加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

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民事訴訟法では基本書の精読が必要か

いつもありがとうございます。総まくり講義と基礎問題演習講座を受講しています。少し気になることがあります。さきごろ公表された採点実感では、一例として民事訴訟法では「受験者が民事訴訟の体系的な理解と基礎的な知識の精確な取得のために体系書や条文を繰り返し精読するという地道な作業をおろそかにし、依然として論点主義に陥っており、個別論点に対する解答の効率的な取得を重視しているのではないかとの強い懸念を生じさせる」とあります。指摘は理解できますが、特に「体系書・・を精読する」という部分については、予備校テキストの論証暗記ではなく、基本書・体系書をよく読んで法律を深く学習・理解しないと点は与えない、と読み取れます。これは試験勉強においてはいつも迷いのある部分です。勉強範囲を絞って知識なり理解を使えるようになるまで身に着けないとそもそも答案を書けないと思いますが、基本書・体系書を多数精読せずとも、テキスト・論証集を反復学習すれば「点はもらえる」のでしょうか。指摘されている「体系的な理解と基礎的な知識の精確な取得」のための、テキスト・論証集の必須勉強法について、あらためてご教示いただけると幸甚です。よろしくお願いいたします。

民事訴訟法の採点実感における「受験者が民事訴訟の体系的な理解と基礎的な知識の精確な取得のために体系書や条文を繰り返し精読するという地道な作業をおろそかにし…」という記述に引きずられて取り敢えず基本書の読み込みをするというのは、勉強の方向性を見誤っていると思います。

民事訴訟法に限ったことではありませんが、過去問の演習・復習を進める過程で徐々に試験傾向(出題の範囲、深度、角度など)が分かり、過去問を解くために必要とされる「知識の範囲、深度、角度」と「方法論」に気が付き、それらの習得を明確に意識したインプット・アウトプットをするべきです。これが王道です。

試験傾向から過去問で必要とされる知識と方法論を導くという過程を経ていない状態では採点実感でいう過去問で必要とされる「民事訴訟の体系的な理解と基礎的な知識の精確な取得」の意味も分からないので、その状態で基本書を何度精読しても過去問を解けるようにはなりません。過去問を解くために必要とされる知識と方法論が分からない以上、これらを習得するための基本書の読み方も分からないからです。

予備校テキストでは過去問を解けない、基本書を精読すれば過去問を解けるようになるといった話ではありません。

①過去問の演習・復習→②過去問を解くために必要な知識・方法論を把握→③これらを習得するための勉強というのが理想的な流れであり、基本書は人ごとに必要に応じて③で出てくるものにすぎません。

総まくり講座と基礎問題演習講座では、司法試験の試験傾向を明確に意識して、司法試験の問題を解くために必要とされる知識と方法論が網羅されていますから、これらの講座を受講しているならば基本書の精読は不要です。せいぜい、人によってはテキストの特定の記述の理解を深めるために部分的に基本書を参照することがあるにとどまります。

参考にして頂けますと幸いです。

2022年11月06日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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