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直接取引における「ために」についての名義説の内部でも、誰の名義であるのかをどこまで実質的に判断するかについて見解の対立があります。会社の承認を経ない直接取引の効力は絶対的無効であるため、相手方の取引安全を図るためには、誰の名義であるかを形式的に判断するべきという要請が働きます。この要請を重視して、誰の名義であるかは形式的に判断するべきであり、具体的には、取締役本人が会社との取引の相手方となる場合、取締役が取引相手方を代表又は代理する場合だけが直接取引に該当すると理解する見解もあります(髙橋ほか「会社法」第2版195頁参照)。この見解からは、⓪・①・②だけが直接取引に該当し、③・⑤・⑥・⑦・⑧に […]
まず、経営判断原則は、法令違反行為事案、取締役・会社間の利益衝突事案(356条1項1号~3号に該当する場合に限らない)、及び監視義務違反事案には適用されませんから、まずはこれらの点を確認します。会社の事業の性質からして重要な法令に違反したことを公表するかどうかの判断、内部統制システムの構築については、争いがあります(伊藤ほか「リーガルクエスト会社法」第4版233頁、「判例百選会社法」第3版・事件52解説)。 次に、最一小判平成21・7・9(百52)が問題となっている判断事項が「将来予測にわたる経営上の専門的判断ゆだねられている」と述べた上で経営判断原則を適用していることから、問題となっている事 […]
潮見佳男「民法(全)」第版483頁及び潮見佳男「基本講義 債権各論Ⅰ 」第3版321頁では、潮見佳男教授の見解として、民法が費用利得・求償利得・給付利得に対応する各規定を設けている(費用利得:595条・608条・650条等、求償利得:459条・702条等、給付利得:121条の2・545条等)ことを根拠として、「703条・704条の規定は、もっぱら、侵害利得の類型について妥当する。-給付利得・費用利得・求償利得には適用されない。-とみるのが適切である。あわせて、民法典が採用している不当利得の体系は、もはや(債権法改正後においては)衡平説では説明が付かないものとなっている。」と書かれています。 […]
まず、明確な受領拒絶は、社会通念上の履行「不能」には該当しないと思います。潮見佳男ほか「詳解改正民法」初版124頁では、社会通念上の不能の例として、債務の履行のために必要な費用とそれによって実現される債権者の利益との間に著しい不均衡がある場合(事実的不能)と債務の履行が法的に禁止される場合(法律的禁止)が挙げられている一方で、明確な受領拒絶又はこれに準じる事態は挙げられておりません。また、ご指摘の通り、415条2項や542条1項が不能と履行拒絶を区別して規定していることとも整合しません。 次に、売主が履行の提供をしているが買主が明確に受領を拒絶しているという事案では、受領遅滞の法的性質に関する […]
最二小判平成10・4・24は、「契約に基づく債務について不履行があったことによる損害賠償請求権は、本来の履行請求権の拡張ないし内容の変更であって、本来の履行請求権と法的に同一性を有すると見ることができるから、債務者の責めに帰すべき債務の履行不能によって生ずる損害賠償請求権の消滅時効は、本来の債務の履行を請求し得る時からその進行を開始するものと解するのが相当である」として、履行不能による損害賠償請求権の消滅時効の起算点について、履行不能による損害賠償請求権は本来の履行請求権が同一性を維持しつつ姿を変えたものにすぎないとの理由から、本来の債務の履行を請求し得る時であると解していました(山本敬三「民 […]
㋐抵当権に基づく妨害排除請求が「不法占拠者」を相手方とするものであり、かつ、抵当権者への直接明け渡しを求めるものでない場合には、①だけで足ります。 ㋑抵当権に基づく妨害排除請求が「占有権限を有する者」を相手方とするものであり、かつ、抵当権者への直接明け渡しを求めるものでない場合には、①に加え②も必要です。②まで必要とされるのは、抵当不動産所有者の賃貸権限(抵当権は非占有担保であるから、抵当不動産の使用収益権限(賃貸権得を含む)は抵当不動産所有者に留保される。)との調整を図るためです(道垣内弘人「担保物権法」第3版183頁、171頁)。なお、①の中に②の趣旨が含まれているとして、②を独立の要件と […]
改正民法下では、詐害行為取消訴訟の認容判決の効力が「債務者」にも及ぶため(新425条)、債務者Aによる債務免除等を取り消す旨の判決が確定した場合には、債務者Aと債権者Cとの間においても、債務免除等の取り消しにより債務者Aの第三債務者Bに対する金銭債権が復活したことになります。したがって、既に詐害行為取消訴訟で認容判決が確定しているのであれば、債権者Cは、債権者代位訴訟において、債務者Aによる債務免除等を原因とする被代位権利の消滅の抗弁に対する再抗弁として、債務者Aによる債務免除等が詐害行為として取り消されたことを主張することができます。 もっとも、詐害行為取消権は、必ず裁判上の行使によらなけれ […]
矛盾しません。「弁済期の定めのある受働債権とが相殺適状にあるというためには、期限の利益の放棄又は喪失等により受働債権の弁済期が現実に到来していることを要すると解する。」という判例の立場(後者)は、「自働債権の債権者は、自働債権の弁済期が到来したならば、受働債権の期限の利益を放棄して弁済期を到来させることで、相殺適状を作り出すことができる」という記述(前者)を前提とした、「相殺の効力が遡及する相殺適状時はどの時点か」という議論に関するものです。 例えば、「AのBに対する甲債権の弁済期は2020年10月1日、BのAに対する乙債権の弁済期は2020年12月1日、Aが2020年11月1日に乙債権の期限 […]
AがBに対する債権をCとDに二重譲渡したという事案における第一譲受人CのBに対する譲受債権履行請求では、被告Bは、AD間における第二譲渡の事実だけを抗弁事実とする「単なる債権喪失の抗弁」を主張することはできません。 単なる債権喪失の抗弁を主張することができるのは、例えば、売主Xの買主Yに対する代金支払請求訴訟において、買主Yが、債権喪失原因として売主XによるZに対する債権譲渡の事実を主張する場合です。 上記の二重譲渡の事案では、被告Bとしては、①「債務者対抗要件の抗弁」と②「第三者対抗要件の抗弁」を主張することができ、Dが第二譲渡について第三者対抗要件を具備しているのであれば、③「Dの第三者対 […]
「民法と仲良くなる方法」の1つとして、条文や論点が登場する場面を具体的にイメージするとともに、そのイメージを文章や図として、普段使っている教材の余白にメモしておく(付箋にメモするのもあり)という方法を挙げることができます。 イメージできなければ判例集や短文事例問題集(新・伊藤塾試験対策問題集等)で確認する、イメージしたことを文章や図として普段使っている教材の余白にメモするといったことの繰り返しにより、徐々に、民法の事例処理のパターンが知識として身につくとともに、事例処理における頭の使い方が鍛えられると思います。 例えば、所有権留保売主Aが、買主Bが代金を支払わなかったとして、買主Bからの転得者 […]
例えば、XがYに対して動産甲を売却し、引き渡しを終えていないという事例において、理論上は、①売買契約に基づく目的物引渡請求権と②所有権に基づく返還請求権のいずれを訴訴物として構成することができますが、①を訴訟物とするのが通常です。②の請求原因は㋐Yもと所有・㋑XY売買・㋒Y現在占有、①の請求原因はXY売買だけというように、①の請求原因が②の請求原因に包含されるため、①のほうが少なくとも請求原因の面では原告Yにとって有利だからです。しかも、仮にXがZに対しても動産甲を売却しており、Zに対する引渡しも終えている(178条の対抗要件具備)という事情があっても、①であれば、Xが対抗要件具備による所有権 […]
本件通達を法5条に基づく設置許可の実体要件について認められる要件裁量に関する裁量基準に位置づけることができるかは、本件通達が実体要件について定める法5条2項及び同条項の委任を受けた同法施行規則12条とに関するものといて発出されたものであるかと直接的な関係はないと思います。通達は法令との委任関係がないものですから、形式上は申請の形式的要件について定めた法5条1項及び同条項の委任を受けた同法施行規則11条2項に関するものとして発出されたものであったとしても、許可の実体要件として運用されているのであれば、審査基準に位置づけられることになります(申請には形式的要件と実質的要件とがあることについては、中 […]
公法上の確認訴訟と無名抗告訴訟の区別については、中原茂樹「基本行政法」第3版400頁の記述が参考になると思います。 最高裁平成24年判決(最一小判平成24・2・9・百Ⅱ207)は、職務命令に基づく公的義務の不存在確認訴訟について、それが「将来の不利益処分たる懲戒処分の予防を目的とする」ものである場合には、「本件職務命令の違反を理由とする懲戒処分の差止めの訴えを本件職務命令に基づく公的義務の存否に係る確認の訴えの形式に引き直したもの」であり、「行政処分に関する不服を内容とする訴訟」として「無名抗告訴訟」に当たると判示しています。これについて、中原茂樹「基本行政法」第3版400頁では、公的義務不存 […]
平成29年司法試験の出題趣旨では、路線廃止の取消訴訟における違法事由の立論が求められている設問2(2)について、①「まず、現に通行者による利用が存在して道路としての機能が喪失していない以上は同条の要件を満たさないといえるのか、それとも、現に利用が存在しても、通行者による利用の程度の乏しさ、代替的な交通路の存在などに鑑みて一般交通の用に供するに適さない状況があれば「必要がなくなつた」として廃止できるのかを検討、しなければならない。」、②「更に上記の要件該当性の判断について行政庁に裁量権が認められるのかを検討しなければならない。」とされています。ここでは、①路線廃止の処分要件である「一般交通の用に […]
原告適格では、おそらく、条文等(条文、内部基準、被侵害利益の内容性質)の一つ一つに配点があると思われますから、網羅的に言及すれば、その分だけ点数が入ります。もっとも、中には配点がない条文等もあるかもしれませんし、配点の大小も条文等によって異なります。原告適格は書こうと思えばいくらでも長く書けてしまう論点であるため、簡潔にまとめるという思い切りとそのための技術が必要です。条文等についていえば、「少なくとも公益として保護されているか⇒個別的利益として一定範囲で保護されているか⇒一定範囲の線引きをするための基準を定立」という各過程において「核」となるものに言及することができていれば、500番~100 […]
確かに、建築確認処分の要件規定として、大規模の建築物の主要構造部の防火措置等について定めた建築基準法21条を用いることで、F・Gについて、近隣建築物により侵害され得る生命・健康・財産を被侵害利益とする原告適格を肯定することも可能であると思います。しかし、F・Gについて、いかなる利益を被侵害利益として原告適格を検討するのかについては、原告であるF・Gの言い分(F・Gが主張する被侵害利益)を基準として判断することになります。会議録によると、F・Gは、建築確認に係る本件建築物の敷地が十分な幅の道路に接しているとはいえないため「火災時などに消防車等が侵入することが困難で、防災上問題がある」と主張してい […]
かつては、法律の委任に基づく政省令・委任条例について、「処分の根拠となる法令の規定」に位置づける見解のほかに、「処分の根拠となる法令‥‥と目的を共通にする関係法令」に位置づける見解も存在しました。しかし、平成23年司法試験・採点実感において、「検討に当たっては、まず、「処分の根拠となる法令の規定」として、モーターボート競争法第5条及びその委任を受けた同法施行規則第12条、第11条の規定を確認し・・」、「用語に関する基本的な誤解が目立つ。例えば、・・行政処分の根拠法令に属する省令の規定をも、行政事件訴訟法第9条2項にいう「関係法令」の一つに挙げる答案・・」というように、法律の委任に基づく政省令・ […]
損失補償の要件である特別の犠牲については、現在は、形式・実質二要件説ではなく、実質要件説により判断されます。実質要件説の下では、形式・実質二要件説における形式的基準は、独立の要件から、実質的要件を判断する上で必要な限度で考慮される一要素に格下げされることになります。なので、事案によっては、「侵害行為の対象が一般的か個別的か」という形式的基準が「財産権の内在的制約として受忍すべき限度を超え・・る」(中原茂樹「基本行政法」第3版442頁)かという実質的要件の該当性を判断する際に意味を持たないこともあります。 消極目的に基づく財産権者に対する不利益処分は、本来的には、特定の財産の保有者全般が公共の福 […]
確かに、処分性が問題となっている行為について、行政不服審査法の適用除外規定がある場合には、行政手続法の適用除外規定がある場合と同様、そのことを処分性を肯定する方向で評価することができます。処分性がないのであれば、適用除外規定がなくても行政不服審査法が適用されないのですから、にもかかわらず敢えて行政不服審査法の適用除外規定が設けられているということは、法が当該行為について本来であれば行政不服審査法が適用される「処分」であることを前提にしている、と理解することになります。しかし、設問1で処分性が問題となっているのは退去要請令書の発付であるのに対し、会議録で行政不服審査法の適用外規定があると説明され […]
設問1では、住民訴訟の訴訟要件を確認しましょう。特に、村長Eを被告としてEに対する損害賠償請求権を行使することの義務付けを求める住民訴訟(地方自治法242条の2第1項4号)は、平成24司法試験の憲法論文でも出題されているため、理解しておく必要性が高いです。 設問2では、①適正な対価なくしてされる財産の譲渡について議会の決議が必要であるという法令の仕組み(96条1項6号、237条2項)、その趣旨、「適正な対価」に関する判断方法(行政裁量の有無、行政裁量を認める場合には判断過程で何を考慮するべきか)、②随意契約に関する法令の仕組み(原則禁止:法234条2項、例外許容:同条2項:施行令167条の2第 […]
加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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