加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

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現行犯逮捕の犯人明白性の認定過程における犯人目撃供述の使い方

基本書等では、現行犯逮捕における犯人の明白性の認定過程において、目撃者Wの供述を直接の認定根拠にすることは許されないが、目撃者Wの供述を逮捕者が認識した客観的状況を意味付ける限りで補充的に用いることは許されると説明されています。両者は具体的にどのように異なるのでしょうか。

現行犯逮捕の犯人明白性の認定過程において禁止される供述証拠の使い方は、例えば、「甲がVを刺すところを見た」旨の目撃者Wの供述からダイレクトに甲の犯人明白性を認定するというものです。つまり、W供述を直接証拠として使うことはできません。

許容される使い方は、「犯人は~という特徴でした」という目撃者Wの供述(犯人の特徴に関する供述)により、逮捕者が直接認識した被疑者の特徴(逮捕者が直接認識した客観的状況)に、「犯人の特徴とこれくらい一致している」という意味を与えるというものです。逮捕者が直接認識しているのは被疑者の特徴だけですから、これだけでは、被疑者と犯人を結び付けることができません。そこで、逮捕者が直接認識した被疑者の特徴が犯人の特徴とこれだけ一致しているという、被疑者と犯人を結び付けるための意味づけをするための資料として、犯人の特徴に関する目撃者Wの供述を使うことになるわけです。

2020年09月14日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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