加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

論証にマーカー・アンダーラインを引く意味

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久しぶりにブログを更新しました。

今日は、論証にマーカー・アンダーラインを引く意味について、紹介いたします。

総まくり講座2021と労働法速修テキスト講座では、記憶の範囲と優先順位を明確にするために、4色のマーカー・アンダーラインの指示をしています。

もっとも、テキストにマーカー・アンダーラインを引くことには、上記のほかに、論証の構造の理解を促進することにもあります。

私のマーカー・アンダーライン指示における色分けは、以下の通りです(なお、優先度は、マーカー>アンダーラインです)。

ブ  ル  ー:解釈の結論(規範を含む)、原則

ピ  ン  ク:理由付け、趣旨

オレンジ:反対利益、例外
※アンダーラインでは「赤」を意味する</span >

グリーン:テクニカルターム、問題提起(意識)

以下は、会社における「瑕疵ある取締役会決議の効力」に関する論証です。

1段落目は、原則論の部分であり、この原則論を支えている理由付けが「瑕疵ある法律行為は無効であるとする私法の一般原則」です。

そこで、1段落目のうち、理由付けである「私法の一般原則」にはピンクでマーカーを引き、解釈の結論である「瑕疵ある取締役会決議は原則として無効である」にはブルーのアンダーラインを引いています。

解釈の結論である「瑕疵ある取締役会決議は原則として無効である」がブルーのマーカーではなく、アンダーラインにとどまるのは、当該部分が規範ではないため正確に記憶する必要が低いからです。

2段落目は、例外論の部分であり、この例外論を支えている理由付けが「法的安定の要請」という反対利益であり、規範が「当該瑕疵が決議に影響を及ぼさない認めるべき特段の事情」です。

そこで、理由付けである「法的安定の要請」にはオレンジのマーカー、規範である「当該瑕疵が決議に影響を及ぼさない認めるべき特段の事情」にもオレンジのマーカーを引きます。

例外論には、解釈の結論として、上記の規範もあります。この規範は、答案に正確に書けるように記憶する必要が高いですから、原則論における解釈の結論と異なり、アンダーラインではなくマーカーを引きます。

最後に、2段落目における「例外的に決議は有効であると解すべきである」という部分は、規範ではありませんから、原則論における解釈の結論と同様、赤のアンダーラインにとどまります。

上記の説明を読んだうえで、画像中の論証を見てみると、論証の構造が一目瞭然だと思います。

理想的には、自力で論証の構造を読み解いてマーカー・アンダーラインを引けるようになることです。

これができるようになると、論証の理解・記憶が一気に促進されるとともに、現場思考問題で論証を構築しやすくなります。

今後のインプットの際に、参考にして頂きたいと思います。

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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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