加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

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平成22年司法試験の行政法論文から学ぶべきこと

先日、平成22司法試験行政法を解いたのですが、最初から最後まで住民訴訟絡みの問題であるため、この問題から何を吸収すればいいのか分かりませんでした。住民訴訟の要件や、随意契約の趣旨などを確認しておけばいいのでしょうか。復習の参考にしたいのでご助言いただけると幸いです。

設問1では、住民訴訟の訴訟要件を確認しましょう。特に、村長Eを被告としてEに対する損害賠償請求権を行使することの義務付けを求める住民訴訟(地方自治法242条の2第1項4号)は、平成24司法試験の憲法論文でも出題されているため、理解しておく必要性が高いです。

設問2では、①適正な対価なくしてされる財産の譲渡について議会の決議が必要であるという法令の仕組み(96条1項6号、237条2項)、その趣旨、「適正な対価」に関する判断方法(行政裁量の有無、行政裁量を認める場合には判断過程で何を考慮するべきか)、②随意契約に関する法令の仕組み(原則禁止:法234条2項、例外許容:同条2項:施行令167条の2第1号)、原則禁止の趣旨(一般競争入札の利点=機会均等・公正性・手続透明性・価格有利性)です。

設問3では、住民訴訟制度の趣旨の捉え方(平成18年判決:財政民主主義を重視して議会の裁量を強調、平成21判決:財政の適正管理原則を重視して議会の裁量を平成18判決よりも制限)です。

設問1~3のいずれについても、同じ問題が出題される可能性は高くありませんが、一度出題された条文知識や考え方を土台として解くことになる問題が出題される可能性はそれなりにありますから、解答の土台になるような知識・考えを学ぶという姿勢で復習してみると良いと思います。

2020年09月07日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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