質問コーナー

慶應義塾大学法科大学院(既修者コース)の合格ライン

いつもお世話になっております。
総まくり、基礎問等を受講しています。
今年の夏から秋にかけて法科大学院入試を控えており、慶應を第1志望としているのですが、法科大学院入試固有の対策(学説対立など)はどの程度抑えればよいのでしょうか。
言い方を変えると、どの程度の答案がかければ合格レベルに達するのでしょうか。

15年ほど前のことになりますが、私が慶應LAWの入試を受けた経験も踏まえると、基礎問の答案をちゃんと再現できるレベルまでは不要であり、A・B+レベルのことで解答筋を外さないことが大事だと思います。

基本的には、①重要な条文選択を誤らない、②重要論点を落とさない(論点の組み合わせも含む)、③それなりに正しい規範を書くという3点が重要であり(刑訴法では、伝聞・非伝聞で結論を誤らない、推認過程でおかしなこと書かないことも大事です)、④論証の理由付け、⑤当てはめのボリューム、正確性では合否は決まらないと思います。

もちろん、「刑事訴訟法320条1 項が、「公判期日における供述に代えて書面を証拠とし、又は公判期日外における他の者の供述を内容とする供述を証拠とすることはできない」と規定する理由(伝聞証拠排斥の理由)について論じなさい。(行数=最大15行以内)」といった1行問題など、例外もありますが、伝聞法則の趣旨は超基本事項ですし、仮にマイナーな事柄に関する一行問題が出題されてもそこで合否は付きません。

それから、学説対立については、本権説など、自説(占有説)を勉強するうえで必要なものとして自然と勉強することになるものさえ押さえておけば足ります。そして、反対説については、理由付けではなく、規範と結論を優先的におさえましょう。大事なことは、学説対立が顕在化する典型事例と、当該事例に自説と反対説を適用するとそれぞれどういった帰結になるのかという点をおさえることです。

基礎問の参考答案であれば、事例ごとの答案の流れ(条文選択、論点選択、論点の組み合わせ)、定義・要件・規範レベルのことを7~8割程度おさえてば、問題なく慶應LAWの入試を突破できると思います。

参考にして頂けたらと思います。

2023年04月20日
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講師紹介

加藤 喬 (かとう たかし)

加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
司法試験・予備試験の予備校講師
6歳~中学3年 器械体操
高校1~3年  新体操(長崎インターハイ・個人総合5位)
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
労働法1位・総合39位で司法試験合格(平成26年・受験3回目)
合格後、辰已法律研究所で講師としてデビューし、司法修習後は、オンライン予備校で基本7科目・労働法のインプット講座・過去問講座を担当
2021年5月、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立

執筆
・「受験新報2019年10月号 特集1 合格
 答案を書くための 行政法集中演習」
 (法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
 憲法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成30年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成29年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成23~
 25年」行政法(法学書院)

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