リアル解答企画 準備2~5日目(8月11日~14日目)

8月11日:2日目 刑事訴訟法の論文対策

まず初めに、刑事訴訟法論文の勘やイメージを取り戻すために、司法試験過去問の答案にざっと目を通しました。

元々は、過去問答案を確認してから、①総まくりテキストをAランクの分野・論点(直前期補講も含む)に重点を置いて軽く1周し、②最後に刑事訴訟法の司法試験過去問の答案を1通書く予定だったのですが、①・②まで終わらせることができませんでした。

刑事訴訟法では司法試験過去問をやっておけば少なくとも出題範囲の半分をカバーすることができることと、中日(8月21日)に刑事訴訟法論文の総復習をする時間を確保できるので、①は中日にやることにしました。

もっとも、答案の書き方が重視される刑事訴訟法では司法試験過去問を使ったアウトプットをやる必要性が高いので、②については、翌日の午前にやりました。

刑事訴訟法で書く問題としては、平成27年の問題にしました。

出題可能性が高いからというよりも、文章構成力・文章表現力を回復するために効果的な問題であると考えたため、平成27年の過去問を選択しました。

前回の記事でも言及した通り、瞬間的に文章を構成したりコンパクトにまとめる力が衰えており、これらを回復することを最優先に考える必要があるため、答案練習では再度の出題可能性に備えるということはあまり重視しませんでした。

 

8月12日:3日目 刑事訴訟法の答案作成+民法の論文対策

午前中に、平成27年司法試験刑事訴訟法の問題を解きました。

問題文・構成用紙・答案はこちら

制限時間を100分にする予定でしたが、刑法に比べて当てはめについて考える時間が多いため、111分かかりました。

読む 18分
構成 18分
作成 75分
合計 111分

過去問で111分もかかっているため、8月19日からのリアル解答に向けて、もう少し処理速度を高める必要があると思いました。

水準としては、過去問攻略講座の中位答案(300~500位)よりもけっこう丁寧に書いているので、100~200位には入ると思います。

なお、設問2において、本件メモについて2つの推認過程に言及しているのは、平成30年司法試験設問2における領収証のように複数の推認過程について検討させる出題を想定した訓練のためです。


次に、民法論文の勘やイメージを取り戻すために、司法試験過去問の民法の答案にざっと目を通しました。

その後、平成28年司法試験民法の問題を解きました。

問題文・構成用紙・答案はこちら

時間配分は以下の通りです。

読む・構成 42分 設問1・22分/設問2・20分
作成 68分
合計 110分

普段は、問題文を最初から最後まで読んだうえで、設問ごとの答案構成に入るのですが、今回は、設問1(1)(2)について問題文を読む・構成、設問2(1)~(3)について問題文を読む・構成、という流れにしました。

設問1に関する法律関係図を書いている時に、設問1と2では前提となる事実関係がだいぶ異なるため、そのほうが処理しやすいと思ったからです。

ただ、分析済みの過去問だからこそ、設問1の段階で設問2との事実関係の違いまで想して上記のように判断することができただけなので、初見の問題を解くことを想定した答案練習としては不適切な判断の仕方であったと思っています。

設問2の事案まで読まなければ、設問1と設問2とで事実関係がどれだけ違うのかを把握することはできないので、設問2の事実関係にざっと目を通してから、設問1に戻り、設問1(1)(2)から構成を終わらせるという判断をするべきでした。

本試験で初見の問題を解いた場合と異なる思考過程に基づいて答案構成の順序に関する判断をしてしまったという点が、今回の反省点です。

水準としては、これで50位には入ると思います。

あとは、この記事の公開後、総まくり民法のテキストをざっと確認しようと思います。

 

8月13日:4日目 民法の論文対策+商法の論文対策

前日の夜だけでは、総まくり民法のテキストを回すことができなかったため、今日の午前中も総まくり民法のテキストの復習に使いました。


次に、商法の勉強に入り、司法試験過去問の答案にざっと目を通しました。

商法は、司法試験過去問で学んだ知識と方法論が役に立ちやすい科目であるため、時間がない中でも過去問にざっと目を通す機会は設けようと思いました。


その後、総まくり商法テキストのうち、会社法のAランクの論点に絞ってインプットをしました。

会社法では、判例の立場が明確である論点については判例に言及することが求められており、現場思考でのごまかしがきかないため、Aランク論点はちゃんとおさえようと思いました。


最後に、今から、制限時間100分で、平成20年司法試験商法の過去問を解きました。

再度の出題可能性を重視するのであれば、平成21年・22年・23年あたりを優先的に選択するべきだと思うのですが、商法が途中答案になりやすい科目であることを踏まえると、検討事項が多すぎてまとめ切るのが一番難しい平成20年の過去問を解いた方が良いと思いました。

問題文・構成用紙・答案はこちら

時間配分は以下の通りです。

読む 27分
構成 13分
作成 64分
合計 104分

検討事項が多く、制限時間内にまとめ切るのが難しいため、出来るだけ文字を小さく書くことで書く速度を上げました。

1行あたりの文字数は、30~35文字なので、1行25~28文字の過去問攻略講座の答案に比べてだいぶ多いです。

今回の答案は5枚目5行目ですが、1行25~28文字の過去問攻略講座の書式を前提にすると5枚目最終行くらいの分量になると思います。

この文字の形・小ささでも採点してもらえるのかと心配になる方もいらっしゃると思いますが、今回の文字の形・小ささは平成26年労働法の答案(1位)にかなり近いですから、ちゃんと採点してもらえます。

司法試験は、文字の綺麗さや読みやすさを競う試験ではありませんから、何が書かれているのかを判読することができさえすれば、ちゃんと採点されます。

今回、答案作成で重視したのは、一つひとつの検討事項を簡潔にまとめることで、大・中・小に分類される検討事項のうち大・中に属する大きめの検討事項を出来るだけ網羅するということです。

例えば、本問設問2であれば、大:法律構成(債権者代位や対第三者責任)、中:法律構成ごとの論点・要件、小:当てはめにおける事実の摘示・評価、という分類になります。

途中答案対策のためのメリハリ付けには、①検討事項ごとの分量を削る、②検討事項を丸々落とすという2つの方法があります。

②は、①に比べて、必然的に伴う失点が大きい上、重要度の見極めを誤ることで大幅に失点する危険もあります。

しかも、②の訓練だけでは、得点効率を高めるためにも必要な「凝縮して書く技術」(①)がいつまでも向上しないため、根本的な解決になりません。

したがって、①と②の関係は、「原則:①-例外:②」と整理するべきです。

特に、大きめの検討事項(大、中)については、「原則:①-例外:②」という関係を出来るだけ守るべきです。

最後まで書き切る力を身につけるためには、論証を短くする、実益の乏しい問題提起・前置き等を出来るだけ省略する、当てはめを簡潔にまとめるといった技術を高めるための訓練に重点を置くべきです。

今回の答案では、8枚フルに使った模範答案に準ずるくらい大・中の検討事項を網羅しています。

検討事項の網羅性を高めるために、一つひとつの検討事項に関する記述をぎりぎりまでコンパクトにしています。

問題提起や前置きもほとんどありませんが、採点者は事案と正解筋を把握している状態で答案を読むのですから、答案の内容はちゃんと採点者に伝わります。

論点抽出が難しい問題であることを踏まえると、今回の答案で50番以内には入ります。

なお、私は、民事系論文では、必ずと言っていいほど、法律関係図を書きます。

法律関係図を眺めることで、問題文を読んでいるだけでは気が付けなかった問題点に気が付けることが多いからです。

今回の事案では、法律関係図を書かなければ、保証契約の間接取引該当性、AB関与による保証契約についての株主全員の同意、不自然な価格での取引の直接該当性、一人会社・一人株主間における利益相反取引といった論点に気が付くことは難しいと思います。

 

8月14日:5日目 民事訴訟法の論文対策

初めに、民事訴訟法の過去問答案にざっと目を通しました。

民事訴訟法は、司法試験過去問で学んだ知識(角度、深さ、書き方)と方法論(分析手法等)が役に立ちやすい科目であるため、ちゃんと答案に目を通しました。


その後、総まくり民事訴訟法テキストをざっと確認しました。

民事訴訟法ではマイナー分野からも出題される可能性があるため、Aランクの分野論点だけでなく、Bランクの分野論点にもちゃんと目を通しました。

令和1年司法試験設問3において自己利用文書の要件すら挙げることができないというような事態を避けるために、Bランクについても最低限のインプットをしておく必要があると思っています。


最後に、制限時間100分で、平成24年司法試験民事訴訟法の過去問を解きました。

問題文・構成用紙・答案はこちら

令和2年司法試験向けの重要過去問は、平成18年、平成23年、平成24年、及び平成29年あたりだと思います(この4問は加藤ゼミの添削課題でもあります。)。

その中から平成24年を選んだのは、手書きによる文章表現を訓練する上で有益な問題であると考えたからです。

私は読むことでインプットをするタイプなので、答案練習というアウトプットを通じてインプットをするということはあまり考えていません(あくまでも、私に限った話です)。

受験生時代に比べて手書きで答案を作成する力が衰えていることも踏まえると、私の場合は、再度の出題可能性よりも、手書きで答案を作成する力を鍛える上での有用性を基準として問題を選んだ方が良いと思っています。

時間配分は以下の通りです。

読み 17分
構成 19分
作成 64分
合計 100分

1通目(令和1年刑法)・2通目(平成27年刑事訴訟法)に比べて、3通目以降(平成28年民法、平成20年商法、平成24年民事訴訟法)のほうが1行当たりの文字数が多いです。

3通目以降は、1行あたり30~35文字、1枚あたり15分です。

3通目以降の書式のほうが書きやすいので、今後も3通目以降の書式で書こうと思います。

昨日と今日の答案練習で、時間配分も含めて、だいぶ手書きによる答案作成に慣れてきました。

これは大きな収穫です。

答案の質をより一層高めるために、8月18日まで答案練習を継続します。

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講師紹介

加藤 喬 (かとう たかし)

加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
司法試験・予備試験の予備校講師
6歳~中学3年 器械体操
高校1~3年  新体操(長崎インターハイ・個人総合5位)
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
労働法1位・総合39位で司法試験合格(平成26年・受験3回目)
合格後、辰已法律研究所で講師としてデビューし、司法修習後は、オンライン予備校で基本7科目・労働法のインプット講座・過去問講座を担当
2021年5月、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立

執筆
・「受験新報2019年10月号 特集1 合格
 答案を書くための 行政法集中演習」
 (法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
 憲法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
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・「予備試験 論文式 問題と解説 平成23~
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