。 平成27年司法試験の出題趣旨でも、抽象的事実の錯誤について、「本件の錯誤は、…抽象的事実の錯誤であるから、このような錯誤の場合にどのように処理するか…故意責任の本質について触れて一般論を簡潔に示した上…」とあります。 もっとも、出題趣旨・採点実感で故意責任の本質について明示的に言及されたのは1度だけです。 また、刑法の採点で重視されているのは、①罪名選択の正確性、②検討事項の網羅性、③答案全体の論理構造、④規範の正確性、⑤当てはめの正確性・説得力などであり、論証の理由付けは重視されていないのが通常です。 したがって、抽象論重視 […]
令和4年司法試験過去問講座の単年度版(基本7科目)、令和4年予備試験過去問講座の単年度版(基本7科目)の販売を開始いたしました。 下記のリンクから購入ページにお進みくださいませ。 【令和4年司法試験過去問講座の単年度版(基本7科目)】 https://kato-seminar.jp/courses/detail/?id=164067 【令和4年予備試験過去問講座の単年度版(基本7科目)】 https://kato-seminar.jp/courses/detail/?id=164068
不法原因給付物を客体とする盗品等関与罪(刑法256条)の成否については、①不法原因給付物を客体とする前提犯罪(詐欺罪、恐喝罪、横領罪)の成否(256条1項でいう「財産に対する罪に当たる行為」の成否)、②盗品等関与罪の保護法益論との関係(256条1項でいう「物」への該当性)に分けて考え、論文試験では①→②の流れ論じます。 まず、①前提犯罪の成立が否定されれば、「…財産に対する罪に当たる行為によって領得された物」に当たらないため、盗品等関与罪の保護法益論に入るまでもなく、盗品等関与罪不成立という結論になります。 次に、②前提犯罪の成立が肯定されても、不法原因給付物については民法708条本文類推適用 […]
お問い合わせありがとうございます。 現在、ページ等準備しておりまして、GW明けには司法試験過去問講座、予備試験過去問講座の令和4年度分の単年度販売を開始いたします。 お手数をおかけしますが、もうしばらくお待ち頂けますと幸いでございます。
偏差値40の原因、試験適性などにもよるため、無理だとは思いません。また、司法試験・予備試験では、予備試験短答の一般教養科目を除き、小中高の知識は使いませんので、知識面でのハンデはありません。 もっとも、偏差値40の場合、①国語力(特に、読解力、要約力、文章構成・表現力)が低い、②試験傾向を把握するコツが身に付いていない、③自分に合った勉強法を確立できてないという大きなハンデを負っていることになります。 旧司法試験時代に比べて、現行の司法試験も予備試験も合格しやすくなりましたが、それでも、合格者の基礎学力の平均値は早慶法くらいと考えた方が良いです。その上で、正しい方向で相当量の勉強をした人だけが […]
司法試験の採点実感における「評価は相対的に低くなる」という指摘は、多義的であり、超上位答案を比較対象としていることもあれば、500番前後の中位答案を比較対象としていることもあります。また、よほど初歩的なことでない限り、「評価は相対的に低くなる」という指摘を受けている論述をしても、不合格答案(1500番以下)になることはありません、それくらい、司法試験の採点実感における要求水準は高いです。 上記からも分かる通り、司法試験の採点実感では現実離れした指摘がなされることが少なくありません。また、「不良の答案の例」として挙げられている論述をしたからと言って当然に不良の水準になるわけではなく、「当該配点項 […]
司法試験合格パックを受講して頂き誠にありがとうございます。 加藤ゼミナールのインプット教材には、基礎応用完成テキストと総まくり論証集の2種類があります。総まくり論証集は論文一元化教材ですが、記憶するべき知識がコンパクトに集約されているという性質上、理解のために読むべき記述がほとんどありません。 法科大学院未修1年に在籍しており、3科目めの基礎講義の受講中という学習状態ですと、まだ総まくり論証集に切り替える時期ではありません。今の段階で記憶重視の総まくり論証集に切り替えると、必要な理解を得ることができないからです。 したがって、基礎講義と総まくり講義の1周目を終えるまでは、基礎応用完成テキストを […]
基礎問題演習テキストは、1問1分野の短文事例問題であるため、「解説」部分は不要であると考えていましたが、元ネタになっている判例の概要、思考のプロセスなどをより分かりやすく伝えるためにも、来期の改定の際には、労働法重要問題100選テキストのように、1問につき半ページ~1ページくらいの簡易な解説を付けようと考えております。 貴重な提案をして下さりありがとうございます。
基礎問題演習講座を受講して頂きありがとうございます。 基礎問題演習講座「憲法」の答案の形式は全て、法律意見書形式です。それは、基礎問題演習講座は基礎的なことを習得することを獲得目標とした講座であり、ここで学習した知識・方法論を土台として予備試験過去問・司法試験過去問の演習に入ることを想定しているからです。したがって、三者間形式の答案の書き方は、司法試験過去問の演習・分析の段階で習得して頂くことを想定しています(なお、司法試験過去問講座では、プレテストから平成29年までの13年分については、法律意見書形式と三者間形式の双方の答案・解説があります。)。 また、少なくとも今期は、三者間形式の答案を追 […]
こちら失礼いたしました。いずれもご指摘の通り、根拠条文は424条の5ではなく、424条1項但書となります。 先ほど、基礎問題演習講座及び予備試験過去問講座の受講画面にも根拠条文の訂正を反映いたしました。 教えて頂きありがとうございます。
お返事遅くなりました。 去年で法律科目169点+一般教養科目33点であれば、短答に専念するなら1か月前、短答5~7割・論文3~5割の比率なら1か月前から短答対策を開始すれば十分間に合うと思います。 それだけ点数が取れているということは、解法も短答知識も定着していると思います。 私も短答が得意な方で、合格年度には短答に専念した期間はなく、3月から模試(4月上旬)と本試験(5月中旬)に向けて六法等の読込みをスタートし、トータルで2週間分くらいしか使っていないと記憶しています(短答の成績は8000人中600位くらいでした。)。 短答に集中している期間はどうしても論文の感覚が薄れていくものですから、最 […]
15年ほど前のことになりますが、私が慶應LAWの入試を受けた経験も踏まえると、基礎問の答案をちゃんと再現できるレベルまでは不要であり、A・B+レベルのことで解答筋を外さないことが大事だと思います。 基本的には、①重要な条文選択を誤らない、②重要論点を落とさない(論点の組み合わせも含む)、③それなりに正しい規範を書くという3点が重要であり(刑訴法では、伝聞・非伝聞で結論を誤らない、推認過程でおかしなこと書かないことも大事です)、④論証の理由付け、⑤当てはめのボリューム、正確性では合否は決まらないと思います。 もちろん、「刑事訴訟法320条1 項が、「公判期日における供述に代えて書面を証拠とし、又 […]
虚偽排除説を前提にして説明しますと、不任意自白の証拠能力については、原則として自白法則として論じるだけで足ります。 例えば、約束自白の場合には、自白獲得手続に違法を認めることは困難ですから、その意味においても違法収集証拠排除法則にまで言及する必要はありません。 ただし、①令和2年司法試験設問2のように、設問において自白法則と違法収集証拠排除法則の双方に言及することが求められている場合には、双方に言及する必要があります。 また、②平成27年司法試験設問2のように、不任意自白の派生的証拠の証拠能力が問われている場合には、不任意自白の派生的証拠に関して採用する見解によっては、自白法則だけでなく、違法 […]
取り急ぎ、論証集における追加・変更点を挙げると、次の通りです(ただし、いずれも令和5年司法試験で出題される可能性は低いです)。 行政法の原告適格の論証(論証は答案1頁参照) →出題趣旨・採点実感で言及されているキーワードを全て網羅したものに変更しました . 行訴法9条1項でいう「法律上の利益を有する者」が原告適格と訴えの利益の双方を意味すること(論述例は答案4頁参照) →訴えの利益の文言上の位置づけが出題趣旨・採点実感で明らかにされました(解説8頁参照) . 経営判断原則が利益相反関係が存在する場面に適用されない詳細な理由(解説7頁、答案4~5頁参照) . 訴えの主観的追加的併合の問題点である […]
司法試験・労働法フルパックを受講して頂き誠にありがとうございます。 特に出題可能性が高いと考える学説対立は以下の通りです。 因果関係における相当因果関係説と危険の現実化説の対立(R2司法) 間接正犯事例の故意なき幇助的道具における学説対立(H21司法) 間接正犯の実行の着手時期における利用者標準説と被利用者標準の対立(H25司法) 殺人罪の不真正不作為犯と保護責任者遺棄致死罪の区別に関する学説対立(H30司法) 被害者の承諾における法益関係的錯誤説と条件関係的錯誤説の対立 実行の着手時期における形式的客観説、従来の実質的客観説、新しい実質的客観説(危険性+密接性)の対立 原因において自由な行為 […]
従来から、労基法37条所定の方法以外の方法による割増賃金の支払の要件について、①通常の労働時間の賃金に当たる部分と労基法37条の定める割増賃金に当たる部分とを判別することができることと(これを「判別可能性」といいます。)、②割増賃金に当たる部分が労基法37条に基づく計算額以上であることの2点であり、①は②の判定可能性を担保する趣旨であると解されています(例えば、水町勇一郎「詳解 労働法」初版685頁)。 日本ケミカル事件判決(最判H30.7.19)は、「労働基準法37条…は、労働基準法37条等に定められた方法により算定された額を下回らない額の割増賃金を支払うことを義務付けるにとどまるものと解 […]
これは授業でも説明していることですが、違法事由に関する問題では必ず、①処分要件レベルのことと②効果レベル(主として効果裁量の有無、裁量権の逸脱濫用)のことに分けた上で、①処分要件については㋐実体的要件と㋑手続的要件の双方を確認します。 もっとも、だからといって常に①‐㋐、①‐㋑、②の全てについて言及するわけではありません。あくまでも問題分析をする際のチェックリストにすぎませんから、①‐㋐、①‐㋑、②のうち本問で問題になると判断したものだけを答案に書きます。 平成24年設問2では、「本件処分の通知書には、その理由として、「Aが、本市市長の確認を受けずに、下水道接続工事を行ったため。」と記載されて […]
刑法でも、論点つぶしになるような構成を選択しているという認識はありませんが、構成によってはいたずらに答案が複雑化することがあるので、こうした事態にはならないように配慮していることはあります。また、解答速報の段階では、理想的な構成に言及した上で、現実解も示すという意味で、敢えて構成を簡略化していることがあります(例えば、令和3年予備試験刑法の解答速報の後半部分など)。 現行の試験では、あり得る構成であれば、選択した構成ごとに配点が設けられていますから、ある構成を選択したことにより消滅する論点が生じたとしても、これにより失点するということにはなりません。仮に、問題文でもろに誘導されている論点が消滅 […]
結論から申し上げるが、全体的には内容面に問題はなく、合格レベルに到達できますし、民事系・刑法なら上位を目指すことも可能だと思いますが、科目ごとに弱点があるのも事実ですから、その弱点を理解して補う勉強もするのが無難であると考えます。 伊藤塾は、講師によってばらつきがありますが、呉先生、本田先生は、教え方も丁寧であり、法律と試験に対する理解も深いため、基礎固めをする上で有益であると考えています。 ただし、学説選択や答案の書き方という点で現行の試験傾向に対応しきれていないことと、情報が古いという問題もあります。実際、アガルート、加藤ゼミナールの利用者が多いのは、伊藤塾で基礎講義を終えたあたりで物足り […]
加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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