加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

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問題文の事実をそのまま答案に反映するべきか

お世話になります。
私は現在、加藤ゼミナールで総まくり講座、基礎演習講座、過去問講座を8科目全て受講させていただいております。
基礎演習講座を受講していて、疑問に思ったのですが、当てはめ科目では問題文の引用が非常に多くなることがあり、フルでそのまま答案に書き写したら、時間切れになるリスクがあると思いました。
出来る限り、問題文をそのまま引用して答案に書くのがベストだと思います。
しかし、途中答案防止の妥協策として、問題文の事実をある程度デフォルメ(要約の意味です)して、少し抽象的な表現で短文化するのは方策として正しいでしょうか。
加藤先生の憲法の講座で、規範を少しデフォルメするということからヒントを得ております。
実際、初見の問題で分析に時間がかかることも容易に想定されるので、この手のスキルが必至だと思っています。
よろしくお願いいたします。

当てはめでは、問題文の事実を答案に摘示し、それに対する評価を書くことになります。このように、当てはめは、問題文の事実の「摘示」とそれに対する「評価」から構成されています。したがって、事実を摘示するだけでは足りませんし、事実の摘示を飛ばしていきなり評価から書くこともできません。特に、司法試験の刑事系では、設問で「具体的事実を摘示しつつ論じなさい。」というように、事実の摘示について明確な指示があることが多いです。

もっとも、問題文の事実を一言一句そのまま答案に反映しなければ事実を「摘示」したと評価されないというわけではありません。必要に応じて、(大幅に)意味が変わらない範囲で要約して答案に反映しても構いませんし、問題文の事実が多い司法試験ではむしろそうせざるを得ません。

私は、事実の「摘示」の方法については、司法試験と予備試験とで違いがあると考えています。予備試験の問題では、比較的短い事例である上に、問題文における事実に関する記載が評価まで内包しているに等しいこともあります。したがって、予備試験では、基本的に、問題文をそのまま答案に反映した方が良いです。これに対し、司法試験では、問題文の事実が多いので、(大幅に)意味が変わらない範囲で要約して答案に反映するべきであり、そのようなスキルを身に付ける必要もあります。

ただし、これは予備試験と予備試験に共通することですが、当てはめにおいて決定的に重要な事実や、刑法において「 」で書かれている行為者の主観面に関する事情については、そのまま答案に反映するべきです。

基礎問題演習テキストは、司法試験ほど問題文の事実が多いわけではありませんから、10~20行くらいの短文事例であれば、問題文の事実をそのまま答案に反映することのほうが多いと思います。

私の参考答案も見ながら、要約するべき場面の見極め方と適切な要約の仕方を学んで頂きたいと思います。

2023年02月09日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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