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令状捜索の実体的要件の分類及び要件と文言の対応関係

捜索許可状(218条、219条)に基づく捜索では、捜索対象に差押目的物が存在する蓋然性が認められることに加え、必要性も要件であると思うのですが、刑事訴訟法218条1項でいう「捜査をするについて必要があるとき」という文言はいずれの要件に対応するものなのでしょうか。

令状捜索の要件と条文の文言の対応関係については、学者の先生方により整理の仕方が異なります。

川出敏裕「判例講座刑事訴訟法  捜査・証拠篇」初版114~115頁では、令状捜索の実体的要件を①捜索の理由(㋐特定の被疑事件の嫌疑の存在、㋑捜索対象に差押目的物が存在する蓋然性)及び②捜索の必要性(㋒狭義の必要性の存在、㋓狭義の必要性と被処分者の不利益の均衡)に整理した上で、いずれも憲法35条1項の「正当な理由」に対応する要件であるとしています。その上で、②は憲法35条1項を前提とした刑事訴訟法218条1項における「犯罪を捜査するについて必要があるとき」にも対応するとしています。

宇藤崇ほか「リーガルクエスト刑事訴訟法」第2版120~121頁では、捜索対象に差押目的物が存在する蓋然性の存在が憲法35条1項の「正当な理由」、捜索の必要性(狭義の必要性の存在、狭義の必要性と被処分者の不利益の均衡)が刑事訴訟法218条1項における「犯罪を捜査するについて必要があるとき」にも対応するとされています。

令状捜索の実体的要件の分類及び要件と文言の対応関係のいずれについても、川出敏裕「判例講座刑事訴訟法  捜査・証拠篇」初版114~115頁に従ったほうが良いと思います。

2020年09月14日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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