加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

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条文を引用する際に「…」により一部省略することの可否

いつも大変お世話になっております。
条文の引用について質問させていただきます。
条文を引用するとき、対象が長い場合、「・・・」を使用して省略することがあるかと思われますが、できる限りしない方が心象が良いでしょうか。
また、して良い場合、してはいけない場合の区別などがあれば是非ご教授いただければと思います。

特に会社法では、条文の文言が長いので、全部を引用するのではなく、重要部分に絞って文言を引用する工夫も必要です。

ざっくりとした基準になりますが、本文の事例処理で用いる条文の文言の本質部分についてはなるべく省略しないで引用し、それ以外は必要に応じて一部省略する形で引用してもかまわないと考えています。

個人的に、文言の一部を省略する際に「…」を用いる機会は少ないと思います。例えば、ある条文がA、B、C及びDという4つの要素から構成されている場合に、Aに対応する文言の前半と後半だけを引用して中間部分を省略するという場合くらいしか、「…」を用いる必要はないと思われるからです。前半又は後半だけを省略するのであれば、「前半、中間」又は「中間、後半」という引用にすれば足り、「前半、中間・・・」、「・・・中間、後半」と書く必要はないと思います。前半と後半を両者くして中間部分だけ引用する場合も同様です。

例えば、仮装払込みに関する責任について定める会社法213条の3第1項但書では「ただし、その者(当該出資の履行を仮装したものを除く。)がその職務を行うについて注意を怠らなかったことを証明した場合は、この限りでない。」と定められていますが、時間がなければ、‟ Aには無過失「証明」が認められる。”という引用でも構わないです。わざわざ「…証明…」と書く必要はないです。

それから、仮に「…」と用いる場合には、「…」の部分も当てはめの対象に含まれているのか、「…」の部分は条文のどの部分を意味しているのかという2点が不明瞭になり過ぎないようにしましょう。

最後に、会社法に限らず、条文の文言を引用するという形式面も重要ですが、一番大事なことは論述の中身です。どんなに条文の文言を引用するという形式面を充実させても、論述の中身が伴っていなければ評価されませんし(この意味で、形式面は中身が伴って初めて評価されるものであるといえます。)、中身がちゃんとしていれば多少形式面が雑でも合格ラインには到達します。文言の引用という形式面に囚われすぎて、中身について思考する時間や答案に書く時間を削られてしまっても本末転倒ですから、気にし過ぎないようにしましょう。

2023年04月03日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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