加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

短文事例問題を各科目50問ほどマスターしても、司法試験合格レベルにはほど遠いのか

旧司法試験過去問、予備試験過去問、市販演習書といった短文事例問題を各科目50問ほどマスターしても、司法試験合格レベルには、ほど遠いのでしょうか。

短文事例問題をやる意味と司法試験過去問をやる意味は異なります。

短文事例問題をやる意味は、司法試験との関係では、①事案と条文・論点の対応関係を確認する、基礎的な読解・思考・構成のコツを掴む等により、司法試験過去問の演習に耐え得るだけの基礎を固める、②司法試験過去問の穴をカバーするという2つです。

司法試験過去問をやる意味は、③出題の傾向・難易及び自分の実力等を確認することを通じて、自分が目指すべき現実的な合格答案像のイメージを掴み、そのために必要な勉強内容を明確にする、④①を基礎力があることを前提として、全科目に共通する読解・思考・書き方と科目・分野単位での読解・思考・書き方をマスターする、長文事例処理に慣れる、応用力を身につける、適切なメリハリ付けをする力を身につける、⑤分野・論点単位での再度の出題可能性に備える(④と部分的に重なる)という3つにあります。

このように、司法試験に合格するためには③・④・⑤までやる必要があるため、短文事例問題演習だけでは足りません。とはいえ、短文事例問題演習には司法試験過去問の演習に入るための基礎力を身につけるという役割(①)があるため、飛ばすことは出来ません。

短文事例問題を各科目50問ほどマスターしても、司法試験合格レベルには”ほど遠い”のかは定かでありませんが、司法試験過去問を使った学習の効果を上げるためには短文事例問題演習で基礎固めをする必要がありますし、短文事例問題演習により基礎固めをしっかりとやっていればその分だけ③~⑤をスムーズに身につけることができます。

例えば、短文事例問題演習によりしっかりと基礎固めをすることができていれば、応用的な側面がさほど強くない上、科目特有の書き方の特徴が強くない民法・商法・刑法あたりでは、司法試験過去問を3~4年分やるだけで合格レベルに到達することが可能です。逆に、基礎固めができていないと、幅広い知識が問われる民法・商法・刑法では、司法試験過去問をどんなにやっても、合格レベルに到達しないと思います。科目特有の書き方の特徴が強い公法系・刑事訴訟法、深い理解と応用が重視される民事訴訟法では、司法試験過去問をできるだけ多くやるべきです。

2020年10月17日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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