質問コーナー「 刑事訴訟法 」
32件の質問

第一次的には、問題文・設問の指示(例えば、下線の有無・場所等)に従うことになります。例えば、平成26年司法試験設問1では「取調べの適法性について・・論じなさい」とあり、令和2年司法試験設問1でも「下線部①の取調べの適法性について、・・論じなさい」とありますから、いずれの問題においても、「強制の処分」該当性と任意捜査の限界の判断対象は「取調べ」です。 問題文・設問において「取調べの適法性について、論じなさい」といった指示・誘導がない場合にも、「強制の処分」該当性と任意捜査の限界の判断対象は「取調べ」です(例えば、古江賴隆「事例演習刑事訴訟法」第2版48頁)。 このように、「強制の処分」該当性と任 […]

2020年09月15日

任意同行後の取調べの「強制の処分」該当性については、意思制圧説を前提として、「甲の意思を制圧してその意思決定の自由や行動の自由を侵害するものであるか」という観点から判断することになります。その根拠として、「第一段階の判断として、・・甲の意思を制圧するに至っているか、甲の行動の自由を侵害しているかという観点から評価することが求められる」、「第一段階においては、強制手段を用いることになっていないか、すなわち甲の意思決定の自由及び行動の自由を侵害していないかという視点から検討したのに対し、第二段階においては、強制手段による取調べには当たらないことを前提に、任意捜査としての相当性を欠くか否かという視点 […]

2020年09月15日

古江賴隆「事例演習刑事訴訟法」第2版287頁の立場は、被告人の自白を内容とする伝聞証言・被告人の自白を内容とする供述代用調書(被告人の自白調書を含む)については、①自白法則(憲法38条2項・刑事訴訟法319条1項)との関係で任意性を検討し、②任意性が認められた場合には、次に、伝聞法則の検討に入り、伝聞証拠該当性を認定した上で、322条1項本文の要件充足性を検討する(自白には322条1項但書が適用されないため、ここで改めて任意性に言及する必要はない)、というものです。被告人の自白調書の証拠能力が問題となっている場合であれば、上記の流れで書くべきです。 もっとも、それ以外の場合(被告人の自白を内容 […]

2020年09月15日

捜査の継続時間(例えば、録音・録画の時間)については、当該捜査の性質に照らして想定されているものであれば類型的判断において考慮することができるが、結果的にこれくらい継続したという個別事案における結果にすぎないものであれば類型的判断において考慮することはできない、というのが正確な理解であると思います。 もっとも、会話の秘密録音が問題となった平成27年司法試験設問1に関する出題趣旨では、「【捜査②】は、通常の人の聴覚では室外から聞き取ることのできない乙方居室内の音声を、本件機器を用いて増幅することにより隣室から聞き取り可能とした上で、これを約10時間にわたり聴取・録音するというものであり、外部から […]

2020年09月15日

現行犯逮捕の犯人明白性の認定過程において禁止される供述証拠の使い方は、例えば、「甲がVを刺すところを見た」旨の目撃者Wの供述からダイレクトに甲の犯人明白性を認定するというものです。つまり、W供述を直接証拠として使うことはできません。 許容される使い方は、「犯人は~という特徴でした」という目撃者Wの供述(犯人の特徴に関する供述)により、逮捕者が直接認識した被疑者の特徴(逮捕者が直接認識した客観的状況)に、「犯人の特徴とこれくらい一致している」という意味を与えるというものです。逮捕者が直接認識しているのは被疑者の特徴だけですから、これだけでは、被疑者と犯人を結び付けることができません。そこで、逮捕 […]

2020年09月14日

要証事実を考える際に、①供述の存在自体又は供述者の供述時の心理状態を要証事実にすることで非伝聞とすることができるかから検討し、そのような推認過程を前提にすると「伝聞法則の趣旨に抵触する」又は「証拠としておよそ意味を持たない」ことになるのであれば、②次に、供述の内容たる事実を要証事実にすることで伝聞とするという流れで考えるのは、思考順序の1つとしてはあり得るかもしれません。 もっとも、検察官請求証拠をどのように使って主要事実を証明するのか(=いかなる推認過程を前提として検察官請求証拠の要証事実を設定するのか)については、第一次的には検察官の立証趣旨に従って判断されます(最二小決平成17・9・27 […]

2020年09月14日

最一小判昭和51・11・18・百21は、「本件・・恐喝被疑事件が暴力団であるO組に所属し又はこれと親交のある被疑者らによりその事実を背景として行われたというものであること」を考慮することで、捜索差押許可状における「本件に関係のある・・暴力団を標章する状、バッチ、メモ等」という記載について、「O組の性格、被疑者らと同組との関係、事件の組織的背景などを解明するために必要な証拠として掲げられたものであることが、十分に認められる。」として背景事情に関する証拠まで含む形で広く解釈しています。そのため、事件の背景事情がさほど意味を持たない事案であれば、「本件に関係のある」について背景事情に関する証拠を含む […]

2020年09月14日

伝聞・非伝聞の区別を検討する過程では、立証趣旨に従って、当該証拠(書面等)をいかなる主要事実を証明するために(=証拠と主要事実の対応関係)どう使うのか(推認過程)を確定することで、当該推認過程における証拠の直接の立証事項を要証事実として把握することになります。もっとも、要証事実を設定する際に前提とする推認過程は、経験則に適った合理的なものでなければいけません。ここでは、信用性テストを経ない供述証拠による不確かな推認による事実認定の誤りを防止するという伝聞法則の趣旨(これは、証拠⇒事実という証明の過程に関するもの)が、要証事実設定のために推認過程を組み立てる場面(事実⇒事実という推認の過程)にも […]

2020年09月14日

ご質問中のASKの回答(現:質問コーナーに反映済み)は、「甲がVを刺した」旨のWの公判廷外供述(供述調書等)について、要証事実(=直接の立証事項)を「甲がVを刺した」旨のWの供述が存在すること(=間接事実)と捉え、Wの供述の存在自体(=間接事実)から存在するWの供述の内容通りに甲がVを刺したという主要事実を推認するという形で、非伝聞として使用することは、信用性テストを経ない供述証拠による不確かな推認による事実認定の誤りを防止するという伝聞法則の趣旨に抵触するため、許されないというものです(詳細は、こちら)。 公判廷外供述(証拠)から供述の存在自体という間接事実を直接立証し、立証された供述の存在 […]

2020年09月14日

先行する手続に重大な違法が認められる一方で直接の証拠収集手続には重大な違法が認められないという事案における第一次証拠の証拠能力の判断方法には、①違法性承継論で処理する見解(最二小判昭和61・4・25・百91)と、②先行手続に重大な違法があることを前提に、先行手続と第一次証拠との間に将来の違法捜査抑止の観点からの証拠排除の相当性を肯定できるだけの関連性があるかどうかを検討する川出説(川出敏裕「判例講座刑事訴訟法  捜査・証拠篇」初版462頁)とがあります。なお、大津事件のように、先行手続に重大な違法が認められる一方で直接の証拠収集手続には重大な違法が認められない事案において、第一次証拠に基づいて […]

2020年09月14日

令状捜索の要件と条文の文言の対応関係については、学者の先生方により整理の仕方が異なります。 川出敏裕「判例講座刑事訴訟法  捜査・証拠篇」初版114~115頁では、令状捜索の実体的要件を①捜索の理由(㋐特定の被疑事件の嫌疑の存在、㋑捜索対象に差押目的物が存在する蓋然性)及び②捜索の必要性(㋒狭義の必要性の存在、㋓狭義の必要性と被処分者の不利益の均衡)に整理した上で、いずれも憲法35条1項の「正当な理由」に対応する要件であるとしています。その上で、②は憲法35条1項を前提とした刑事訴訟法218条1項における「犯罪を捜査するについて必要があるとき」にも対応するとしています。 宇藤崇ほか「リーガルク […]

2020年09月14日

上記の理解で問題ありません。 まず、別件逮捕・勾留の適法性については、本件基準説・別件基準説・実体喪失説のいずれを採用する場合であっても、別件について逮捕・勾留の要件を満たすかどうかから検討することになります。本件基準説・実体喪失説も、別件について逮捕・勾留の要件を満たしていることが適法性の十分条件ではないとするだけであり、別件について逮捕・勾留の要件を満たすことは適法性の必要条件です。別件について逮捕・勾留の要件を満たす場合に初めて、本件基準説・実体喪失説に固有の判断基準が発動することになります。令和1年司法試験設問1の採点実感でも、本件基準説について「本件基準説の考え方は、逮捕・勾留の要件 […]

2020年09月14日
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講師紹介

加藤 喬 (かとう たかし)

加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
司法試験・予備試験の予備校講師
6歳~中学3年 器械体操
高校1~3年  新体操(長崎インターハイ・個人総合5位)
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
労働法1位・総合39位で司法試験合格(平成26年・受験3回目)
合格後、辰已法律研究所で講師としてデビューし、司法修習後は、オンライン予備校で基本7科目・労働法のインプット講座・過去問講座を担当
2021年5月、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立

執筆
・「受験新報2019年10月号 特集1 合格
 答案を書くための 行政法集中演習」
 (法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
 憲法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成30年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成29年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成23~
 25年」行政法(法学書院)

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