加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

令和2年予備試験「商法」の参考答案・解説(解説動画あり)

商法は、令和2年予備試験の問題の中で、民事訴訟法の次に難しい問題でした。

解説動画

解説レジュメ(問題文・解説・参考答案)を使い、問題文の読み方、現場での頭の使い方、科目ごとの答案の書き方、コンパクトなまとめ方、出題の角度といった問題の違いを跨いで役立つ汎用性の高いことについても丁寧に解説しています。

 

事実関係を「図」の形で把握する

会社法では、会社同士の関係、株主・役員の構成、公開・非公開等といった事実関係を「図」の形にして把握することが重要です。

私が、秒速・総まくりでも、秒速・過去問攻略講座でも、何年も前から何度も強調していることです。

情報処理能力が高くない限り、事実関係を文字として認識しているだけでは、会社法で素早く正確に検討事項を網羅的に抽出することは難しいです。

会社同士の関係、株主・役員の構成、公開・非公開等といった事実関係を「図」として一目で確認することにより、初めて気が付くことができる検討事項というものがあります。

本問では、設問1・設問2のいずれにおいても、会社同士の関係、株主・役員の構成、公開・非公開等といった事実関係を会社法上の制度に関連付けて把握することが極めて重要です。

事実関係を素早く正確に把握して、条文・手続・論点を網羅的に抽出することができるかが肝です。

事実関係を会社法上の制度に関連付けて把握することができなければ、ちゃんと記憶していたAランクの条文・手続・論点でも落としてしまうというのが、会社法の怖いところです。

 

設問1

Cは、①Bの乙社に対する損害賠償責任(会社法423条1項)については多重代表訴訟(会社法847条の3)により、②Aの甲に対する損害賠償責任(423条1項)については株主代表訴訟(会社法847条)により追及することになります。

①では、私の答案のように、提訴要件について一つひとつ、条文番号を摘示しながら、条文の文言と事実を結び付けて認定することが重要です。多重代表訴訟については、秒速・総まくり2021ではBランクに位置づけた上で、事案類型ごとに事実関係図を示しながら条文操作の仕方について丁寧に説明をしています。

提訴要件を認定したら、本件買取りが乙社の「取締役」Bが「自己のために株式会社」乙社とする「取引」として直接利益相反取引(356条1項2号)に当たることと、これ「によって」乙社には買取価格300万円と市場価格150万円の差額150万円の「損害」が生じたからBの任務懈怠が推定される(423条3項1号)ということについて、条文番号を摘示しながら、条文の文言と事実を結び付けて認定します。

典型的な自己取引型の直接利益相反行為であるため、落とす人は少ないですから、落とした場合の失点は大きいといわざるを得ません。利益相反取引が予備試験で何度も出題されていることからしても(平成24年・26年・30年)、予備試験受験者で落とす人は少ないと思います。

利益相反取引を理由とする任務懈怠推定を認定したら、利益相反取引の場面における取締役の「任務」に関する公正な取引条件説を論じ、今回は取引条件が不公正であるから任務懈怠推定を覆すことができないと指摘し(公正な取引条件説からは、利益相反取引の場面における取締役の「任務」が結果債務的に捉えられることになります)、「自己のために」直接利益相反取引をしたBによる免責事由の立証は許されない(428条1項)ことまで指摘して、Bに対する150万円の「損害」賠償請求が認められると結論付けます。

秒速・総まくり2021では、利益相反取引についてAランクの分野に位置づけた上で、公正な取引条件説についてもAランク論点として論証を掲載しています。

②では、①と同様、提訴要件について一つひとつ、条文番号を摘示しながら、条文の文言と事実を結び付けて認定することが重要です。

提訴要件を認定したら、完全子会社である乙社の取締役Bによる任務懈怠による損害惹起に関して、完全親会社である甲社の取締役Aがどういった行為義務を「任務」として負うことになるのかについて論じることになります。ここで、「親会社取締役の子会社に対する監視監督義務」という論点を論じることになります。秒速・総まくり2021では、この論点についても、Aランク論点として論証を掲載しています(関連裁判例としては、福岡高判平成24・4・13・百選53が挙げられます)。

「親会社取締役の子会社に対する監視監督義務」について論証をした上で、事例4におけるAとBとのやり取りを踏まえて、Aの監視監督義務違反による任務懈怠を認定します。

甲社の損害については、「親会社取締役の子会社に対する監視監督義務」に関する論証の理由付けとしても出てくる「子会社株式が親会社の資産であることから、子会社の損害は、親会社が保有する子会社株式の減価を通じて親会社の損害にもなる」との一般論を前提として、甲社が乙社の完全親会社であるから、乙社に生じた150万円の損害は、丸々、乙社株式の減価を通じて乙社株式の全てを保有する甲社の「損害」になると論じることになります。なお、完全子会社の損害が完全子会社株式の減価を通じて全額において完全親会社の損害になるとの考えは、完全子会社による完全親会社株式の取得に関する完全親会社の取締役の任務懈怠責任が問題となった最一小判平成5・9・9・百選21でも示されています(この判例は、秒速・総まくり2021でBランク判例として掲載しています)。

 

設問2

甲社における会社法上の手続としては、①自己株式を「特定の株主」との「合意により・・有償で取得する」場合における株主総会特別決議及び売主追加請求通知、②重要な子会社の株式を譲渡する場合における株主総会特別決議及び事前通知が必要となります。

①は、平成23年司法試験設問①と同じです。ここでは、株主総会では「特定の株主」Cは議決権を行使することができないこと(会社法160条4項)を指摘することと、売主追加請求通知に関する例外が認められないことについて会社法161条から164条までの条文の適用を一つひとつ否定する形で説明することが重要です。

秒速・総まくり2021では、自己株式を「特定の株主」との「合意により・・有償で取得する」場合における手続については、Aランクの条文知識として掲載しています。

②は、平成26年法改正により新設された条文です。これに気が付ける人は、そこまで多くないと思います。私は、相互保有株式の譲渡が「重要な財産の処分」(会社法362条4項1号)に当たるとした最高裁判例があったな(最一小判平成6・1・20・百選63)⇒しかし、甲社は取締役会設置会社ではないから「重要な財産の処分」該当性を論じる実益がない⇒これだけ重要な財産の処分をするのだから株主総会決議が必要になるはずだ⇒そういば、平成26年改正で重要な子会社の株式の譲渡が会社法467条1項で「事業譲渡等」の1つとして追加されたな、という思考過程を辿り、気が付くことができました。

秒速・総まくり2021では、事業譲渡等をAランクの分野に位置づけた上で、「事業譲渡等」の一つに重要な子会社の株式の譲渡が追加されていることも掲載しております。

なお、答案では、③甲社が譲渡制限のある自己株式を取得する場合には譲渡承認手続を要しないことと(136条括弧書)、④財源規制違反(461条1項3号)がないことについても軽く言及していますが、③・④に対する配点は微々たるものだと思います。

丙社における会社法上の手続としては、⑤「丙社は取締役がCのみであるため非公開会社であると考えられる(327条1項1号参照)⇒丙社株式には譲渡制限があるはずである(107条1項1号)⇒甲社が保有する丙社株式をCに譲渡することは譲渡制限株式の譲渡に当たる⇒譲受人は丙社株式の発行会社である丙社ではないから原則として譲渡承認手続に服する(136条括弧書)」ということを指摘した上で、丙社株式の譲渡は丙社の完全親会社である甲社を譲渡人とするため一人会社による譲渡制限株式の譲渡に当たるとして、一人会社による譲渡制限株式の譲渡については会社承認が不要であることを論証することになります。

秒速・総まくり2021では、定款による株式譲渡制限をAランクの分野に位置づけた上で、「一人会社による譲渡制限株式の譲渡については会社承認の要否」についてもAランク論点として論証を掲載しています。

なお、「一人会社による譲渡制限株式の譲渡については会社承認の要否」は司法試験でも予備試験でも出題されていませんが、定款による譲渡制限株式の譲渡の手続等については平成25年司法試験設問1及び平成23年予備試験設問1・2で出題されています。

設問2において①~⑤に気が付くためには、設問1よりも、会社同士の関係、株主・役員の構成、公開・非公開等といった事実関係を会社法上の制度に関連付けて把握しておく必要があります。

知識の有無や深さよりも、知識を使う場面であるかどうかの判断の前提となる事実関係を正確に把握することができているかで差が付く問題であるといえます。

 

参考答案

設問1

1.BのZ社に対する責任

(1) Cは、丙社の発行済株式の全てを保有する甲社の発行済株式の10分の3(300株/1000株)を保有するものだから、「株式会社の最終完全親会社」甲社の「総株主…の議決権の百分の一…以上の議決権を有する株主」(会社法847条の3第1項本文、同条6項)として、Bの乙社に対する損害賠償責任(423条1項)について、乙社に対して提訴請求をし、60日以内に乙社が提訴しなかったならば、自ら同責任を追及する訴えを提起し得る(同条7項)。

 本件買取り時点における甲社保有の乙社株式の「帳簿価額」は3000万円であり、これは「当該最終完全親会社等の総資産額」1億円の「5分の1を超える」(同条4項)。

 したがって、Cは上記の提訴をすることができる。

(2) 本件買取りは、乙社の「取締役」Bが「自己のために株式会社」乙社とする「取引」であるから、直接利益相反取引(356条1項2号)に当たる。これ「によって」、乙社には買取価格300万円と市場価格150万円の差額150万円の「損害」が生じたから、Bの任務懈怠が推定される(423条3項1号)。

 任務懈怠とは別に免責事由が規定されている(428条1項)ことから、利益相反取引における取締役の「任務」は公正な条件で取引をすることにあると解する。「改装祝いを兼ねているし」とのAの発言からしても、買取価格が市場価格の2倍であることを正当化できる事情はないから、本件買取は不公正な条件による取引である。したがって、任務懈怠の推定を覆すこともできない。

(3) 「自己のために」直接利益相反取引をしたBによる免責事由の立証は許されない(428条1項)。したがって、Bに対する150万円の「損害」賠償請求が認められる。

2.Aの甲社に対する責任

(1) Cは、甲社の「株主」(847条1項本文、2項)として、Aの甲社に対する損害賠償責任(423条1項)について、甲社に対して提訴請求をし、60日以内に甲社が提訴しなかったならば、自ら同責任を追及する訴えを提起することができる(同条3項)。

(2) 子会社株式は親会社の資産であるため、子会社の損害は親会社が保有する子会社株式の減価を通じて親会社の損害にもなるから、362条4項6号にも照らし、親会社取締役は「その任務」として、子会社の業務を監視・監督する義務を負うと解する。

 Aは、Bから聞いて、市場価格と提供価格を認識していたのだから、市場価格を超える価格による買取りを阻止する義務を負っていた。にもかかわらず、AはBに対し買取価格を300万円にするように述べたのだから、上記義務違反による任務懈怠がある。

 Aの上記義務違反「によって」、本件買取が実現され、乙社に150万円の損害が生じ、乙社株式の減価を通じて乙社株式の全てを保有する甲社にも150万円の「損害」が生じた。したがって、Aに対する150万円の「損害」賠償請求が認められる。

設問2

1.甲社

(1) 本件合意は、甲社による自己株式取得のうち、甲社が「特定の株主」Cとの「合意により…有償で取得する」(155条3号、156条1項、160条1項)ものである。したがって、株主総会の特別決議(156条1項、160条1項、309条2項2号)により157条1項各号所定の事項を決定する必要がある。その際、「特定の株主」Cは議決権を行使することができない(160条4項)。

 次に、事前に、他の株主に対する売主追加請求の通知をする必要がある(160条2項)。上場していない丙社の株式には市場価格がないため161条の特則の適用はなく、相続人等や子会社からの取得でもないため162条や163条の特則の適用もなく、上記通知の排除を内容とする定款の定めもないから164条の特則の適用もない。したがって、原則通り、上記通知が必要である。

(2) 甲社による丙社株式の譲渡は、「子会社の株式…の全部…の譲渡」のうち、甲社がCに「譲り渡す株式…の帳簿価額」3000万円は「当該株式会社」甲社の「総資産額」1億円の「5分の1」を超え、かつ、「当該株式会社」甲社が「効力発生日において当該子会社の議決権の総数の過半数の議決権を有しないとき」にある(467条1項2号の2イ、ロ)。したがって、株主総会の特別決議(309条2項11号)及び効力発生日の20日以内までにおける株主に対する通知(469条3項)が必要である。

(3) 甲社は、取締役がAのみであるから、非公開会社であると考えられる(327条1項1号参照)。そのため、甲社の株式には譲渡制限がある(107条1項1号)。したがって、甲社がCから甲社株式を取得することは、譲渡制限株式の譲受けに当たる。しかし、甲社が自己の発行する譲渡制限株式を株主から取得する場合は、譲渡承認手続に服しない(136条括弧書)。

(4) なお、自己株式取得の対価としてCに交付される丙社株式の帳簿価額3000万円は甲社の「分配可能額」(461条2項)5000万円を超えないから、財源規制違反(461条1項3号)はない。

2.丙社

(1) 丙社も、取締役がCのみであるため、非公開会社であると考えられるから、丙社株式には譲渡制限がある。したがって、甲社が保有する丙社株式をCに譲渡することは、譲渡制限株式の譲渡に当たる。前記1(2)と異なり、譲受人は丙社株式の発行会社である丙社ではないから、原則として、譲渡承認手続に服する。

(2) もっとも、丙社株式の譲渡は、丙社の完全親会社である甲社を譲渡人とするため、一人会社による譲渡制限株式の譲渡に当たる。

 定款による譲渡制限の趣旨は、専ら会社にとって好ましくない者が株主となることを防止し、もって譲渡人以外の株主の利益を保護することにある。そして、一人会社では、譲渡人以外の株主の利益保護は問題とならない。そこで、会社の承認は不要であると解する。したがって、譲渡承認手続は不要である。以上

※1. 参考答案は、2時間くらいで、総まくり講座及び司法試験過去問講座の内容だけで書いたものです。
※2. 答案の分量は「1枚 22行、28~30文字」の書式設定で4枚目の最終行(88行目)までで、文字数だと2400~2500文字くらいです。

講義のご紹介
もっと見る

コメント

  • アバター

    加藤先生の令和2年予備試験「商法」解説について1点質問させて下さい。
    設問1で、「Bの乙社に対する責任」と「Aの甲社に対する責任」でそれぞれ150万円の損害を認定されてると思うのですが、甲社と乙社全体として150万円の損害で、それぞれから150万円(計300万円)としてしまうと二重取りのような形になってしまうという感覚ありますが、その辺りの調整は不要なのでしょうか?

    • kato_admin

      例えば、甲社に150万円の損害が生じ、これについて代表取締役Aと平取締役Bとが、それぞれ、甲社に対して150万円の損害賠償責任を負担することになったケースであれば、AとBの責任は連帯債務の関係に立ちます(会社法430条)。連帯債務者の1人に生じた事由のうち、弁済については、民法の明文で絶対的効力事由として定められていないものの、明文なき絶対的効力事由であると解されています。したがって、Aが150万円を弁済すれば、Bの損害賠償責任が消滅します。これに対し、本問では、Aの損害賠償責任が甲社の取締役としての責任であるのに対し、Bの損害賠償責任は乙社の取締役としての責任であるため、同じ会社の取締役どうしの損害賠償責任に関する連帯債務関係を定めている会社法430条を直接適用することはできません。では、両者の責任が実質的に同一の損害を対象としているものであることなどに着目して、会社法430条の類推適用を認めることができるかというと、類推適用によって調整を図るのではないと思います。先にBが乙社に対して150万円を弁済した場合には、乙社の損害が補填されることを通じて、甲社が保有する乙社株式の経済的価値が回復することになるため、乙社株式の減価を根拠とする甲社の損害が補填されたことになりますから、Aの甲社に対する損害賠償責任が事後的に消滅することになるはずです。反対に、先にAが甲社に対して150万円を弁済した場合には、先にBが乙社に対して150万円を弁済した場合と異なり、甲社の損害が補填されたことを通じて乙社の損害が補填されたことにはなりませんから、Bの乙社に対する損害賠償責任が事後的に消滅することにはなりません。もっとも、乙社が自ら又は株主代表訴訟を通じてBに対する損害賠償責任を追及することができるとなると、どちらが先に弁済したのかにより、AとBの双方が弁済をすることになるのか、それともAだけが弁済をすることになるのかについて結論が異なるため、不合理な感じがします。乙社は完全親会社である甲社だけのものですから、株主保護の観点からは、甲社の損害が補填されたのであれば、乙社の損害についてまでBの損害賠償責任により補填するべき実質的理由はありません。しかも、本問では、乙社について、同社の財産を当にする会社債権者がいませんから、乙社の損害を補填しないことが会社債権者の利益を害することにもなりません。なので、Aが甲社に対して150万円を弁済した場合には、乙社の損害についてまでBの損害賠償責任により補填するべき実質的理由が欠けることになるとして、Bに対する損害賠償請求は信義則違反や権利濫用として否定されることになるのかもしれません。文献等による裏取りができていないため、私の個人的な見解となりますが、参考にして頂けますと幸いです。

  • アバター

    加藤先生の先生では、答案上では設問1のBの乙社に対する責任について、乙社の唯一の株主である甲社の代表取締役であるAがBの取引について同意している点については指摘されていなかったと思うのですが、直接取引で損害を負うことになる唯一の株主が利益相反取引に同意をしていることは、公正な取引条件説からはBの任務懈怠を覆すという理論構成を取ることはできなくとも、株主全員の同意があった場合としてBの損害賠償責任を免責する余地が生じうるという理論構成はとれないのでしょうか?
    もちろん、甲社株主が全員同意していたという場合ではないので責任の免責は認められないと思うのですが、その事情について触れることはできないのか疑問に思いました。
    ご回答いただけますと幸いです。よろしくお願い致します。

    • kato_admin

      取締役がAしかいない非取締役会設置会社である甲社では、Aが単独で業務を決定し、執行します(会社法348条1項、田中亘「会社法」第2版241頁)。したがって、AがBに対して「それならば300万円で、乙社が買い取ることにすればいいよ」と述べたことをもって、Aが甲社の代表取締役としてBによる利益相反取引について同意をしたとみることにより、Aが代表した甲社(100%株主)による同意があったとみる余地もあります。
      しかし、Aを介した甲社(100%株主)による同意は、利益相反取引をすること自体を対象とするものであり、Bの責任免除まで対象としたものではないと思いますから、会社法424条でいう責任免除についての「総株主の同意」があったと評価することはできないと思いますし、そこまで書くことは想定されていないと思います。
      そうすると、Bによる利益相反取引についてAを介して甲社(100%)株主による同意があったと評価することができても、それは、利益相反取引の手続規制への違反がないことを意味するにとどまり、免責にはつながらないと思います。手続規制違反の有無にかかわらず、利益相反取引を理由する任務懈怠推定が及びますので。
      そこで、私の答案では、AがBに対して「それならば300万円で、乙社が買い取ることにすればいいよ」と述べたという事情は、Aの子会社取締役に対する監督監視義務違反を基礎づける事情として使うにとどめています。

コメントする

コメントを残す

コメントをするには会員登録(無料)が必要です
※スパムコメントを防ぐため、コメントの掲載には管理者の承認が行われます。
※記事が削除された場合も、投稿したコメントは削除されます。ご了承ください。

加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

kato portrait
加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
質問コーナーのカテゴリ
ブログ記事のカテゴリ