今回は、予備試験論文受験者が秒速講座や労働法講座を使って令和3年司法試験合格に向けた勉強をする場合における、理想的な学習スケジュールについてお話しいたします。
選択科目として労働法以外の科目を選択する方は、労働法対策に関する部分をご自身の選択科目に置き換えて読んで頂きますようお願い致します。
1.学習スケジュールの動画
2.これから半年間でやるべきこと
これから約6カ月間の勉強計画を立てるに先立ち、本試験までにやるべきことを具体的に把握する必要があります。
予備試験論文を受験した皆さんが令和3年司法試験合格のためにやることは、以下の3つであると考えます。
(1) 司法試験レベルの問題に対応する知識・方法論・慣れを身に付ける
司法試験と予備試験とでは、分野・論点という出題範囲での共通性が強い一方で、科目ごとに程度差があるものの、問題文の複雑さ・情報量の多さ、出題の形式・角度、点の取り方について、違いがあります。
こうした司法試験の特徴に対応できるようになる必要があります。
司法試験過去問の演習・復習を繰り返すことで、司法試験の問題に対応するための深い知識(書き方を含む)、方法論(現場思考問題の対処法を含む)、慣れを徐々に身につけていきましょう。
そのためには、司法試験全体及び科目ごとの特徴を的確に捉えた分析と、それに従った演習・復習が大事になってきます。
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(2) 選択科目対策
選択科目は、出来るだけ早い段階から勉強を開始しましょう。
新しく勉強する法律科目について、断片的な知識の記憶であれば短期間で完成させることができますが、「全体像をしっかりと頭に入れた状態で条文・知識を体系と典型事例に結び付ける形で理解・記憶することができている状態」にまで持っていくには、時間がかかるからです。
選択科目を選ぶ際の重要な考慮要素は、以下の4つです。
・受験生としての自分との相性
・基本7科目との共通性
・自分が関心を持つことができるか
・教材・講座が充実しているか
予備試験論文後の選択科目対策については、こちらの記事をご覧ください。
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(3) 短答3科目の対策
予備試験論文受験者は、短答3科目の基礎がしっかりと身に付いていると思いますし、予備試験対策として司法試験の短答過去問までやっている人も多いと思います。
予備試験合格者の司法試験短答式の合格率の高さが物語っているように、予備試験合格者のほとんどが司法試験短答式に合格しますから、短答対策についてそこまで心配する必要はないと思います。
もっとも、以下の3点に留意する必要があると考えます。
1つ目は、司法試験では、予備試験とは違い、短答式と論文式とが同じ期間に実施されるため、試験1カ月前や1週間前に短答対策に専念することができないということです。論文対策と並行しながら短答対策をしても確実に合格点を取ることができるように、勉強計画を工夫する必要があります。試験前における論文対策と短答対策のバランスについては、全国模試を通じて確認・調整することになると思います。
2つ目は、消去法が使えない憲法と消去法が使いにくい刑法が合計点の57%を占めるということです。消去法が使えない憲法と消去法が使いにくい刑法とでは、論文知識を使って解くコツと読解思考重視で解くコツを身につけていないと、出題の内容に点数が左右されやすくなってしまいます。予備試験短答で憲法・刑法の点数が低かった人は、注意しましょう。司法試験でも予備試験でも、憲法と刑法の短答式問題の8割近くが論文知識重視の問題と読解思考重視の問題ですから、憲法と刑法で点数が安定しない人は、全ての問題について、暗記した知識と選択肢を形式的に比較して正誤を判断するという短答知識重視の問題における解法を使った解こうとしてしまっている可能性があります。
3つ目は、短答対策を効率的に済ませるとともに、短答に対する不安を解消することで、論文対策にしっかりと時間を使うということです。予備試験論文受験者の皆さんは、実力者ではあるものの、これから約6カ月間で司法試験過去問と選択科目対策を終わらせる必要があり、しかも、令和3年1月14日から約2週間は司法試験対策をストップして口述試験対策をすることになりますから、他の受験生に比べると学習の負担が大きいです。したがって、令和3年5月の本試験までに司法試験過去問と選択科目対策を確実に終わらせるために、短答対策を効率的に済ませるとともに、短答に対する不安を解消することで、できるだけ論文対策に時間を使えるようにしましょう。
3.司法試験レベルの問題に対応する知識・方法論・慣れを身に付ける
(1) インプット講座の要否及び使い方
予備試験短答式に合格し、かつ、論文試験で「合格できているかもしれない」というくらいの手応えを得ることができている方は、知識の量、論点抽出力、構成力といった論文の基礎力があるはずから、司法試験レベルの問題に入れる状態にあると思われます。
司法試験レベルの問題に対応できるだけの「正しく深い知識」と「書き方」を身に付ける必要があるものの、それは司法試験過去問の演習・復習を通じて身につけることができます。正しく深く理解することができているか、正しい書き方が身に付いているかという次元で差が付きやすいのは、司法試験過去問で出題されたことのある分野・論点(特に、2回以上出題されている分野・論点)ですから、こうした分野・論点についてさえ「正しく深い知識」と「書き方」を身につけておけば、合格水準には到達します。
したがって、予備試験論文受験者にとって、基本7科目のインプット講座は必須ではありません。
勿論、1桁~2桁での上位合格を目指すためには、司法試験過去問で出題されていない分野・論点でも平均的受験生に差をつける論述をする必要がありますから、最新の出題傾向と判例学説が反映された秒速・総まくり2021を受講するなどして、全体的に知識をブラッシュアップすることが望ましいです。
秒速・総まくり2021を受講する場合、以下の3点に留意しましょう。
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予備試験論文に耐え得るだけの使い込んだ一元化教材があるのですから、これまで使ってきた一元化教材をそのまま継続利用し、必要に応じて、教材の記載の理解を深めるために教材の余白にメモ書きをしたり、論証を追加・修正するなどして、これまで使ってきた一元化教材をカスタマイズするのが望ましいです。
残り半年間で司法試験過去問と選択科目対策を終わらせる必要があるのですから、これまで使ってきた一元化教材に重大な問題がない限り、一元化教材を変更することは、極力、控えましょう。
例えば、これまで使ってきた一元化教材を継続利用しながら秒速・総まくり2021を受講するのであれば、総まくりテキストと一元化教材を机に並べた状態で総まくりの講義動画を視聴し、ランク付け及びマーク・アンダーライン指示によるメリハリ付けを一元化教材に反映するとともに、教材の記載の理解を深めるために教材の余白にメモ書きをしたり、論証を追加・修正するなどして、これまで使ってきた一元化教材をカスタマイズすることになります。
- 一元化教材を秒速・総まくり2021の教材に切り替える場合
仮に、一元化教材をこれまで使ってきたものから秒速・総まくり2021の教材に切り替えるのであれば、総まくりテキストではなく、総まくり論証集を使って頂くことをお薦めいたします。残り半年間で、司法試験過去問と選択科目対策もやりながら、総まくりテキストの論証を短くするなどの作業をする時間的余裕はないと思われるからです。
総まくり論証集は、論点の論証だけを張りつけた普通の論証集とは異なります。総まくり論証集には、コンパクトな論証に加えて、制度概要、出題可能性の高い条文、要件(例えば、刑法の構成要件、行政事件訴訟の訴訟要件等)、特定分野における思考・検討手順など、論文試験で必要とされる知識・方法論が法体系に紐付けられる形で集約されています。秒速・総まくりテキストの内容を1/2~1/3に圧縮したものが、総まくり論証集です。
総まくり論証集を一元化教材として使う場合には、短時間で受講を終えるために、最初からマーク等を「論証集」に反映する⇒「論証集」を使って総まくりの講義動画を視聴する(その際、「テキスト」は辞書的に参照するものとして横に置き、必要に応じて参照する)⇒最初から板書・メモ等も「論証集」に反映する、という方法をお薦めいたします。いったん「テキスト」にマーク・メモ書き等を反映してから、それらを「論証集」に反映するという過程を辿っていたのでは、本試験までに間に合わないからです。
論証集のサンプル:憲法 行政 民法 商法 民訴 刑法 刑事訴訟法
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- 一部の科目だけ秒速・総まくり2021を受講したり、一元化教材を論証集に切り替える方法
入門講座の受講を終えた方にとって、予備校講座・基本書・演習書等は、自分に足りないものを補うために使用するものです。秒速・総まくり2021についても同様です。せっかく購入したのだからとの思いから、全科目について最初から最後まで受講し、一元化教材を総まくりの教材の切り替えようとするのではなく、特定の科目・分野についてのみ総まくり講義を視聴し、講義内容をこれまで使ってきた一元化教材に反映するという方法もあります。
ある科目では一元化教材を総まくり論証集に切り替える一方で、他の科目ではこれまで使ってきた一元化教材を継続利用するという方法もありです。
全科目について最初から最後まで受講し、一元化教材を総まくりの教材の切り替えることは、学習効果を最大化するための一手段にすぎません。論文知識の基礎固めができていない、本試験に耐え得る一元化教材が手元にない、全科目について講義視聴・教材切り替えをするだけの時間的余裕があるといった方には、最適な手段です。
学習効果を最大化するための講座の使い方は人によって異なります。インプット講座受講する必要性と一元化教材を切り替える必要性について科目ごとに考え、学習効果を最大化するためには、インプット講座をどの範囲で受講するか、どの科目の一元化教材を切り替えるかといったことについて考え、自分にとってベストな選択しましょう。
(2) 司法試験過去問をやる際には、過去問講座を使う
司法試験過去問をやる際には、学習の効率化を図るためにも、間違った書き方を身につけることを避けるためにも、質の高い司法試験過去問解説講義を受講することをお薦めいたします。
残り6カ月間で自力で出題趣旨・採点実感・再現答案を使って分析をするには無理があります。しかも、市販の再現答案も完璧ではありませんから、どこでどう点を伸ばしたのかが分からない状態で参考にすると、書き方が間違っている箇所まで参考することにより間違った書き方を身に付けてしまうという危険もあります。特に、公法系については、司法試験初期のころは試験対策が進んでいなかったため、今の公法系の受験生のレベルを前提にする参考にならない上位答案もありますから、間違った書き方を身に付けてしまう危険もあります。
司法試験過去問をやる意味は、単なる解答筋レベルのことを身に付ることではありません。こういった事案では、この条文やこの論点が問題となり、こういった流れで条文や論点を並べて結論を導くということは、基本的には、司法試験過去問に入る前の短文事例問題演習の段階で学習することです。
司法試験では、予備試験以上に、「何を」書いたかだけではく「どう」書いたかという書き方が重視されますし、現場思考問題もバンバン出題されますから、科目・分野ごとの「書き方」の作法、現場思考問題の対処法を確立しておく必要性が非常に高いです。
したがって、司法試験過去問講座では、答案の背後にある書き方と、現場思考問題(さらには、知らない既存論点)の対処法まで説明してくれる講座を選択する必要があります。それから、司法試験における合格答案・上位答案の水準が分からないと思いますので、出題趣旨・採点実感に依拠した理想的な答案だけでなく、現実的な上位答案まで示してくれたり、合格水準として書くべきこと・書かなくていいことを具体的に示してくれる講座を選択する必要もあります。
以上のことを踏まえると、司法試験対策として最適な司法試験過去問解説講義とは、次のようなものであると考えます。
①出題趣旨・採点実感に依拠した理想的な答案を示している
②①を書くために必要とされる「答案の背後にある書き方・考え方」まで説明がある
③現場思考問題(さらには、分からな既存論点)の対処法まで説明がある
④現実的な上位答案が想定順位とともに示されている
例えば、刑事訴訟法の任意捜査の限界で、他人が作った参考答案を読み上げるだけでは、仮に参考答案の内容が正しくても、受講生は、別の問題で参考答案に近い水準の答案を書けるようになりません。理想的な当てはめの背後にある、正しく事実を分類するための規範適用の作法が分からないからです(②)。
解説者自身も、自分で答案を作成する過程で、徹底的に調べ上げ、考え抜くからこそ、答案の背後にある書き方・考え方を正確に把握し、伝えられるようになります。解説者自身がしっかりと書き方・考え方を理解した上で、適切な説明を通じて、書き方・考え方を受講者と共有する必要があります(②)。
8枚フルに使った理想的な答案やそれを使った解説は、受講者が試験本番で合格答案を作成するための道具であって、それを作ること・伝えることがゴールなのではありません。受講者が理想的な答案を参考にして自分に見合った現実的な合格答案像をイメージすることができるよう、適切な妥協の仕方も示す必要があります(③)。
既現場思考要素の強い論点や学習不足であった既存論点が出題された場合の適切な対処法を示すことで、受講者が自分の知らない論点の出題を恐れて過度にインプットの範囲を広げようとする事態を防ぐことも出来ます(④)。
逆に、不適切な司法試験過去問解説講義は、以下のようなものです。
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- 出題趣旨・採点実感に依拠していない
⇒特に、答案の書き方、処分証書等の法律用語の使い方など
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- 参考答案の棒読み
⇒講師が自分で答案を作成していないと、正しい書き方・考え方を知らない上、答案作成者の思考過程も把握できていないため、答案の棒読みになりがちです
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- 現場思考要素が強い問題について、元ネタになっていると思われる裁判例や学者論文等を示しながら、現実離れした解説をする
⇒受験生が知識偏重の考えに陥ってしまい、いつまで経っても対処するための読解・思考・応用のコツや文章力が身に付かない上、過度に知識の量を増やそうとする間違った勉強法に陥ってしまう
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- 現実離れした長すぎる答案だけを示す
⇒受験生が合格水準を見誤り間違った勉強法に陥ったり、いつまで経っても自分が目指すべき現実的な合格答案像を掴むことができなくなる
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(3) 司法試験過去問の科目ごとの優先順位
予備試験論文受験者にとっての司法試験過去問の科目ごとの優先順位は、以下の通りです。
1位 行政法
2位 憲法
3位 刑法
4位 刑事訴訟法
5位 民事訴訟法
6位 民法 商法
科目ごとの特徴の強さと、司法試験と予備試験の違いの程度を踏まえて、上記の順序にしています(司法試験と予備試験の違いまで反映しているため、今年の予備試験論文を受験していない方々を対象とした順位とは若干異なります)。
行政法では、司法試験と予備試験とでは出題分野・論点の重なり合いが強い一方で、司法試験では問題文が複雑である上、情報量が非常に多いです。そのため、事実関係及び会議録の誘導を素早く正確に整理することができるようになるために、演習経験を積んで徐々に慣れるとともに、自分に合った情報処理のコツを身に付ける必要があります。また、会議録の指示・誘導に従って書く必要もありますし、判例を踏まえた論述が明示的に求められることもあります。さらに、分野・論点によっては予備試験に比べて当てはめの量がだいぶ増えるものもありますし、処理手順や判例理論について理解を深める必要があるものもあります。
憲法では、法律意見書形式という新しい出題形式に慣れる必要がありますし、設問で明示的に求められている「判例を踏まえた論述」をするための知識と技術を身に付ける必要があります。また、司法試験では、人権選択のみならず、争点レベルのことについても問題文でばんばん誘導されるため、「問題文のヒントに食らいつき、違憲審査の枠組みに落とし込む形で問題文のヒントを法的に構成し、その内容を文章化して答案に反映する」ということが極めて重要です。近年の司法試験では、人権については問題文で分かりやすく誘導してくれている上、「保障⇒制約⇒違憲審査基準の定立⇒目的手段審査による当てはめ」という違憲審査の基本的な枠組みを使う事例ばかり出題されているため、「どの人権についてどういった枠組みで論じるべきか」というところでは差が付きにくいです。その分、「保障⇒制約⇒違憲審査基準の定立⇒目的手段審査による当てはめ」という型に従って適当に事実を答案に散りばめるだけの答案では勝負にならず、違憲審査の基本的な枠組みを正しく使いこなし、かつ、違憲審査の枠組みに落とし込む形で問題文のヒントを法的に構成し、その内容を文章化して答案に反映するという、「答案の中身」で勝負をすることになります。そのために必要とされる知識と実力を、正しい方向性に従った司法試験過去問の演習・復習を繰り返すことで徐々に身につけていきます。
刑法では、設問複数という出題形式と、三者間形式をはじめとする多角的検討型の出題形式に対応できるようになる必要があります。多角的検討型の出題形式に対応するためには、答案の書き方を身に付けるだけでなく、反対説までおさえるなど知識の幅を広げる必要もあります。
刑事訴訟法では、司法試験と予備試験とで出題範囲も求められていることも概ね一致します。もっとも、要求される当てはめの量と水準が異なります。任意捜査の限界であれば、必要性について適当に事実を羅列して評価するだけでは勝負になりませんから、正しい流れに従って事実を摘示・評価することが必要です。また、刑事訴訟法でも学説対立をはじめとする多角的検討が求められる傾向がありますから、論点によっては反対説までおさえておく必要がありますし、ある証拠について複数の推認過程(複数の使い方)が問われる場合にも対応できるように準備しておく必要があります。さらに、訴因変更の要否・可否など、一部の論点については、再度出題される際に捻ってくる傾向にあるため、こうした捻りにも対応するための慣れと技術を身につけておく必要もあります。
民事訴訟法では、司法試験と予備試験とで出題の範囲・深さ・角度についてかなり近接していると思います。なので、公法系・刑事系に比べると新しく身に付けるべきことは少ないと思います。
民法では、事実関係の複雑さ(平成30年以降、だいぶシンプルな事案になってきましたが)と、現場思考問題に対応できるようになる必要があります。特に、平成28年以降は、毎年、現場思考問題が出題されていますから、こうした出題に対応するための慣れと技術を身に付けておく必要があります。何問か経験すると、現場思考問題のパターンが見えてくるので、問題ごとの対応の仕方を確立することができると思います。
商法では、司法試験で予備試験過去問が流用される頻度が高いため、予備試験過去問をやっているとだいぶ有利です。司法試験と予備試験とで出題の範囲・深さ・角度についてもかなり近接していますから、新しく身に付けるべきことは少ないと思います。
4.令和3年司法試験合格に向けた学習スケジュール
Step1:令和1年・2年の司法試験過去問
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- 11月中旬までに終わらせる
- 令和1年・2年の司法試験過去問を使った出題分析・自己分析を通じて、自分が目指すべき合格答案像を具体化し、それを書けるようになるための学習内容を考える
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Step2:司法試験過去問と選択科目を並行してやる
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- 2021年1月14日(論文合格発表日)まで
- 実力を底上げする時期だから、基本7科目の司法試験過去問攻略講座は、複数科目を同時並行的に受講するのではなく、1科目ずつ一気に受講する
答案作成⇒解説講義⇒答案作成⇒解説講義・・の繰り返し
各科目、下記で指定する重要過去問は必ず答案を作成する(それ以外の科目は、軽く構成したり解答の流れを確認するだけでもいいし、Step4でやってもいいし、最終的にやらないのもあり)
- 選択科目の1周目は2021年1月14日までに必ず終わらせる
インプット⇒司法試験過去問という流れ
- 総まくりを受講するなら、総まくり1周目も2021年1月14日までに必ず終わらせる
終わらないなら、科目ごとの優先順位を踏まえて視聴科目を絞る
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Step3:口述試験及びその対策
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Step4:全国模試と本試験に向けた総復習
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- 2021年2月1日~同年5月11日(司法試験前日)
- 予備試験口述後は、これまでやってきたことの反復・継続に重点を置く。予備校の答練・模試を除き、できるだけ新しいことはやらないほうがいい
- 一定水準まで高めた実力を試験当日まで回復・維持するための勉強に重点を置く時期だから、1週間に複数科目を同時並行的に勉強したほうが効果的
Step1:令和1年・2年の司法試験過去問(2020年11月中旬まで)
令和3年司法試験合格に向けた勉強の出発点となるのは、令和1年・2年司法試験の論文過去問を使った自己分析及び出題分析です。具体的内容は、以下の通りです。
自分と本試験の距離及び最新の出題傾向(難易・範囲・角度・形式)を把握する
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科目ごとに自分が目指すべき現実的な合格答案像を把握する
⇩
自分が目指すべき現実的な合格答案像に沿った答案を書けるようになるためには、インプット・アウトプット面において、科目ごとにどういった勉強をすればいいのかを明らかにする(勉強の方向性を明らかにする)
科目ごとに自分が目指すべき現実的な合格答案像を把握する際には、「科目ごとに、司法試験の問題でどれくらいの分量を書くことができるのか」についても正確に把握する必要があります。規範・論証は、科目ごとの分量に適合した長さで記憶する必要がありますから、科目ごとの分量を把握することは”自分”が記憶するべき規範・論証の長さをイメージする上でも非常に重要です。
この段階では、正解筋や書き方等について丁寧に分析する必要はありませんから、令和2年司法試験の分析をする際には「リアル解答企画」の雑感動画・手書き答案を使って頂ければと思います。
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過去問をやる目的には、3つあります。
①「自分と本試験の距離及び最新の出題傾向(難易・範囲・角度・形式)を把握する」 ⇒ 「自分が目指すべき現実的な合格答案像を把握する」 ⇒ 「自分が目指すべき現実的な合格答案を書くために必要な勉強内容を把握する」
②分野・論点単位での再度の出題可能性に備える、科目単位での書き方を身につける
③問題文から検討事項を抽出するコツを掴む(本試験特有の問題文の読み方に慣れる)、現場思考問題・分からない問題に対処するための読解・思考・書き方のコツを掴む、文章力を鍛える、情報処理に慣れる、途中答案対策等
①は、今後の勉強の方向性を明らかにする(又は修正する)ためのものです。
Step1の段階で令和1年・2年司法試験過去問をやる目的は、①にあります。そのため、ここで正解筋や書き方等について丁寧に分析する必要はありません(②のために司法試験過去問をやるのは、Step2・Step4の段階です)。
Step1では、①の目的にとって必要な限度で、出題分析と自己分析をすれば足ります。
それから、①により具体化するべきは「現実離れした理想の答案像」ではなく、「自分の実力に見合った現実的な合格答案像」です。
例えば、平均5枚しか書けない人が7~8枚の1桁レベルの答案を基準にして理想の答案像を設定すると、現実離れした目標を設定することになり、途中答案になってしまうなど、かえって有害です。
また、記憶力が高くない人や可処分時間が少ないという人が、無理をして7~8枚の答案の長めの論証をそのまま記憶しようとすると、肝心の規範すらまともに記憶できなくなってしまう可能性があります。
理解力が高くない人についても、同様です。
司法試験委員会が求めていることを探求するだけではなく、自分の実力とちゃんと向き合う必要があります。
出題傾向を分析する一方で、自分の筆力・記憶力・理解力・可処分時間等を前提として自分の実力に見合った現実的な合格答案像を設定しましょう。
Step2:司法試験過去問と選択科目を並行してやる(2020年11月中旬~2021年1月14日まで)
2021年1月14日(口述発表日)までに、司法試験過去問(指定の重要問題)と選択科目(インプット+司法試験過去問)の1周目を終わらせます。
秒速・総まくり2021まで受講する方は、秒速・総まくり2021の1周目まで終わらせます。
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令和1年・2年司法試験過去問を使った自己分析及び出題分析を終えたら、再度の出題可能性に備えるために知識・方法論を身につけることと、司法試験レベルの問題に慣れることなどを目的として、古い年度から司法試験過去問の演習・分析をしていきます。頻出分野・論点については、「基本問題⇒応用・難問」という流れで繰り返し出題される傾向にあるため、古い年度からやったほうが知識・方法論を身につけやすいからです。
司法試験過去問攻略講座は、①全年度・複数年度に共通する重要な知識・方法論が集約された「総論講義」(各科目約2~5時間)と、②「年度ごとの解説講義」(1問約1時間)の2部構成になっています。司法試験では、全年度・複数年度に共通する重要な知識・書き方・思考方法があります。そこで、まず初めに、科目ごとに、①「総論講義」を通じて、過去問を解くために必要不可欠な知識・書き方・思考方法をお伝えします。例えば、憲法の違憲審査の基本的な枠組み、行政法の三大頻出分野(行政裁量・原告適格・処分性)、刑事訴訟法の六大頻出分野等については、「総論講義」で基礎的な知識・書き方・思考方法を全てお伝えします。そうすることで、年度ごとの過去問分析をスムーズに進めることができます。
司法試験過去問攻略講座を受講する場合、行政法>憲法>刑法>刑事訴訟法>民事訴訟法>民法>商法という順序に従うのであれば、行政法の「総論講義」⇒行政法1問目の答案作成⇒1問目の解説講義・復習⇒行政法2問目の答案作成⇒行政法2問目の解説講義・復習・・という流れで、最後の科目まで終わらせます。
重要過去問
残り6カ月間で司法試験過去問を全てやることはできないと思います。Step2で1周することができる問題数は、多くて50問です。
そこで、予備試験論文受験者であることも踏まえて、予備試験論文受験者向けの重要問題を50問、指定させて頂きます(Step1でR1・2過去問を1回解いていることを前提としています)。
行政法
プレ、H19、H20、H21、H26、H27、H29、H30
憲法
H18、H19、H21、H22、H30、R1、R2
刑 法
H18、H20、H21、H22 、H24、H27、R1、 R2
刑事訴訟法
プレ、H18、H20、H21、H22、H24、H25、H27、H30
民事訴訟法
H18、H21、H23、H24、H27、H29
民法
H18、H21、H23、H25、H27、H28
商法
H20、H21、H22、H23、H24、H26
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労働法以外の科目を選択する方々にとっても、一定の範囲で参考にして頂けると思いますので、以下では、労働法をいちから勉強する方法について説明いたします。
インプットでは、全体を俯瞰することを最優先します。
労働法速修テキスト講義を使った勉強をするのであれば、1周目では、以下の4点まで記憶します。
①労働法全体
②分野ごとの全体像
③Aランク論点の典型事例と規範(又は解釈の結論)
④Aランク論点の組み合わせ
1周目では、事例問題において抽出と構成まで出来るようになることを目指します。具体的には、事例問題において、条文と論点を抽出し、結論に至るまで過程で抽出した条文と論点をどういった流れで書くのかについて決定することができるようになることです。とにかく、抽出と構成により「答案の骨格」を整えられるようになることを最優先しましょう。論証の理由付けなど、答案の骨格に対する「肉付け」に相当することについては、答案の骨格を整えることができるだけの知識と慣れが身に付いてからやることです。
論点については、③Aランク論点の典型事例と規範(又は解釈の結論)及び④Aランク論点の組み合わせに関する記憶が安定してきたら、徐々に、Aランク論点の理由付け、Bランク論点の典型事例と規範(又は解釈の結論)、Bランク論点の理由付け、・・という流れで、現実的に可能な限度でインプットの範囲を広げていきましょういちから勉強する科目では、「木(論点)を見て森(全体像)を見ぬ」にならないように注意しましょう。
アウトプットでは、答案練習よりも答案構成を優先します。
労働法は、民法の延長に位置する科目であり、労働法固有の書き方というものはほとんどありません。第1問の労働保護法であれば、訴訟物⇒法律要件(請求原因、抗弁)という流れで検討し、法律要件の検討過程で労働法固有の論点が出てくる、というイメージです。これまで書いてきた民法の答案のうち、条文と論点が労働法固有のものに切り替わるだけです。したがって、答案練習をしなくても、答案を書くことができます(一部、書き方まで重視される問題もありますが、それは最後の仕上げとしてやれば足ります)。
新しい科目であるため、とにかく、浅く広く事例演習を繰り返すことで、知識を使うことに慣れるとともに、「知識を使う場面」と「知識の使い方」を記憶する必要があります。ここでいう「知識を使う場面」とは、こういった事案で、この請求、この条文、この論点が問題になるという、事案と請求・条文・論点の対応関係を意味し、「知識の使い方」とは、主として、条文や論点の組み合わせを意味します。
知識を使うことへの慣れと、「知識を使う場面」「知識の使い方」の記憶が定着すると、構成レベルのことでは間違えなくなり、答案の「骨格」が安定します。答案の「骨格」が安定してきたら、記憶範囲を、論証の理由付け、重要判例の当てはめのポイントまで、徐々に広げていきます。これにより、答案の「肉付け」も徐々に完成していきます。
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Step3:口述試験及びその対策(2021年1月14日~同年1月31日)
今回は、令和3年司法試験実施予定日の約3カ月前に予備試験口述試験が実施されるため、令和3年司法試験合格に向けた対策を本格的にやっている途中で、いったん、口述対策に切り替えることを余儀なくされます。
口述対策が不十分になってしまったり、口述対策に切り替えたことにより勉強計画が崩れてしまい口述試験後に司法試験や全国模試に向けた勉強を思い通りに進めることができなくなるといったことにならないよう、今の段階から、予備試験論文合格発表日までに司法試験対策としての勉強をどこまで終わらせておくか、どこの予備校模試を利用するかも含めて口述試験対策をどのようにやるのかといったことについて、だいたいのイメージをしておくといいと思います。
個人的には、2021年1月14日までに司法試験過去問の重要問題1周目、選択科目1周目(及び秒速・総まくり2021の1周目)を終わらせておき、口述試験後に全国模試・本試験に向けた総復習に集中できる状態になっているのが理想的だと考えています。
論文合格発表後から口述試験までの時間の使い方、勉強のやり方については、予備試験合格者のTwitter、ブログ、合格体験記等が非常に参考になると思います。
Step4:全国模試と本試験に向けた総復習(2021年2月1日~同年5月11日)
試験勉強には、実力を底上げするための勉強と、一定水準まで高めた実力を試験当日まで回復・維持するための勉強があります。Step4は、一定水準まで高めた実力を試験当日まで回復・維持するための勉強に重点を置く時期です。
したがって、論文試験までの約3か月間は、予備校の答練・模試を除き、新しいことはやらないほうが良いです。Step2でやることができなかった司法試験過去問をやるのはありですが、その際、これまでやってきたこと(司法試験過去問の重要問題、選択科目、秒速・総まくり2021)の復習に支障が生じないように注意しましょう。
インプットでは、ひたすら、一元化教材を回しまくります。頭の中で一元化教材のページを開き、どこに何が書いてあるのかを画像としてイメージすることができるくらいの状態にまで持って行くのが理想です。
アウトプットでは、司法試験過去問の重要問題の演習・復習を繰り返すことで、Step2で各科目の最後に書いた答案の水準を再現できる状態にまで実力を回復するとともに、再現できる答案の水準を徐々に上げていくことが大事です。
そして、一定水準まで高めた実力を試験当日まで回復・維持するための勉強に重点を置く時期では、1週間に複数科目を同時並行的に勉強したほうが効果的です。
Step4の総復習の段階では、Step2で学習した知識・方法論を何度何度も繰り返すことで、本試験までにどれだけ多くインプット・アウトプットを繰り返すことができるかが肝になってきます。
同じことの繰り返しであり、精神的に相当辛いと思いますが、こうした勉強こそ、やり切ったときの効果は絶大です。
これまで勉強してきたことを本試験で最大限発揮することができるよう、全国模試と本試験に向けた総復習をやり切って頂きたいと思います。
以上が、私が考える「令和3年司法試験合格に向けた理想的な学習スケジュール」です。
令和2年予備試験論文と総まくり論証集の対応関係(100%)
司法試験・予備試験における選択科目対策(選択科目の選び方・勉強の仕方)
令和2年予備試験論文の参考答案・解説
令和2年司法試験論文の参考答案・雑感
講義のご紹介
令和6年司法試験 有料講座の合格者数356名
加藤ゼミナールでは、令和6年司法試験において、有料講座の受講者様から356名の合格者を輩出することができました!
令和4年司法試験 110名
令和5年司法試験 212名
令和6年司法試験 356名 2年で3.2倍増!
毎年、順調に有料講座の合格者数を伸ばすことが出来ています。
加藤ゼミナールの講師・スタッフ一同、より多くの方々の合格をサポートすることができるよう、邁進してまいります。
受験生応援キャンペーン 全講座10%オフ
受験生応援キャンペーンとして、2024年度版の司法試験・予備試験対策講座を対象とした10%OFFセールを実施しております。
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司法試験・予備試験対策なら加藤ゼミナール!
加藤ゼミナールは、2021年に開校し、有料講座の合格者数を110名(2022年)→212名(2023年)→356名(2024年)と順調に伸ばすことができており、今最も急成長を遂げている予備校です。
1位~1桁合格者や10位台~2桁合格者を多数輩出しており、上位合格を目指すための” もう一歩先の勉強 “をすることができる点も、加藤ゼミナールの大きな特徴であるといえます。
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加藤ゼミナールのテキストのこだわり
加藤ゼミナールでは、受験生スタッフや合格者スタッフがテキストを作成するのではなく、全てのテキストを代表である加藤喬講師をはじめとする所属講師がいちから作成しています。
基本7科目の論文対策講座・労働法講座・法律実務基礎科目講座のテキストは全て、代表である加藤喬講師だけで作成しており、だからこそ、テキストは試験傾向にもしっかりと対応している、テキストどうしの一貫性が確保されているなど、クオリティが非常に高いです。
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