質問コーナー「 民法 」
26件の質問

令和3年司法試験の受験、本当にお疲れ様でした。 民法のC評価の答案はイメージは、以下の通りです。 設問1の請求1で、即時取得と193条に言及している、占有改定と指図による占有移転を区別できていなくても構わないから「占有を始めた」について現実的支配の移転がないことに着目して論じている。 →即時取得については、所有権喪失の抗弁としてではなく、占有権原の抗弁として論じても、合否には影響しないと思います。それくらい、理論構成が難しいです。 設問1の請求2で、不当利得の一般規定(703条・704条)で処理することは、大した問題ではありません。189条1項・190条1項が「果実」と区別される使用利益にも類 […]

2021年05月25日

415条2項は、「前項の規定により損害賠償の請求をすることができる場合において」との文言からも分かる通り、債務の履行に代わる損害賠償請求について、415条1項の要件(債務不履行、損害、因果関係、免責事由の不存在)に加えて415条2項各号いずれかへの該当性も要求することにより、要件を加重しています。 追完に代わる損害賠償請求について415条2項を適用又は類推適用することの可否は、追完に代わる損害賠償請求でも415条2項により要件が加重されるのかという論点です。 したがって、否定説からは、追完に代わる損害賠償請求については、415条1項の要件の充足性だけを検討することになります。他に検討するべき条 […]

2021年05月21日

民法については、沖野ほか「民法演習サブノート210」がお薦めです。民法の演習書では、網羅性を重視するべきです。なお、ロープラクティス民法だと、情報量が多するぎるため、回しきれないと思います。 憲法については、司法試験過去問と予備試験過去問(人権からの出題に限る)をやっておけば十分です。この2つだけでもかなりの量になります。憲法では、とにかく、過去問を通じて問題文の読み方と答案の書き方をマスターすることが大事ですから、演習書をやる余裕があるのであれば、その時間を過去問を繰り返すことに回しましょう。憲法の場合、演習書をやっても、たいした学習効果を得ることはできないと思います。 参考にして頂けますと […]

2021年05月07日

まず、第一譲受人が第二譲渡を詐害行為として取り消そうとするのは、第二譲受人が所有権移転登記を具備している場合です。仮に登記名義が売主(債務者)のままであるのであれば、第一譲受人は対抗関係において負けていないわけですから、第二譲渡を詐害行為として取り消そうとはしません。登記名義が売主(債務者)のままである場合、第一譲受人としては、不動産の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の申立てをした上で、売主を被告として所有権移転登記手続請求訴訟を提起することになります。 次に、論証4の通り、第一譲渡人は、自己に所有権があることを前提として、第二譲受人に対して、自己への所有権移転登記を求めることはでき […]

2021年05月07日

まず、債務者の履行の提供により債権者が同時履行の抗弁権を失うことは、受領遅滞の固有の効果ではありません。総まくりテキストでは、受領遅滞の固有の効果の4つ目である「④債務者の債権者に対する損害賠償請求権・解除権」において、債務不履行責任説と法定責任説の対立を取り上げています。これは、債務不履行責任説に立った場合には、受領遅滞の固有の効果の4つ目として、債務者の債権者に対する受領遅滞を理由とする損害賠償請求・契約解除が認められる一方で、法定責任説からは受領遅滞そのものを理由とする損害賠償請求・契約解除が認められず、ただ債務者の履行の提供により債権者が同時履行の抗弁を失ってい反対債務について履行遅滞 […]

2021年05月03日

平成27年司法試験民法設問1(2)では、以下の事案で、AがDに対して、Cが乙建物(D所有)のリフォーム工事に材木②を使用したことにより付合(242条本文)を原因として材木②の所有権を失ったとして、248条に基づく償金請求をしています。 AがBに対して丸太20本を売却(主有権留保特約付き) Bが丸太20本を製材した上でCに売却 CがDとの請負契約に基づきBから買い受けた材木②(丸太を製材したもの)を用いて乙建物(D所有)の柱に変えるなどして乙建物のリフォーム工事を完成させた BがAB売買における代金支払時を経過しているにもかかわらず売買代金を支払っていない AのDに対する償金請求は、材木②が乙建 […]

2021年03月31日

民法は、公法系・刑事系と異なり、出題範囲に偏りがないため、B・Cランクを含む幅広い分野から出題されます。なので、少なくとも、Bランク分野までは復習しましょう。Bランク分野についてまでは、何も分からないという分野を極力少なくしておく必要があります。 その上で、ランクの違いに応じて、復習に濃淡をつけます。例えば、Aランク分野における論点については、「論証部分のキーワード1個+規範(又は解釈の結論)」まで記憶する一方で、Bランク分野における論点については、論証まで記憶する必要はないが「判例又は通説がだいたいどういった立場であるのか(だいたいの規範、又は解釈の結論)」くらいは想起できるようにしておきま […]

2021年03月21日

私も、目的物の滅失を理由とする代金支払いの拒絶については、567条1項2項にはほとんど存在意義がなく、536条1項2項と413条の2第2項(受領遅滞中の滅失)が適用されると理解しています。 例えば、潮見ほか「Before/After民法改正」154~155頁では、特定物売買の目的物が滅失した事案における代金支払いの拒絶について、536条により説明しています(抗弁:536条1項、再抗弁:536条2項という構成です。)。 ほかの改正法対応済みの基本書・解説書でも、567条について、代金支払い拒絶の効果を定めたものとして説明したものは見当たりません。おそらく、567条に固有の意味は、前段で履行の追完 […]

2021年03月20日

ご指摘の通り、動産の使用利益について189条1項・190条を類推適用する判例の立場からは、使用利益の返還の要否・範囲に関する結論を導く上で、703条・704条に従った検討をすることは不要です。それにもかかわらず、私の答案で189条1項・190条の検討に先立ち、703条・704条を適用した場合における使用利益の返還・要否についても言及しているのは、いきなり189条1項・190条から書くと1頁くらいしか書けないからです。 もっとも、上記の通り、使用利益の返還の要否・範囲に関する結論を導く上で703条・704条に従った検討をすることは不要ですし、189条1項・190条でも所有権留保特約の性質を論じる […]

2021年02月26日

確かに、法定代理権者による代理行為の場合であっても、有権代理の要件として、顕名が必要とされます。そして、判例は、民法761条について、日常家事に関する法律行為についての夫婦相互の法定代理権を定めたものであると解しています(最判S44.12.18・百Ⅲ9)。そうすると、日常家事に関する法律行為についての夫婦の連帯責任が生じるための要件として、有権代理の要件である顕名が必要とされるとも思えます。 しかし、民法761条は、夫婦が自己又は配偶者のいずれの名義で法律行為をしたかどうかにかかわらず、日常家事に関する法律行為について夫婦の連帯責任が生じることを定めた規定です(前田ほか「リーガルクエスト民法Ⅵ […]

2021年02月20日

例えば、Aを買主・Bを売主とする売買契約の締結後、Aから売買目的物を譲り受けたCがBに対して売買目的物について物権的返還請求権を行使した場合(請求原因事実は、Bもと所有、AB売買、AC間売買、B現在占有)には、AB間の売買契約の成立時点においてBのAに対する売買代金債権を被担保債権とする留置権が成立し(被担保債権である売買代金債権の成立時点において、売買代金債権の債務者と売買目的物の引渡請求権者はいずれもAであり、牽連関係も満たす)、Bは、その後に売買目的物を譲り受けたCに対して、物権の絶対性(物権である留置権は、その成立後に当該物を譲り受けた第三者に対しても対抗できる)を根拠として留置権を対 […]

2021年01月31日

改正前民法下では、種類物債権の特定には対価危険の移転(債務者⇒債権者)という強力な効果が伴う(改正前民法534条1項・2項)ことに着目し、取立債務における特定の要件を厳格に考えるべきであるとの理由から、準備・通知に加えて分離まで要求されていました。口頭の提供の効果よりも取立債務の特定の効果のほうが強力であることに着目して、取立債務の特定の要件を口頭の提供の要件よりも厳格に理解していたわけです。 しかし、改正民法下では、給付危険と対価危険の双方が種類物の特定から切り離されており、特定された目的物の引渡しに結び付けられていますから、取立債務の特定の要件に関する理解が変更されることになります。 質問 […]

2021年01月10日

学者の先生方が著者である市販演習書のほとんどが、答案例のないものです。なので、答案例付きの市販演習書としては、予備試験本を使うことになります。 予備校の演習書のうち、内容の正確性及び文章表現の正確性といった点も含めて優れているのが、伊藤塾の「民法(新伊藤塾試験対策問題集‐論文)」です。 伊藤塾の「民法(新伊藤塾試験対策問題集‐論文)」を使って頂くことをお薦めいたします。

2021年01月09日

要件事実問のうち、ある事実の「法律上の意義」を問う問題では、究極的には訴訟上の意義(要件事実)が問われているが、その前提として実体法上の意義まで問われていることもあります(平成24年司法試験・出題趣旨参照)。また、契約解釈の問題では、合意の意味の確定⇒契約の補充(補充的解約解釈⇒一般的補充)という手順に従う必要があります。 このように、民法においても、出題や分野に固有の書き方というものがありますから、試験傾向を意識したインプット講座や司法試験過去問の演習・分析を通じて、こうした書き方を身につける必要があります。

2021年01月04日

本問では、詐欺取消しの要件を満たすことが明らかですから、同じ法律効果を導く錯誤取消しまで論じる実益は無いと判断しました。 詐欺事案で詐欺取消しに加えて錯誤取消しまで検討する実益があるのは、欺罔行為や二段の故意の認定が微妙な事案に限られると思います。 なお、本問では、錯誤の重要性(95条1項柱書)が認められる一方で、表意者Aの重過失(95条3項柱書)が認められるため、錯誤取消しが認められないようにも思えますが、欺罔者Eが悪意(95条3項1号前段)であるため、錯誤取消しも認められます。

2020年12月17日

「抵当権に基づく物上代位と債権譲渡の優劣」の論点については、①抵当権に基づく物上代位権行使の前提要件である「払渡し又は引渡し前」の「差押え」(372条1項・304条1項但書)と、②前提要件①をクリアした場合に問題となる物上代位権と債権譲渡の優劣の判断基準という2つの次元に分けて理解する必要があります。 最二小判平成10・1・30・百Ⅰ88は、抵当権に基づく物上代位権行使の前提要件である「払渡し又は引渡し前」の「差押え」の趣旨について「二重弁済を強いられる危険から第三債務者を保護する」ことにあると理解することにより、「払渡し又は引渡し」には債権譲渡やこれについての第三者対抗要件具備は含まれず、債 […]

2020年10月05日

178条は、公示の原則を定めた規定です。公示の原則は、有るものを有るものとして扱ってもらえるかの問題です。つまり、実際に存在する権利変動(等)を、第三者との関係でも存在するものとして扱ってもらうためには、公示する必要があるかという問題です。したがって、公示の要否・有無を問題にする前提として、権利変動(等)の存在が必要です。仮に、公示の有無・要否を問題とするべき権利変動(等)が存在しないのであれば、「引渡し」による公示の有無・要否に関する178条は問題になりません。 上記事例では、BC間の売買契約に先立ちAが引渡しによる対抗要件を具備したことにより、BC間の売買契約の時点では既にBは無権利者にな […]

2020年09月29日

潮見佳男「民法(全)」第版483頁及び潮見佳男「基本講義  債権各論Ⅰ 」第3版321頁では、潮見佳男教授の見解として、民法が費用利得・求償利得・給付利得に対応する各規定を設けている(費用利得:595条・608条・650条等、求償利得:459条・702条等、給付利得:121条の2・545条等)ことを根拠として、「703条・704条の規定は、もっぱら、侵害利得の類型について妥当する。-給付利得・費用利得・求償利得には適用されない。-とみるのが適切である。あわせて、民法典が採用している不当利得の体系は、もはや(債権法改正後においては)衡平説では説明が付かないものとなっている。」と書かれています。 […]

2020年09月08日
特定物引渡債務の債務者が履行を提供しても債権者が明確に受領を拒絶しているような場合、「債務の履行が・・社会通念に照らして不能」(412条の2)ということで、履行不能といえるのでしょうか。「Law practice 民法II」 第4版の解説では、それを前提にしている(そのような問題に536条2項を適用しているため)と感じましたが、一方で、種類債権は当該種類物が生産停止になったり在庫がすべて滅失したりしない限り履行不能に陥ることは観念できないはずだという認識でしたので、そこに疑問を感じました。例えば、潮見先生の『プラクティス民法 債権総論」第5版〕』24頁も、制限種類債権との比較において、「通常の種類債権では種類に属する物すべてがなくなるということは、めったに起こらないから、履行不能が生じる場合はきわめてまれであるとされる。」と説明しています。また、それが履行不能だとすると、「415条2項や542条1項が、「履行不能」と「明確な受領拒絶」を区別して規定していることはどう説明すればよいのか。わざわざ「明確な受領拒絶」を「履行不能」とは別の要素として想定しているからには、「明確な受領拒絶があっても一概に履行不能とはいえない」ということになるのでは、と考えました。文献等を参照してもよく分からず、加藤先生にご回答頂ければ幸いです。

まず、明確な受領拒絶は、社会通念上の履行「不能」には該当しないと思います。潮見佳男ほか「詳解改正民法」初版124頁では、社会通念上の不能の例として、債務の履行のために必要な費用とそれによって実現される債権者の利益との間に著しい不均衡がある場合(事実的不能)と債務の履行が法的に禁止される場合(法律的禁止)が挙げられている一方で、明確な受領拒絶又はこれに準じる事態は挙げられておりません。また、ご指摘の通り、415条2項や542条1項が不能と履行拒絶を区別して規定していることとも整合しません。 次に、売主が履行の提供をしているが買主が明確に受領を拒絶しているという事案では、受領遅滞の法的性質に関する […]

2020年09月08日

最二小判平成10・4・24は、「契約に基づく債務について不履行があったことによる損害賠償請求権は、本来の履行請求権の拡張ないし内容の変更であって、本来の履行請求権と法的に同一性を有すると見ることができるから、債務者の責めに帰すべき債務の履行不能によって生ずる損害賠償請求権の消滅時効は、本来の債務の履行を請求し得る時からその進行を開始するものと解するのが相当である」として、履行不能による損害賠償請求権の消滅時効の起算点について、履行不能による損害賠償請求権は本来の履行請求権が同一性を維持しつつ姿を変えたものにすぎないとの理由から、本来の債務の履行を請求し得る時であると解していました(山本敬三「民 […]

2020年09月08日
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講師紹介

加藤 喬 (かとう たかし)

加藤ゼミナール代表取締役
司法試験・予備試験の予備校講師
6歳~中学3年 器械体操
高校1~3年  新体操(長崎インターハイ・個人総合5位)
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
労働法1位・総合39位で司法試験合格(平成26年・受験3回目)
合格後、辰已法律研究所で講師としてデビューし、司法修習後は、オンライン予備校で基本7科目・労働法のインプット講座・過去問講座を担当
2021年5月、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立

執筆
・「受験新報2019年10月号 特集1 合格
 答案を書くための 行政法集中演習」
 (法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
 憲法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成30年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成29年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成23~
 25年」行政法(法学書院)

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