質問コーナー「 論文全般 」
61件の質問

刑法の偽装心中の答案例について サンプルには、いきなり反対説として「法益関係的錯誤説」の紹介がなされています。 しかし受験指導の中には、例えば、「たしかに、動機に錯誤はあったものの、自己の死そのものには誤認がなく、刑法上有効な承諾はあったとして、殺人罪ではなく、自殺関与罪が成立するようにも思える。しかし、202条が199条より軽く処罰される趣旨は、自殺の決意が真意に沿うものであることにより、法益保護の要請が低下し、違法性が減少するからである。とすると、動機に錯誤がある場合、自殺への決意は真意に沿わない重大な瑕疵ある意思によるものであり、この場合は法益保護の要請は低下していない。よって自殺関与罪ではなく、殺人罪が成立する。」というように、まずは形式論や原則論を貫き、その上で趣旨から記載するという指導があります。(私のこの論証は、調べて書いたわけではなく、あくまでイメージをお伝えするものですので、不正確かもしれませんが、そこに質問の真意がるわけではありませんのでご容赦下さい)。 加藤先生の他のサンプルを拝見する限り、全体として、趣旨からの論証という感じではないように思います。 たしかに、いちいち趣旨からの論証を作成していては、時間もかかりますし、論証自体も長くなってしまいます。今の司法試験は、論証自体の巧拙にあまり点が振られておらず、事案分析がその何倍も重要と考えると、私のようにいちいち気にするのはナンセンスで古い気もします。さらに、趣旨からの論証は学説を無視する面もあり、好ましくない気もします。 趣旨からの論証というのは、誰も事前準備していない論点に現場で対応するための手段かもしれません。 論証に対する加藤先生のご意見を伺いたいです。

総まくり講座のサンプルテキスト・論証集を参考にして頂きありがとうございます。 まず、趣旨→規範という論証形式についてですが、条文や制度の趣旨は解釈論における理由付けの1つにすぎませんから、現場思考問題を除き、そこまで「趣旨→規範」という形式にこだわる必要はないと思います。例えば、刑法242条における「他人が占有」の意味のように、242条の趣旨の捉え方(本権説VS占有説)が「他人が占有」の解釈に直結する場面であれば条文の趣旨に言及することは必須ですが、条文の趣旨から解釈を導くことはできない場面も多々あり、場合によっては「趣旨→規範」という論証が論理として繋がっていないこともあります。私の論証は、 […]

2021年06月01日

今年の司法試験、お疲れ様でした。また、総まくり講座2021を受講して頂きありがとうございます。 答案の書き方については、総まくりで抽象的に学んだことを、司法試験過去問を通じて、徐々に具体化していくとともに、その精度を高めていくことになります。特に、総まくりテキスト(又は論証集)及び司法試験過去問講座の模範答案とご自身の手書き答案を比較して、「今回は、総まくりで学んだ書き方のうち、ここまでは実践できているが、それ以降のことは実践できていない」というように、自分で添削できるようになることが理想的です。これができるようになると、答案の書き方のレベルが一気に伸びます。正しい視点に従って自己添削をするこ […]

2021年05月24日
論証の納得と妥協について、質問がございます。 私は、旧司法試験時代、択一は毎年受かるものの、論文に落ち続けましたが、最近、法科大学院に既修で入学し、十数年ぶりに司法試験の勉強を再開しました。 旧司法試験時代を振り返ると、予備校の論証例に納得がいかないと多数の基本書や判例集を調べ、徹底的に修正を試みました。しかし、結局は時間が足りなくなり、また覚える時間の確保もできず、本試験を迎えていたように思います。多数の本を調べても結局解決できなかったことも多数ありました。 ところで加藤先生のブログや他の講師や合格者ご発言からは、論証(特に理由付け)の良し悪しは合否にさほど関係ないように思います。ただ、他人の作成した論証は、自分が理解、納得できないとなかなか覚えられないのも事実です。 今後、加藤先生の講座を受講予定ですが、論証例などで自分が納得いかない、理解できないものについては、他の書籍等で修正を試みることはやめて、信頼してそのまま覚えようと思いますが、このような態度でもよろしいものでしょうか。 また、自分が理解できない箇所をメール等で質問できる制度でしょうか?(今考えているのは、1冊だけ調べて、分からなければメール等で質問しそれでも解決できなければ深追いせずにそのまま暗記する感じでいこうと考えています)

第1に、「旧司法試験時代を振り返ると、予備校の論証例に納得がいかないと多数の基本書や判例集を調べ、徹底的に修正を試みました。」というところまでが、法科大学院在学中の私と酷似しています。おそらく、変に完璧主義なところがあるのだと思います。私も、法科大学院合格後から司法試験初受験までの2年半、伊藤塾教材だけで作成した論証を捨てて、1000個以上ある論点について、自分が納得できる完成度の論証を作るために、基本書・判例集・調査官解説を読み漁るとともに、ひたすら論証ノートを作るという作業に明け暮れていました。 私は自分が書いた文章ならすぐにほぼ完璧に記憶することができるタイプだったので、記憶が間に合わな […]

2021年05月23日

司法試験対策講座の受講を検討して頂き誠にありがとうございます。 司法試験対策を明確に意識した勉強は、なるべく早い段階でスタートした方がいいです。司法試験全体と各科目とで何が重視されているのか明確に認識できているかにより、普段の勉強の質が大きく変わってくるからです。そのため、今期から、試験傾向が色濃く反映されている総まくり講座と司法試験過去問講座を受講することにより、司法試験対策として効果的な学習をスタートして頂くことをお薦めいたします。 また、総まくり講座と司法試験過去問講座はボリュームがあるため、講座内容をしっかりと理解記憶するためには相当な期間を要しますから、この意味でもなるべく早く受講し […]

2021年05月18日

令和3年予備試験短答式、お疲れ様でした。 憲法は、第1部の答案作成上の作法を徹底的にやり込みましょう。その上で、これまでの出題実績からすると、プライバシー権、平等権、職業の自由及び生存権に重点を置いて復習をしておきましょう。統治については、団体の内部問題に対する司法審査の可否・限界に関する新しい判例理論も確認しておきましょう。 行政法は、行政裁量の出題パターンごとの処理手順、原告適格、取消訴訟以外の抗告訴訟と公法上の確認訴訟に関する訴訟要件・本案勝訴要件、国家賠償法2条あたりです。 民法は、出題範囲が広いので、あまりヤマを張らず、浅く広い勉強により「そこそこの水準で対応できる幅」を広げましょう […]

2021年05月18日

当てはめにおける事実評価ができるようになるためには、①事実から評価をイメージするために必要とされるイメージ力、イメージを答案に反映するために必要とされる文章力、及び②当てはめで使う法規範の正しい意味に関する知識が必要です。 ①は、基礎学力的なものであり、答案練習を繰り返したり、良質な答案に目を通すことにより、イメージ力を高めるとともに、文章表現に慣れることになります。複数の事実をグルーピングして事実群に対する評価をするということも、①に属する能力です。 ②当てはめで使う法規範は、物理数学における公式です。公式の意味を深く正しく理解しているからこそ、公式を正しく分かりやすく適用することができます […]

2021年05月11日

まず、これから、法科大学院の授業で勉強したことのうち司法試験論文対策として有効であると思われることや、司法試験過去問や市販演習書を使った演習から得たことを一元化教材に集約するためにも、一元化教材は必要です。網羅性という点では、辰已法律研究所の趣旨規範ハンドブックでも構わないと思います。あとは、法科大学院の授業や演習を通じて、趣旨規範ハンドブックのうち司法試験対策として記述が浅い・足りない部分に知識等を補充することにより、趣旨規範ハンドブックを司法試験対策用の教材としてカスタマイズしていきましょう。 次に、インプットの方法には、①一元化教材を何度も読み込む方法と、②演習の過程で出てきた分野論点の […]

2021年05月11日

予備校の入門講座を利用していなくても、各科目について、薄めの基本書で全体像を把握するとともに、短文事例問題を通じて基礎的な演習をある程度を経験することにより、秒速シリーズを受講するための基礎固めを終えることは可能です。 基本書としては、下記のものをお薦めいたします。因みに、あくまでも全体像を把握すれば足り、難しいことや深いことについては、全て、秒速シリーズで学習すれば足りますから、基本書を読んでいて分からないことがあっても立ち止まらないようにしましょう。 木下智史・伊藤建「基本憲法Ⅰ」(人権)/芦部信喜「憲法」(統治) 憲法に限り、1分冊となります。 中原茂樹「基本行政法」 潮見佳男「民法(全 […]

2021年05月10日

民法については、沖野ほか「民法演習サブノート210」がお薦めです。民法の演習書では、網羅性を重視するべきです。なお、ロープラクティス民法だと、情報量が多するぎるため、回しきれないと思います。 憲法については、司法試験過去問と予備試験過去問(人権からの出題に限る)をやっておけば十分です。この2つだけでもかなりの量になります。憲法では、とにかく、過去問を通じて問題文の読み方と答案の書き方をマスターすることが大事ですから、演習書をやる余裕があるのであれば、その時間を過去問を繰り返すことに回しましょう。憲法の場合、演習書をやっても、たいした学習効果を得ることはできないと思います。 参考にして頂けますと […]

2021年05月07日

憲法は、平成30年から令和2年です。「保障→制約→人権の性質と規制の態様等を考慮して違憲審査基準を定立→当てはめ(目的手段審査)」という違憲審査の基本的な枠組みの使い方、問題文のヒントに従って何についてどう論じるべきかを判断する姿勢と読解のコツを習得する上で非常に有益です。 行政法は、出題頻度の高い行政裁量、処分性及び原告適格が出題されている問題のうち、平成21年、平成24年、平成26年、平成27年、平成29年及び平成30年あたりです。 民法は、平成23年、平成25年、平成27年、平成28年及び平成30年です。 商法は、平成20年、平成26年、平成28年及び平成30年です。 民事訴訟法は、平成 […]

2021年05月03日

中間審査の基準における「手段の実質的関連性」は、主として、①手段の適合性、②手段の必要性からなります。学説によっては、①②に加えて③手段相当性(狭義の比例性)を要求する見解もあります。 ①手段適合性は「当該規制手段が立法目的を促進すること(役に立つこと)」、②手段必要性は「より制限的でない他の選びる手段によって立法目的を十分に達成することができないこと」、③手段相当性は「規制により得られる利益と失われる利益との均衡が保たれていること」又は「規制に重大な副作用が伴わないこと」を意味します。 これらのうち①については、こちらのQ&Aが参考になると思います。 それ以外のことにつきましては、秒 […]

2021年04月15日

アウトプット型の勉強をするタイプで、3日間で1年分ペースで過去問を起案している場合、何回も起案したことのある問題を起案することになるため、初見の問題よりも完成度の高い答案を書くことになりますし、答案作成過程における悩み・迷いといった負担も少ないと思います。そのため、過去問で書いている答案と初見問題で書ける答案との間にどれだけのギャップがあるのかが分からず、その結果、初見問題で書ける答案と初見問題における合格答案との距離も分からなくなり、自分の実力と合格レベルとの距離を埋めるためにどういった勉強をすればいいのかもイメージできない、という状態に陥りがちです。 上記の状態は、精神的に落ち着かないと思 […]

2021年04月15日

学習の進捗としては、①A・Bランクの司法試験過去問については、少なくとも一度は解き、秒速・過去問攻略講座で解説も受講している、②秒速・総まくりの受講も終えている、③Cランクの司法試験過去問は一度も解いていない、という状態だと思います。 優先順位が高いのは、①及び②です。仮に③から出題された場合、③までやっている人との間で差がつきますが、(ⅰ)③について再度の出題に備えているというレベルで分析できている受験生はごく僅かですから、仮に③から出題されても大部分の受験生との間では差は尽きません。また、(ⅱ)秒速・総まくりでは、現場思考論点を除き、Cランクの司法試験過去問で出題された条文及び論点も網羅し […]

2021年04月15日

テキストを周回してインプットをする際には、ランク付け及びマーク指示の有無等により重要度を見極め、重要度の高いところ(例えば、Aランクかつブルーのマーク指示あり)は脳内で暗唱できるようになるまで何度も読み込む一方で、重要度の低いところ(例えば、Bランク以下で、マーク指示もアンダーライン指示もないところ)は軽く一読だけしておく(試験1週間前は読み飛ばしてもいい)というように、重要度に応じて読み方に濃淡をつけます。 総まくりテキストや労働法速修テキストでは、脳内で暗唱できるようになるまで何度も読み込むべきことについては、太マークの指示をしています。 本試験まで1カ月しかないことを踏まえると、太マーク […]

2021年04月15日

インプットとアウトプットの適切な比率は、科目と受験生によって異なると思います。 例えば、憲法、行政法及び刑事訴訟法のように、出題範囲が狭い上に本試験でレベルの問題の演習をしなければ問題文の読み方や科目・分野ごとの書き方を身に付けることが困難である科目については、インプットよりもアウトプットを重視した勉強することになります。これに対し、民事系3科目及び刑法については、記憶するべき条文・論証・処理手順が多いため、インプット重視の勉強になるはずです。 また、アウトプット経由でインプットをするタイプの受験生であれば、自ずと、インプットのためにもアウトプット重視の勉強をすることになるはずです。これに対し […]

2021年04月11日

秒速・過去問攻略講座の受講を検討して頂きありがとうございます。 司法試験対策としてのお薦めの市販演習書は以下の通りです。 憲法は、お薦めできる問題集がありませんので、「旧司法試験過去問」です。 行政法は、曽和・野呂・北村「事例研究行政法」です。もっとも、司法試験過去問で出題範囲の大部分を網羅することができるため、司法試験過去問の穴を無くすために必要な範囲でやれば足ります。司法試験過去問で出題されていない問題に重点を置いてやるべく問題を選別しましょう。 民法は、沖野ほか「民法演習サブノート210」です。潮見・水野ほか「ロープラクティス民法Ⅰ~Ⅲ」は量が多すぎるために回し切れない、松久・藤原「事例 […]

2021年04月10日

論文対策としてのヤマを張った勉強の適否及び方法は、科目によって若干異なります。 出題範囲が狭い憲法・行政法・民事訴訟法・刑事訴訟法については、①司法試験過去問で出題された分野・論点及び②過去問で出題されていない分野・論点のうち今年出題される可能性が高いものについてヤマを張った勉強をする一方で、③上記①②以外から出題された場合に全く対応できない事態になることを避けるために一度か二度はざっと目を通しておくべきです。③までやっておかないと、上記①・②以外から出題された場合に、論証を書けないどころか、そもそも何が問われているのかすら分からないことになりかねないからです。 出題範囲が広い民法・商法・刑法 […]

2021年04月03日

基本7科目及び労働法について、私のインプット講座とアウトプット講座で学習して頂き誠にありがとうございます。 論点にもよりますが、基本的には、令和2年予備試験で出題された論点が令和3年司法試験で出題される可能性は低いです。例えば、一事不再理効の客観的範囲については、これを令和3年司法試験で出題すると、令和2年予備試験受験生に非常に有利になるため、出題されないと思います。もっとも、直接利益相反取引、詐害行為取消権、債権者代位権、既判力といった分野単位では、令和2年予備試験で出題されたものが令和3年司法試験で出題される可能性が下がるとはいえないと思います。 労働法だと、同じ分野から2年連続で出題され […]

2021年03月21日

ご質問中の記事は、「全国模試に向けて自分の合格答案像を完成させる」という記事のことだと思います。参考にして頂きありがとうございます。 全国模試の問題の復習には、①理想の合格答案像との距離を確認し、それを埋めるための勉強をすることと、②全国模試の問題からの類題に備えるための復習(模試の問題自体の復習)の2つがあります。 ②については、科目や論点によって異なると思います。 憲法では、論点単位での類題に備える復習をする必要性は低いです。問題文の読み方と違憲審査の基本的な枠組みの使い方で大差がつくからです。ただし、財産権、平等権(法令違憲型)など、過去問で正面から問われていない人権については、類題に備 […]

2021年03月17日

まず、法科大学院の予習・復習を予備校テキストを使ってやることについては、私は賛成です。予備校テキストをベースにしながらやると、どこまで試験的に必要で、どこからが試験的に不要なのかを判断しやすいからです。ただし、予備校テキストだけで完結させるのは難しいと思いますので、予備校テキストをベースにしながら、必要に応じて、基本書をはじめとする文献も参照することになると思います。 次に、予習・復習で使用する予備校テキストについてですが、予備校の入門講座のテキストではさすがに対応できないですし、司法試験対策としてもあまり役に立たないと思います。入門講座のテキストは、あくまでも、法科大学院の予習・復習や司法試 […]

2021年03月16日
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講師紹介

加藤 喬 (かとう たかし)

加藤ゼミナール代表取締役
司法試験・予備試験の予備校講師
6歳~中学3年 器械体操
高校1~3年  新体操(長崎インターハイ・個人総合5位)
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
労働法1位・総合39位で司法試験合格(平成26年・受験3回目)
合格後、辰已法律研究所で講師としてデビューし、司法修習後は、オンライン予備校で基本7科目・労働法のインプット講座・過去問講座を担当
2021年5月、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立

執筆
・「受験新報2019年10月号 特集1 合格
 答案を書くための 行政法集中演習」
 (法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
 憲法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成30年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成29年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成23~
 25年」行政法(法学書院)

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