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平成21年司法試験設問1 F・Gの原告適格を検討する際に、大規模の建築物の主要構造部の防火措置等について定めた建築基準法21条を用いることもできるか

平成21年司法試験設問1では、F・Gの原告適格を検討する際に、建築確認処分の要件規定として、大規模の建築物の主要構造部の防火措置等について定めた建築基準法21条ではなく、建築物の敷地と道路との関係(接道義務)について定めた建築基準法43条及び同条の委任を受けたB権建築安全条例4条を使うというのが、解答筋のようです。もっとも、大規模の建築物の主要構造部の防火措置等について定めた建築基準法21条を使っても、F・Gについて、近隣建築物により侵害され得る生命・健康・財産を被侵害利益とする原告適格を肯定することができるのではないでしょうか。

確かに、建築確認処分の要件規定として、大規模の建築物の主要構造部の防火措置等について定めた建築基準法21条を用いることで、F・Gについて、近隣建築物により侵害され得る生命・健康・財産を被侵害利益とする原告適格を肯定することも可能であると思います。しかし、F・Gについて、いかなる利益を被侵害利益として原告適格を検討するのかについては、原告であるF・Gの言い分(F・Gが主張する被侵害利益)を基準として判断することになります。会議録によると、F・Gは、建築確認に係る本件建築物の敷地が十分な幅の道路に接しているとはいえないため「火災時などに消防車等が侵入することが困難で、防災上問題がある」と主張しています。このように、F・Gが主張している被侵害利益は、大規模の建築物の主要構造部の防火措置等について定めた建築基準法21条に違反することにより侵害される生命・健康・財産ではなく、建築物の敷地と道路との関係(接道義務)について定めた建築基準法43条及び同条の委任を受けたB権建築安全条例4条に違反することにより「火災時などに消防車等が侵入することが困難となることで侵害される生命・健康・財産」です。したがって、F・Gの原告適格を検討する際には、建築確認処分の要件規定として、建築物の敷地と道路との関係(接道義務)について定めた建築基準法43条及び同条の委任を受けたB権建築安全条例4条を使うことになります。

2020年09月07日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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