加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

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予備試験論文における当てはめの水準とコツ

こんにちは、いつもお世話になっております。Twitter・ブログ等でわかりやすい情報をありがとうございます。少々長くなりますが質問にお答えいただければ幸いです。

①予備試験における「当てはめ」に関する答案の作法について質問です。先生の今までの情報から、以下の通り答案作成すればいいと自分の中で理解しているのですが、他に何か気をつけるべきことはあるのでしょうか。
・(予備試験だと特に)問題文の事情をコピペする
・要件を「」で端的に示す
・法的三段論法の意識を忘れない
・(重要論点については特に)考慮要素から抽出する事実を探知する
・(余裕があれば)判例の当てはめの文言を意識する

②自分は特に憲法の当てはめが苦手で、反論を現場で思いつくことができません。例えば令和2年予備試験憲法の「捜査機関を同意確認のための主たるルートとすることの 問題性や、犯罪被害者等の心情が時間とともに,また,取材者とのコミュニケーシ ョンの中で変化する可能性」(出題趣旨)といったことを現場で書くことができないです。どういう思考を現場で意識すればいいのでしょうか。

①についてですが、質問者様が挙げていることができれば上位水準です。なお、情報量が多い司法試験の問題文になると、個々の事実ごとの評価だけでなく、個々の事実の集積により導かれる「事実群としての評価」まで書くことが望ましいです。

例えば、証拠隠滅の具体的危険については、「事実Aの評価(ex.覚せい剤の水溶性の高さなど)、事実Bの評価及び事実のCの評価から、証拠隠滅の可能性が認められる。事実D(ex.不自然な挙動など)の評価、事実Eの評価から、被疑者が覚せい剤をトイレに流して隠滅する具体的危険が認められる。」といった感じで論じることができればベストです。

②についてですが、問題文のヒントから比較的明らかな反論の観点さえ答案に反映することができれば合格水準です。「捜査機関を同意確認のための主たるルートとすることの 問題性や、犯罪被害者等の心情が時間とともに、また、取材者とのコミュニケーシ ョンの中で変化する可能性」(出題趣旨)は、普通は問題文のヒントから気が付かないでしょうから、書けなくても問題ありません。自説が違憲という結論であれば、例えば、「犯罪被害者等へ取材等を行うことは、犯罪被害者等の同意がある場合を除き禁止されるが、直ちに処罰されるわけではなく、処罰されるのは取材等中止命令が発出されているにもかかわらず、取材等を行った場合であるということになる。」というヒントから、規制態様が弱いとして違憲審査基準を緩やかにするとともに、手段必要性を肯定するという論述をすることができれば合格水準です。

問題文中の「違憲の方向に評価されるヒント」と「合憲の方向に評価されるヒント」に色分けをしてマーカーやアンダーラインを引いてみるといいでしょう。

2023年02月25日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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