加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

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「場所」に対する捜索差押許可状に基づき「場所」内の物を捜索することの可否において、当該物を持っている者の属性は結論に影響を及ぼすか

秒速・過去問攻略講座2020刑事訴訟法の平成29年司法試験設問1における捜査②の解説では、甲のAに対する覚せい剤営利目的譲渡を被疑事実・甲方を捜索場所とする捜索差押許可状に基づき、甲方内で甲の内妻乙が右手に持っていたハンドバッグを捜索したことについて、「場所」に対する捜索差押許可状が「場所」内の物に及ぶかどうかを当該場所の管理権が当該物に及ぶかどうかを基準として判断する見解に立った上で、本問の事実関係に着目して甲方の管理権が乙が持っていたハンドバッグにも及ぶとして、適法性を肯定しています。仮に、乙が甲の内妻として甲方に居住しているものではなく、偶々居合わせた第三者(遊びに来ていた友人等)である場合、甲の管理権は乙が持っていたハンドバッグには及ばないとして当該ハンドバッグを捜索差押許可状記載の「捜索すべき場所」に包摂させることを否定した上で、捜査③と同様に、捜索に「必要な処分」としての適法性を検討することになるのでしょうか。

「場所」に対する捜索差押許可状が「場所」内の物に及ぶかどうかを当該場所の管理権が当該物に及ぶかどうかという論点は、①当該場所に置かれているだけの物と、②当該場所に居合わせた者(被処分者、被疑者、第三者)の携帯品の双方を対象とするものであり、①②いずれについても、当該場所の管理権が当該物に及ぶかどうかを基準として当該場所に対する捜索差押許可状が当該物に及ぶかどうかを判断することになります。

なので、捜索場所内でハンドバッグを持っていた乙が捜索の被処分者なのか、被疑者なのか、それとも第三者なのか(さらには、居住者なのか、偶々遊びに来ていた友人なのか)といった事情は、②について「当該場所の管理権が当該物に及ぶかどうかを基準として当該場所に対する捜索差押許可状が当該物に及ぶかどうかを判断する」という抽象論の採否には影響を及ぼしません。捜索場所内でハンドバッグを持っていた乙の属性は、上記の判断基準を適用する段階(当てはめの段階)で、当該場所の管理権が乙が持っているハンドバッグに及んでいるかどうかの結論を左右し得るにとどまります。

そして、当該場所の管理権が乙が持っているハンドバッグに及んでいるとはいえないという結論に至った場合には、捜査③と同様、捜索に「必要な処分」としての捜索の可否を検討することになり、乙が甲方にあった差押目的物をハンドバッグ内に隠匿したと認められる状況が存在するのであれば、合理的にみて必要かつ相当な範囲内で、ハンドバッグ内を捜索することができる、ということになると思います。

2020年09月15日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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