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練馬事件・最大判昭和33・5・28・百Ⅰ75は、「数人の共謀共同正犯が成立するためには、その数人が同一場所で会し、かつその数人間に一個の共謀の成立することを必要とするものでなく、同一の犯罪について、甲と乙が共謀し、次いで乙と丙が共謀するというようにして、数人の間に順次共謀が行われた場合は、これらの者すべての間に当該犯行の共謀が行われたと解するのを相当とする。」と判示しています。これにより、同一犯罪について、数人の間に順次共謀が行われた場合、共謀者全員の間に共謀が成立したものと評価される。 平成28年司法試験の事案は、甲による共同正犯関係からの離脱や丙についての承継的共同正犯の成否等、順次共謀以 […]
振り込め詐欺の事案については、1項詐欺罪説と2項詐欺罪説とが対立しており、判例は1項詐欺罪説に立っています(大判昭和2・3・15)。犯人は、自己の管理する銀行口座に金銭を振り込ませることで、その金額の預金を自由に払い戻せる状態になるのだから、犯人と被害者との間で現実に「財物」たる現金の授受(占有移転)があったのと同視できるというのが、その理由です(大塚裕史「基本刑法Ⅱ」第2版288頁)。これについては、松澤伸教授の論説が参考になると思います(「論説 振込め詐欺を巡る諸問題 松澤伸」)。 これに対し、還付金詐欺について、大阪高判平成28・7・13では、電子計算機使用詐欺罪(未遂)の成立が認め […]
未遂犯の成立要件については、①㋐「犯罪の実行に着手」したことと、㋑構成要件的結果が発生しなかったことだけで足りるとする見解のほか、②「行為自体の危険」と「結果としての危険」を区別した上で、㋐「犯罪の実行に着手」したこと、㋑構成要件的結果に至る具体的危険が発生したこと、及び㋒構成要件的結果が発生しなかったことと整理する見解もあります(高橋則夫「刑法総論」386頁)。 ②の見解からは、未遂犯の成立には、「犯罪の実行に着手」したことにより構成要件的結果に至る具体的危険が発生したこと(㋑)という意味で、因果関係が必要となります。 平成30年司法試験刑法の採点実感で「仮に未遂犯においても結果の発生を必要 […]
間接正犯は、本来的には、正犯性の問題です(大塚裕史「基本刑法Ⅰ」第3版309頁、山口厚「刑法総論」第3版67頁以下、高橋則夫「刑法総論第3版422頁」)。山口厚「CRIMINAL LAW刑法」第3版40頁では、「直接正犯と間接正犯とは、(正犯の)構成要件該当性が認められる事例での、内部的な事実上の区別にすぎない。ここで、外形的には実行行為がないのに、いかなる場合に、自手実行がある場合と同視しうるのかが問題となるのである」とされています。つまり、甲が乙に指示をして乙に万引きをさせたという事例では、甲又は乙のいずれかを正犯とする窃盗罪の構成要件該当性が認められることまでは確定しており(したがって、 […]
謀議時点から共同者間の認識が罪名レベルでずれている場合には、罪名レベルで故意の内容が異なる者どうしの合意により「共謀」が成立するのかという形で、共同正犯の罪名従属性が問題となります。共同正犯の罪名従属性は、罪名レベルで故意の内容が異なる共同者間に共同正犯が成立するのか、という問題です。このように、共同正犯の罪名充足性は、直接的には、結果(V死亡)と故意(乙の傷害の故意)のずれではなく、共同者間の故意のずれ(甲が殺人の故意を有する一方で、乙が傷害の故意しか有しないこと)を問題にしています。謀議時点から共同者間の認識が罪名レベルでずれている場合には、共同正犯の成否の検討過程にける出発点に位置づけら […]
実行行為とは、広義には客観的構成要件に該当する行為全般を意味し(強盗罪における「強取」、詐欺罪における交付行為を受けること等も含まれる)、狭義には強盗罪の「暴行又は脅迫」や詐欺罪における「欺」罔行為等を意味します。 承継的共同正犯は、後行者について、実行行為終了前に「共謀に基づき実行行為の一部を実行した」ことを根拠として、一部実行全部責任という効果としていかなる範囲で先行者の行為とそれにより惹起された結果を承継するか(=加功前の先行者の行為とそれにより惹起された結果も含めて共同正犯としての責任を負わせることができるか)という議論です(高橋則夫「刑法総論」第3版460頁)。なので、ここでいう「実 […]
私も、法人による窃盗罪における占有については、「占有の主体をA社とするなど、占有についての理解が不足しているのではないかと思われる答案もあった」という平成27年司法試験の採点実感を契機として、かなり調べた記憶があります。 佐伯仁志・道垣内弘人「刑法と民法の対話」初版159頁では、「「自己のためにする意思」は窃盗罪の占有には必要なく、他人のためにする占有も含まれ、他方で、代理占有、間接占有、占有改定のような観念的な占有は、窃盗罪の占有には含まれない」とされています。民法の占有が認められるためには、直接占有・間接占有のいずれにおいても、「自己のためにする意思」(民法180条)が必要です。民法上、会 […]
最一小判平成30・3・22の山口厚裁判官の補足意見は、クロロホルム事件・最一小決平成16・3・22・百Ⅰ64を参照した上で、①実行行為との密接性と②既遂結果発生の客観的な危険性の双方を満たす行為に着手した時点に未遂犯における「実行に着手」が認められると述べています。そして、①と②の関係性について、「相互に関連させながらも、それらが重畳的に求められている趣旨を踏まえて検討することが必要である。特に重要なのは、無限定な未遂罪処罰を避け、処罰範囲を適切かつ明確に画定するという観点から、上記の「密接性」を判断することである」と述べているため、①と②を一応区別しています。 もっとも、①と②とは、相互に関 […]
まず、認識していた客体である乙に対する殺人未遂罪が成立することについて、簡潔に認定します。ここでは、抽象的法定付合説と具体的法定付合説の対立も、数故意犯説と一故意犯説の対立も書きません。 次に、認識していなかった客体である丙に対する殺人未遂罪の成否を検討します。ここでは、抽象的法定付合説と具体的法定付合説の対立を論じ、抽象的法定付合説に立つ場合にはさらに数故意犯説と一故意犯説の対立も論じます。なお、双方未遂事例でも、後者の論点を書きます。例えば、最三小判昭和53・7・28・百Ⅰ42は、甲が警察官乙の拳銃を強取する目的で、改造けん銃を発砲したところ、弾丸が乙・丙双方に命中したものの、いずれも死亡 […]
身分は客観的構成要件要素ですから(大塚裕史ほか「基本刑法Ⅰ」92頁)、身分の連帯的作用・個別的作用を定めた65条1項・2項は、少なくとも構成要件該当性の段階で論じることになります。 例えば、「他人の物」を「占有する」甲と非占有者乙とが、単純横領罪について共謀し(乙は甲の身分について認識あり)、当該「他人の物」に対する「横領」を実行したという事案であれば、初めに、甲について単純横領罪が成立すること(後述の通り、乙との共同正犯となること)を認定します。次に、乙に単純横領罪の共同正犯が成立するかを検討し、その際、①単純横領罪についての共謀の成立、②①の共謀に基づく「横領」の実行、③65条1項・2項の […]
前訴で敗訴した前訴被告が前訴確定判決の不正取得を理由として不法行為に基づく損害賠償を求めて後訴を提起する場合について、後訴を制限する方法としては、①前訴確定判決の既判力が後訴に作用するとしたうえで、後訴における前訴被告の主張のうち前訴確定判決の主文中の内容と矛盾するものを排斥することで、請求を棄却するというものと、②前訴確定判決の既判力が後訴に作用することを否定しつつ、請求認容のために必要とされる請求原因として、㋐本来的要件(故意過失、権利利益侵害、損害、因果関係)に加え㋑「特別の事情」も要求する(請求原因を加重する)というものがあります。最高裁は②の立場であり、②・㋑について、勅使川原和彦「 […]
権利抗弁と事実抗弁の区別については、①権利抗弁は「権利者による訴訟上での権利行使の意思表示」を必要とするものであるとする見解(髙橋宏志「重点講義 民事訴訟法 上」第2版補訂版450~451頁、「民事訴訟法判例百選」事件51解説2(2))と、②権利抗弁は「権利者による権利行使の意思表示」を必要とするものであるとして、権利行使の意思表示の必要性を「訴訟上」におけるものに限定しない見解があります(和田吉弘「基礎からわかる民事訴訟法」初版263~264頁、三木浩一ほか「リーガルクエスト民事訴訟法」第3版225~226頁)。秒速・総まくり及び秒速・過去問攻略講座で採用している延期的・停止的抗弁権か永 […]
平成29年司法試験設問1の採点実感では、裁判所が当事者XYのいずれからも主張されていない「AがYの代理人としてXと売買契約を締結したという事実」という主要事実を判決の基礎にすることの可否が問われている問題について(※この事実が本当に主要事実なのかについては、こちらを参照)、①「一般的に、民事訴訟において、裁判の基礎となる資料の収集を当事者の責任とする原則(いわゆる弁論主義)が妥当」すること、②「その一環として、裁判所は当事者が主張しない事実を判決の基礎にしてはならないとの原則(いわゆる主張原則)が妥当する」こと、及び③「主張原則の対象となる事実は少なくとも主要事実を含むと解されている」ことを「 […]
平成25年民事訴訟法の採点実感では、「設問に対する解答を超えて」一般論を論じることについて、「特に評価の対象とはしない」とあり、場合によっては「得点に繋がらない上、丸暗記した論証パターンを無反省に書き散らかした答案として、印象も極めてよくない」とまで書かれています。もっとも、ここで想定されている「設問に対する解答を超え」た一般論について、過度に狭く捉えることにならないよう、気を付ける必要があります。①具体的検討(当てはめ)で使わない一般論と、②会話文で示されている問題意識から外れる一般論が、「設問に対する解答を超え」る一般論です。 平成25年司法試験設問1では、過去の法律関係を確認対象とする遺 […]
ご指摘の通りです。確かに、売買契約に基づく本件絵画の引渡請求権という訴訟物との関係では、「AがYの代理人としてXと売買契約を締結したという事実」は、有権代理による請求原因事実(AX間の売買契約の締結、Aの顕名、YからAに対する先立つ代理権授与)に直接該当する事実として主要事実に該当することになります。 しかし、設問1では、Xが売買契約に基づく本件絵画の引渡請求権を追加するための訴えの追加的変更をしていません。そうすると、旧訴訟物理論を前提にすると、本件訴えにおける訴訟物は贈与契約に基づく本件絵画の引渡請求権だけとなります。贈与契約に基づく本件絵画の引渡し請求権という訴訟物における請求原因事実は […]
まず、請求異議の訴えに前訴確定判決の既判力が作用する形式的根拠として、確定判決についての請求異議の訴えについては、民事執行法35条2項の適用により、異議事由として主張することができることが前訴確定判決の「口頭弁論の終結後に生じたもの」に限られるため、前訴確定判決の既判力が作用することが前提にされているということが挙げられると考えられます。 次に、実質的根拠について、訴訟物どうしが同一関係にあると説明することも可能であると考えられます。請求異議の訴えの訴訟物については、複数の見解があり、現在は、給付判決についての請求異議の訴えについては、これが給付訴訟(前訴)の反対形相であるとして、その訴訟物を […]
平成25年司法試験設問4のように、問題文で既判力を飛ばして信義則を使って検討することが誘導されているといった事情がない限り、既判力から検討することになります。例えば、売買契約に基づく目的物引渡請求訴訟の判決確定後の代金支払請求訴訟における審理判断の制限が問題となった平成29年司法試験設問3に関する出題趣旨では、「本問では、既判力などの制度的効力を否定する場合には、既判力以外の理由、例えば信義則などにより、Xが本件絵画の売買契約の成否及びその代金額を後訴で争えなくなるか否かについて検討することも求められる。」と説明されています。したがって、仮に信義則で処理するのであれば、少なくとも、「既判力によ […]
確かに、「自己に不利益」について証明責任説を採用するならば、「事実」の範囲について、“少なくとも”証明責任を観念することができない間接事実と文書の成立の真正を除く補助事実は含まれないと解釈しないと、「自己に不利益」に関する解釈と「事実」の範囲に関する解釈とが整合しないと思います。逆に、「自己に不利益」について敗訴可能性説を採用するならば、「事実」の範囲について、間接事実・補助事実も含まれると解釈しないと、「自己に不利益」に関する解釈と「事実」の範囲に関する解釈とが整合しないと思います。 しかし、基本書では、「自己に不利益」に関する議論と、「事実」の範囲に関する議論は、連動させることなく、展開さ […]
最二小判平成10・6・12・百80は、外側説を採用したと理解されている最三小判平成6・11・22・百113を引用し(「民事訴訟法判例百選」第5版・事件80解説)、債務の消滅原因を相殺に限定することなく「一個の金銭債権の数量的一部請求・・の当否を判断するためには、おのずから債権の全部について審理判断することが必要になる。・・債権の一部の消滅が認められるときは債権の総額からこれを控除して・・」という外側説を前提とした抽象論(勅使川原和彦「読解 民事訴訟法」初版214頁参照)を述べているため、相殺以外の債務消滅原因についても外側説を採用していると思われます。そうすると、外側説・案分説・内側説の議論 […]
29条については、①同条に該当する団体には、訴訟上の当事者能力のみならず実体法上の権利能力も認められるとする見解(この見解によると、組合には、実体法上の権利能力に基づき団体固有の当事者適格が認められる)と、②同条に該当する団体には訴訟上の当事者能力しか認められず、実体法上の権利能力までは認められないとする見解(この見解によると、団体には訴訟担当者としての当事者適格が認められる)があります(伊藤眞「民事訴訟法」第6版125頁、髙橋宏志「重点講義 民事訴訟法 上」第2版補訂版188頁・12参照)。 ②の見解からは、団体には、構成員全員を権利義務主体とする訴訟担当者として当事者適格が認められるの […]
加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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