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民事訴訟法115条1項3号の「承継人」を認定する際に答案に書くべき抽象論

いつもお世話になっております。
秒速・総まくり2021民事訴訟法テキスト154頁では「承継人」の意味について①②と書かれている一方で、115頁では「承継人」について「紛争の主体たる地位の移転」で説明する見解が記載されています。答案では、いずれの記述を論証すればいいのでしょうか。

民事訴訟法115条1項3号でいう「口頭弁論終結後の承継人」は、口頭弁論終結後、すなわち既判力の基準時の後に、①「訴訟物たる権利または義務自体の主体となった者」及び②「訴訟物たる権利関係またはこれを先決関係とする権利関係について当事者適格を取得した者」を意味します(高橋宏志「重点講義 民事訴訟法 上」第2版補訂版690頁)。

①・②の場合に「口頭弁論終結後の承継人」に該当することについては、判例・学説上争いはありません。学説上争いがあるのは、①・②の場合に「口頭弁論終結後の承継人」に該当することをどのようにして理論的に説明するのかという、理論的な説明の仕方です。これについては、「当事者適格の移転」で説明する見解と、「紛争の主体たる地位の移転」で説明する見解があり、いずれの見解に立っても、「口頭弁論終結後の承継人」の範囲は変わりません。「口頭弁論終結後の承継人」に該当するかどうかの説明の仕方(結論を導く過程)が異なるだけです(高橋宏志「重点講義 民事訴訟法 上」第2版補訂版690頁)。

したがって、「口頭弁論終結後の承継人」については、まず初めに、「当事者適格の移転」で説明する見解又は「紛争の主体たる地位の移転」で説明する見解に従った論証を書きます。その上で、「当事者適格の移転」又は「紛争の主体たる地位の移転」という上位規範への該当性を判断する際に、上記①・②の下位基準を用います。このように、論証として書く規範は「当事者適格の移転」又は「紛争の主体たる地位の移転」で、当てはめで上記①・②を下位基準として用いる、という書き方になります。

2020年12月07日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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