加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

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司法試験過去問のAランクすらやり込めていない場合における学習の優先順位

いつもお世話になっております。
司法試験の総まくり講座と過去問講座を受講致しております。
昨年の9月から基本が出来ていない状態から受講を開始したため、総まくり講座の1周目のマーク箇所や論点の暗唱・記憶に多くの時間がかかってしまい現段階では過去問講座についてはAランクの年度も十分に出来ていません。(民事訴訟法・刑事訴訟法・民法に関しては全く過去問に取り掛かっていません。)
司法試験本番まで約3ヶ月となってしまい、今後総まくりテキストの反復・読み込みと過去問のバランスに悩んでおります。
手を広げる学習をすると混乱すると考えており、総まくりテキストの反復に重点におこうと考えておりますが、基礎問題演習を受講出来ていないためアウトプットに穴が出来てしまうのではないかとも感じております。
これらの優先順位についてアドバイスをお願いしたく思います。
どうぞ宜しくお願いいたします。

現行の司法試験論文式は、平成18年から平成23年頃までの応用重視で癖が強い問題とは異なり、比較的オーソドックスな問題が多いです。また、総まくり講座では、司法試験の科目特性を意識した教材作成と授業をしていますので、総まくり講座だけでも司法試験過去問のエッセンスを多く学ぶことができます。

まずは総まくり講座のマーク箇所、論点の記憶を最優先しましょう。現行の司法試験論点式は、現場思考要素が少ない上に癖も強くないので、知識があれば解けますし、逆に知識がなければ解けません(現場思考での誤魔化しが効きにくいです。)。総まくり講座をちゃんと消化すれば、それだけである程度過去問は解けるようになります。

その上で、少なくとも、以下の過去問はやりましょう。

憲法は、平成30年、令和1年は必須であり、この2年分を通じて、違憲審査の枠組みの使い方、問題文の読み方といった総まくり講座の第1部の内容を使いこなせるようになりましょう。

行政法は、平成20年、平成24年、平成26年、平成27年は必須です。この4年分を通じて、後行行為との連動性に着目した処分性の検討、行政裁量(裁量基準を使わない判断過程審査)、裁量基準に従った裁量処分、差止訴訟、損失補償についてしっかりと対策をします。

民法は、平成27年、平成28年の2年だけでもOKです。この2年分を通じて、問題文のボリューム、事実関係の複雑さ、答案の書き方に慣れておきましょう。

商法は、平成20年、平成21年、平成22年、平成23年、平成27年の5年分はやりたいところです。商法は、過去問からの出題が多いからです。あとは、条文操作もよく出題されますので、総まくりテキストや総まくり論証集の掲載条文はちゃんとおさえておきましょう。

民事訴訟法は、平成24年、平成27年、平成29年の3年分はやりましょう。民事訴訟法の出題傾向を掴むとともに、再度の出題に備えるために重要です。

刑法は、既にやっているAランク過去問をちゃんとやればやります。そこまで科目特性が強い科目ではありませんから、知識があればなんとかなります。

刑事訴訟法は、科目特性が強い上に、基本7科目の中で最も過去問からの出題が多いので、ちゃんと過去問をやるべきです。Aランク過去問のうち、平成20年、平成21年、平成22年、平成25年、平成27年、平成30年の6年分は必須です。これらの6年分を通じて、本試験レベルの問題で総まくり講座の知識・方法論(書き方、思考プロセスなど)を使いこなせるようになりましょう。

司法試験過去問は18年分あり、総まくり講座もかなりボリュームがあります。全部をやり込むことは難しいですから、上記の通り、重要度等に応じてやるべきことを絞込み、絞り込んだことについてはしっかりとやり込んで定着化させましょう。

参考にして頂けますと幸いです。

2023年04月06日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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