加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

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任意同行後の取調べの「強制の処分」該当性と任意捜査の限界における判断対象は取調べか

任意同行後に取調べが行われたという事案において、「強制の処分」該当性及び任意捜査の限界を論じる際、適法性の判断対象は同行と取調べのいずれになるのでしょうか。

第一次的には、問題文・設問の指示(例えば、下線の有無・場所等)に従うことになります。例えば、平成26年司法試験設問1では「取調べの適法性について・・論じなさい」とあり、令和2年司法試験設問1でも「下線部①の取調べの適法性について、・・論じなさい」とありますから、いずれの問題においても、「強制の処分」該当性と任意捜査の限界の判断対象は「取調べ」です。

問題文・設問において「取調べの適法性について、論じなさい」といった指示・誘導がない場合にも、「強制の処分」該当性と任意捜査の限界の判断対象は「取調べ」です(例えば、古江賴隆「事例演習刑事訴訟法」第2版48頁)。

このように、「強制の処分」該当性と任意捜査の限界の判断対象は「取調べ」である場合には、取調べに至る経緯(例えば、任意同行の態様等)については、取調べ段階における「被疑者の取調べに応じるか否かの意思の自由」の有無(「強制の処分」該当性)や「社会通念上相当と認められる方法、態様、限度」(=任意取調べの限界)を推認する事情として使うことになります。

2020年09月15日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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