質問コーナー「 民事訴訟法 」
22件の質問

論文対策としての演習範囲は、インプットしただけで答案を書けるかどうかにもよります。例えば、演習を経験したことのある論点でなければ答案を書くことができないというタイプの方は、その分だけ、演習するべき範囲が広くなります。これに対し、演習を経験していない論点についても答案を書くことができるタイプの方であれば、出題可能性の高い論点、答案の書き方にコツを要する論点に限って演習をすれば足ります。 前者のタイプであれば、旧司法試験過去問を網羅的にやったほうがいいので、総まくりで取り上げられてない問題もやるのが望ましいです。これに対し、後者よりのタイプであれば、総まくりテキストで取り上げている旧司法試験過去問 […]

2021年04月20日

旧司法試験平成4年第2問(3)は、甲が乙に対する貸金債権を被保全債権として乙の丙に対する売買代金債権を被代位権利とする債権者代位訴訟を提起した事案において、乙が貸金債権の成立を争いつつ甲丙間の債権者代位訴訟に当事者として参加することの可否が問われています。 まず、改正民法下では債権者代位権が行使されても債務者の被代位権利についての処分権限は制限されませんが(民法423条の5前段)、甲が債権者代位訴訟において売買代金を甲に支払うように請求している(民法423条の3前段)のであれば、丙が甲と乙のいずれか一方に弁済をすれば他方の請求が認められなくなる(民法423条の3後段参照)という意味で、甲の請求 […]

2021年04月15日

裁判上の自白の撤回禁止効の根拠論については、①「証明不要効→審判排除効→撤回禁止効」という理解(平成23年司法試験の出題趣旨・採点実感、勅使川原「読解民事訴訟法」50頁以下)と、②「審判排除効→撤回禁止効→証明不要効」という理解(勅使川原「読解民事訴訟法」48頁)があります。 権利自白の撤回禁止効をはじめとして、自白の撤回禁止効又は審判排除効が問われている場合には、①の理解で書いた方がいいです。実際、権利自白の撤回禁止効が出題された平成23年司法試験設問1でも、①の理解を前提として、撤回禁止効の根拠である証明不要効及び審判排除効が権利自白にも妥当するかという観点から、権利自白の撤回禁止効を肯定 […]

2021年04月08日

既判力の作用の有無(訴訟物どうしの関係)と既判力の主観的範囲(当事者どうしの関係)は、別次元の問題です。既判力が後訴に作用するが、後訴に作用する既判力は後訴の当事者には及ばない(拡張されない)という結論はあり得ます。 平成28年司法試験設問3は、権利能力なき社団Xが本件不動産についての総有権確認訴訟を抵当権設定登記名義人Yに対して提起するとともに、提訴非同調者たる構成員Zを被告に回しており、X勝訴判決が確定した後に、YがZを被告として抵当権の無効を理由とする債務不履行に基づく損害賠償請求訴訟を提起したという事案に関するものです。 課題②では既判力の作用及び既判力の遮断効が問われているところ、前 […]

2021年04月06日
お世話になっております。民事訴訟法について質問させて頂ければと思います。 前訴で原告甲が被告乙に対してA土地所有権に基づくA土地明渡請求権を訴訟物とするA土地明渡請求訴訟を提起し、請求認容判決が確定し、執行がされた後、乙が甲に対しA土地所有権に基づくA土地明渡請求権を訴訟物とするA土地明渡請求訴訟を提起したとします。 上記の事例で、前訴確定判決の既判力の後訴に対する作用する根拠として、訴訟物の「矛盾関係」があると説明しても宜しいでしょうか。 上記の事例は旧司法試験平成17年第2問の事例なのですが、これについて、予備校の解説でも、「矛盾関係」を理由として既判力の作用を肯定しているものと、既判力の作用を否定した上で信義則によって処理するという2つの説明を目にしたため、気になっております。 私見としましては、勅使河原和彦「読解民事訴訟法」初版142頁以降を見る限り、所有権確認訴訟ならば「一物一権主義を媒介に」矛盾関係があるといえるとしても、所有権に基づく返還請求権が訴訟物となっている場合には「一物一権主義を媒介に」矛盾関係があるとはいえないように思います。しかし、A土地という給付客体の同一性が認められる以上、上記の文献で「同一物について「行ったり来たり」の正反対の請求」と表現されている関係があるともいえ、とすると矛盾関係が肯定できるようにも思え、わからず困っております。 お教え頂ければ幸いです。よろしくお願い致します。

確かに、基本書で一物一権主義を根拠とする矛盾関係の肯定例として挙げられているのは、甲が乙を被告としてA土地所有権の確認訴訟を提起し、認容判決確定後、乙が甲を被告としてA土地所有権の確認訴訟を提起したというケースです。 しかし、一物一権主義の下、A土地について甲の単独所有権と乙の単独所有権が併存することはあり得ませんから、甲のA土地についての単独所有権の一行使態様であるA土地の明渡請求権と乙のA土地についての単独所有権の一行使態様であるA土地の明渡請求権も併存し得ないとして、矛盾関係を肯定することになると思われます。藤田広美「解析民事訴訟法」第2版374頁でも、旧司法試験平成17年第2問設問2に […]

2021年04月03日

記載された説(司法試験委員会の立場)とよってした説(司法研修所の立場)の違いは、処分証書に当たるというためには、①要証事実たる法律上の行為が当該文書に記載されていることに加えて、②文書の成立の真正が認められることまで必要であるかという点にあります。記載された説では①だけで処分証書であると認定することができるのに対し、よってした説では①に加えて②まで認められないと処分証書であると認定することができないわけです。 事例で考える民事事実認定(法曹界、2014年)36頁では、㋐「処分証書については、形式的証拠力が認められれば、特段の事情を検討することなく、作成者がその文書に記載されている意思表示その他 […]

2021年03月22日

その理解で正しいです。私も、同じ考えです。 114条1項に基づく既判力が後訴に作用するかを判断する際に「後訴の訴訟物」との比較対象として「前訴の訴訟物」が挙げられるのは、114条1項に基づく既判力(後訴に作用するかが問題となっている既判力)が生じているのが「前訴の訴訟物」だからです。なので、114条2項に基づく既判力が後訴に作用するかを判断する際には、「後訴の訴訟物」との比較対象は「前訴の訴訟物」ではなく、114条2項の既判力が生じている「相殺の抗弁に供された自働債権」となります。 上記のことからすると、既判力に準ずる効力が後訴に作用するかは、既判力に準ずる効力が生じている「主文中で判断が示さ […]

2021年03月21日

XのYに対する土地所有権に基づく建物収去土地明渡請求(第1訴訟)⇒建物退去明渡しを命ずる判決が確定⇒XのYに対する土地所有権に基づく建物収去土地明渡請求(第2訴訟)という事案では、第2訴訟において、Xは強制執行の方法として建物収去を求めるための主張立証をし、Yは強制執行の方法を建物退去にとどめるための主張立証をすることになるという意味で、既判力に準ずる効力が生じている建物退去という強制執行の方法が第2訴訟で前提問題とされることになります。強制執行の方法についてXとYの主張立証が展開されるという意味で、前提問題であると理解しているので、請求原因か抗弁かという捉え方をする必要はないと思います。 そ […]

2021年01月10日

民事訴訟法115条1項3号でいう「口頭弁論終結後の承継人」は、口頭弁論終結後、すなわち既判力の基準時の後に、①「訴訟物たる権利または義務自体の主体となった者」及び②「訴訟物たる権利関係またはこれを先決関係とする権利関係について当事者適格を取得した者」を意味します(高橋宏志「重点講義 民事訴訟法 上」第2版補訂版690頁)。 ①・②の場合に「口頭弁論終結後の承継人」に該当することについては、判例・学説上争いはありません。学説上争いがあるのは、①・②の場合に「口頭弁論終結後の承継人」に該当することをどのようにして理論的に説明するのかという、理論的な説明の仕方です。これについては、「当事者適格の移転 […]

2020年12月07日
こんにちは。民事訴訟法115条1項3号「口頭弁論終結後の承継人」について質問があります。 最判昭和48年6月21日のような、前訴訴訟物が「土地所有権に基づく妨害排除請求権としての所有権移転登記手続請求権」、後訴訴訟物が「口頭弁論終結後の土地譲受人に対する所有権移転登記手続請求権」であるという事案では、既判力の主観的範囲以前の問題として、前訴確定判決の既判力が後訴に作用しないのではないかという疑問があります。 答案の構成としては、「前訴確定判決の既判力が後訴に作用する」ことを言わなければ、115条1項3号の解釈論に入れないように思えるのですが、ここをどうすればよいか分からず悩んでおります。①作用の話は意識的にスルーし、「口頭弁論終結後の承継人」の解釈論から入ればよい(固有の抗弁ある者ならばいずれの説にせよ、抗弁を主張できるという結論が出てそれで締められる)、②何とか、前訴・後訴の訴訟物は先決関係にあると認定する、といった方針が浮かんでいますが、どうするのが適切でしょうか。 固有の抗弁ある者と「口頭弁論終結後の承継人」についての実質説は、既判力作用がない場合でも「口頭弁論終結後の承継人」には、前主が相手方との間で既判力ある判断を争うために主張することが遮断されるような事項については、前主と同じく主張することができなくなるという前提に立っているという話を聞いたことがあります。そうすると、③実質説に立てば、前訴既判力の作用を否定した上で、「口頭弁論終結後の承継人」にあたるならば、抗弁が提出できなくなるから、これを検討する〜という組み立てが可能になるのでしょうか。 お教え頂ければ幸いです。宜しくお願い致します。

私の見解は以下の通りです。 まず、①前訴:原告A・被告B、後訴:原告A・被告C(敗訴したBからの承継人)という事案では、BとCとを同一視した上で、前訴訴訟物と後訴訴訟物とを比較することにより、両者間に同一・先決・矛盾の関係があるかどうかを判断します。BとCとを同一視しないと、訴訟物間の同一・先決・矛盾の関係を肯定することができない事案も多々あるからです。 次に、②上記の判断手法を用いても訴訟物間の同一・先決・矛盾の関係を肯定することができない事案では、「訴訟物間の同一・先決・矛盾の関係の有無により既判力の作用を判断する」という判断枠組みを放棄することになります。基本書等では、既判力の主観的範囲 […]

2020年11月16日

平成29年から令和1年までの司法試験の民事訴訟法論文は、旧司法試験過去問との関連性が非常に強かったです。平成29年設問2・3は旧司法試験平成15年第2問、平成30年設問1は旧司法試験過去問平成22年第1問、令和1年設問1は昭和62年第1問、令和1年設問2は旧司法試験過去問昭和61年第2問の類題です。 もちろん、いずれの年度においても、司法試験過去問が参考になる問題もあるのですが、難しい問題(受験生間で差がつきやすい問題)で旧司法試験過去問が元ネタにされている傾向があります。 そのため、仮に旧司法試験過去問を元ネタにする出題がされた場合、旧司法試験過去問をやっていたかどうかでかなり差がつきます( […]

2020年10月09日

民事訴訟法115条1項3号でいう「口頭弁論終結後の承継人」は、口頭弁論終結後、すなわち既判力の基準時の後に、①「訴訟物たる権利または義務自体の主体となった者」及び②「訴訟物たる権利関係またはこれを先決関係とする権利関係について当事者適格を取得した者」を意味します(高橋宏志「重点講義 民事訴訟法 上」第2版補訂版690頁)。 ①・②の場合に「口頭弁論終結後の承継人」に該当することについては、判例・学説上争いはありません。学説上争いがあるのは、①・②の場合に「口頭弁論終結後の承継人」に該当することをどのようにして理論的に説明するのかという、理論的な説明の仕方です。これについては、「当事者適格の移転 […]

2020年10月07日

前訴で敗訴した前訴被告が前訴確定判決の不正取得を理由として不法行為に基づく損害賠償を求めて後訴を提起する場合について、後訴を制限する方法としては、①前訴確定判決の既判力が後訴に作用するとしたうえで、後訴における前訴被告の主張のうち前訴確定判決の主文中の内容と矛盾するものを排斥することで、請求を棄却するというものと、②前訴確定判決の既判力が後訴に作用することを否定しつつ、請求認容のために必要とされる請求原因として、本来的要件(故意過失、権利利益侵害、損害、因果関係)に加え「特別の事情」も要求する(請求原因を加重する)というものがあります。 勅使川原和彦「読解民事訴訟法」初版143頁・166~16 […]

2020年09月26日

前訴で敗訴した前訴被告が前訴確定判決の不正取得を理由として不法行為に基づく損害賠償を求めて後訴を提起する場合について、後訴を制限する方法としては、①前訴確定判決の既判力が後訴に作用するとしたうえで、後訴における前訴被告の主張のうち前訴確定判決の主文中の内容と矛盾するものを排斥することで、請求を棄却するというものと、②前訴確定判決の既判力が後訴に作用することを否定しつつ、請求認容のために必要とされる請求原因として、㋐本来的要件(故意過失、権利利益侵害、損害、因果関係)に加え㋑「特別の事情」も要求する(請求原因を加重する)というものがあります。最高裁は②の立場であり、②・㋑について、勅使川原和彦「 […]

2020年09月10日

権利抗弁と事実抗弁の区別については、①権利抗弁は「権利者による訴訟上での権利行使の意思表示」を必要とするものであるとする見解(髙橋宏志「重点講義  民事訴訟法  上」第2版補訂版450~451頁、「民事訴訟法判例百選」事件51解説2(2))と、②権利抗弁は「権利者による権利行使の意思表示」を必要とするものであるとして、権利行使の意思表示の必要性を「訴訟上」におけるものに限定しない見解があります(和田吉弘「基礎からわかる民事訴訟法」初版263~264頁、三木浩一ほか「リーガルクエスト民事訴訟法」第3版225~226頁)。秒速・総まくり及び秒速・過去問攻略講座で採用している延期的・停止的抗弁権か永 […]

2020年09月10日

平成25年民事訴訟法の採点実感では、「設問に対する解答を超えて」一般論を論じることについて、「特に評価の対象とはしない」とあり、場合によっては「得点に繋がらない上、丸暗記した論証パターンを無反省に書き散らかした答案として、印象も極めてよくない」とまで書かれています。もっとも、ここで想定されている「設問に対する解答を超え」た一般論について、過度に狭く捉えることにならないよう、気を付ける必要があります。①具体的検討(当てはめ)で使わない一般論と、②会話文で示されている問題意識から外れる一般論が、「設問に対する解答を超え」る一般論です。 平成25年司法試験設問1では、過去の法律関係を確認対象とする遺 […]

2020年09月10日

まず、請求異議の訴えに前訴確定判決の既判力が作用する形式的根拠として、確定判決についての請求異議の訴えについては、民事執行法35条2項の適用により、異議事由として主張することができることが前訴確定判決の「口頭弁論の終結後に生じたもの」に限られるため、前訴確定判決の既判力が作用することが前提にされているということが挙げられると考えられます。 次に、実質的根拠について、訴訟物どうしが同一関係にあると説明することも可能であると考えられます。請求異議の訴えの訴訟物については、複数の見解があり、現在は、給付判決についての請求異議の訴えについては、これが給付訴訟(前訴)の反対形相であるとして、その訴訟物を […]

2020年09月10日

平成25年司法試験設問4のように、問題文で既判力を飛ばして信義則を使って検討することが誘導されているといった事情がない限り、既判力から検討することになります。例えば、売買契約に基づく目的物引渡請求訴訟の判決確定後の代金支払請求訴訟における審理判断の制限が問題となった平成29年司法試験設問3に関する出題趣旨では、「本問では、既判力などの制度的効力を否定する場合には、既判力以外の理由、例えば信義則などにより、Xが本件絵画の売買契約の成否及びその代金額を後訴で争えなくなるか否かについて検討することも求められる。」と説明されています。したがって、仮に信義則で処理するのであれば、少なくとも、「既判力によ […]

2020年09月09日

最二小判平成10・6・12・百80は、外側説を採用したと理解されている最三小判平成6・11・22・百113を引用し(「民事訴訟法判例百選」第5版・事件80解説)、債務の消滅原因を相殺に限定することなく「一個の金銭債権の数量的一部請求・・の当否を判断するためには、おのずから債権の全部について審理判断することが必要になる。・・債権の一部の消滅が認められるときは債権の総額からこれを控除して・・」という外側説を前提とした抽象論(勅使川原和彦「読解  民事訴訟法」初版214頁参照)を述べているため、相殺以外の債務消滅原因についても外側説を採用していると思われます。そうすると、外側説・案分説・内側説の議論 […]

2020年09月09日

29条については、①同条に該当する団体には、訴訟上の当事者能力のみならず実体法上の権利能力も認められるとする見解(この見解によると、組合には、実体法上の権利能力に基づき団体固有の当事者適格が認められる)と、②同条に該当する団体には訴訟上の当事者能力しか認められず、実体法上の権利能力までは認められないとする見解(この見解によると、団体には訴訟担当者としての当事者適格が認められる)があります(伊藤眞「民事訴訟法」第6版125頁、髙橋宏志「重点講義  民事訴訟法  上」第2版補訂版188頁・12参照)。 ②の見解からは、団体には、構成員全員を権利義務主体とする訴訟担当者として当事者適格が認められるの […]

2020年09月09日
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講師紹介

加藤 喬 (かとう たかし)

加藤ゼミナール代表取締役
司法試験・予備試験の予備校講師
6歳~中学3年 器械体操
高校1~3年  新体操(長崎インターハイ・個人総合5位)
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
労働法1位・総合39位で司法試験合格(平成26年・受験3回目)
合格後、辰已法律研究所で講師としてデビューし、司法修習後は、オンライン予備校で基本7科目・労働法のインプット講座・過去問講座を担当
2021年5月、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立

執筆
・「受験新報2019年10月号 特集1 合格
 答案を書くための 行政法集中演習」
 (法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
 憲法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成30年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成29年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成23~
 25年」行政法(法学書院)

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