加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

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令和3年司法試験民法のC評価答案のイメージ

今年の民法の解答速報を拝見させていただきました。
私は、請求1に対する即時取得による所有権喪失の抗弁を落としていたり、請求2を不当利得に基づく返還請求としてしまっていたり、設問3がほとんど書けなかったりボロボロでした。このように基礎知識のなさや過去問検討の不十分さを露呈させてしまったので、合格水準にはもちろんほど遠いと思うのですが、なんとか他の科目で挽回できる点数に留まっていてくれないかと淡い期待を抱いています。
加藤先生によると今年の問題はとても難しかったとのことですが、このような難しい問題におけるC評価の答案はどの程度の記載内容なのでしょうか?また、C評価からE評価の差がどのようにつくのかも教えていただけると幸いです。

令和3年司法試験の受験、本当にお疲れ様でした。

民法のC評価の答案はイメージは、以下の通りです。

  • 設問1の請求1で、即時取得と193条に言及している、占有改定と指図による占有移転を区別できていなくても構わないから「占有を始めた」について現実的支配の移転がないことに着目して論じている。
    →即時取得については、所有権喪失の抗弁としてではなく、占有権原の抗弁として論じても、合否には影響しないと思います。それくらい、理論構成が難しいです。
  • 設問1の請求2で、不当利得の一般規定(703条・704条)で処理することは、大した問題ではありません。189条1項・190条1項が「果実」と区別される使用利益にも類推適用されるかどうかは論点ですから、不当利得の一般規定で論じることが間違っているわけではありません。189条1項・190条1項の類推適用に言及することなく不当利得の一般規定で論じた場合、正解筋の1つに従って論じてはいるが、論点を1つ落としているという評価になるだけですから、不当利得の一般規定で論じている部分はその説得力に応じて評価されます。まずいのは、設問の指示を無視して不法行為に基づく損害賠償請求で論じたり、事務管理などあり得ない法律構成で書いている答案です。
  • 設問2で、請負契約か委任契約という区別の視点を示している。その上で、不正確でも構わないから、債務内容を特定している。そして、任意解除権という点に何らかの形で言及している。
  • 設問3(1)で、500万円全額の支払拒絶との関係で、本件債務の消滅時効と保証債務自体の消滅時効のどちらかに言及している。100万円の支払拒絶について、508条と457条3項を使って論じているが、508条に関する論点には言及していない。
  • 設問3(2)で、Aに対する求償の根拠条文として、459条1項(受託保証人)又は462条1項・459条の2第1項(無委託保証人)のどちらかを指摘している。
    →本問では、459条1項でも求償額が変わらないですし、細かい条文操作ですから、459条1項を選択してもC評価には入れると思います。
  • 設問3(2)で、456条1項を指摘することができていないが、442条1項の要件に即して検討している。
  • その際、債務免除
  • の適用により442条ないし444条が準用される。そこで、FはGに対し、456条1項・442条1項に基づき求償権を行使する。


参考にして頂ければと思います。

2021年05月25日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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