令和3年予備試験論文式を受験された方々へ

令和3年予備試験論文式、本当にお疲れ様でした。

7月13日(火)から、論文基本7科目の解答速報がスタートしますので、解答速報も参考にしながらご自身の出来を確認して頂き、来年の本試験に向けた勉強をスタートして頂きたいと思います。

本日発表した通り、加藤ゼミナールでは、皆様の学習支援の一環として、以下の①~③をご用意しております。

①資格スクエアの入門講座受講者様を対象とした司法試験対策講座の無料付与
②令和3年予備試験論文式を受験された方々を対象とした全講座10%OFF
③分割手数料負担なしの銀行振込による分割払い

令和4年司法試験に向けた勉強を開始する方には①や②を、令和4年予備試験に向けた勉強を再開する方には②や③を使って頂けたらと思います。

令和4年司法試験合格を目指す場合

予備試験論文を受験した皆さんが令和4年司法試験合格のためにやることは、主として、以下の3つであると考えます。

勉強計画については、7月から勉強を開始することを前提とした「令和4年司法試験合格に向けた理想的な勉強計画」という記事及び動画を参考にして頂きたいと思います。

(1) 司法試験レベルの問題に対応する知識・方法論・慣れを身に付ける

〇司法試験と予備試験の違い

司法試験と予備試験とでは、分野・論点という出題範囲での共通性が強い一方で、科目ごとに程度差があるものの、問題文の複雑さ・情報量の多さ、出題の形式・角度、点の取り方について、違いがあります。

こうした司法試験の特徴に対応できるようになる必要があります。

司法試験過去問の演習・復習を繰り返すことで、司法試験の問題に対応するための深い知識(書き方を含む)、方法論(現場思考問題の対処法を含む)、慣れを徐々に身につけていきましょう。

そのためには、司法試験全体及び科目ごとの特徴を的確に捉えた分析と、それに従った演習・復習が大事になってきます。

〇インプット講座の要否及び使い方

予備試験短答式に合格し、かつ、論文試験で「合格できているかもしれない」というくらいの手応えを得ることができている方は、知識の量、論点抽出力、構成力といった論文の基礎力があるはずですから、司法試験レベルの問題に入れる状態にあると思われます。

司法試験レベルの問題に対応できるだけの「正しく深い知識」と「書き方」を身に付ける必要があるものの、それは司法試験過去問の演習・復習を通じて身につけることができます。正しく深く理解することができているか、正しい書き方が身に付いているかという次元で差が付きやすいのは、司法試験過去問で出題されたことのある分野・論点(特に、2回以上出題されている分野・論点)ですから、こうした分野・論点についてさえ「正しく深い知識」と「書き方」を身につけておけば、合格水準には到達します。

したがって、予備試験論文受験者にとって、基本7科目のインプット講座は必須ではありません

勿論、1桁~2桁での上位合格を目指すためには、司法試験過去問で出題されていない分野・論点でも平均的受験生に差をつける論述をする必要がありますから、最新の出題傾向と判例学説が反映された総まくり講座2021を受講するなどして、全体的に知識をブラッシュアップすることが望ましいです。

総まくり講座2021を受講する場合、以下の3点に留意しましょう。

•   これまで使ってきた一元化教材の位置づけ

予備試験論文に耐え得るだけの使い込んだ一元化教材があるのですから、これまで使ってきた一元化教材をそのまま継続利用し、必要に応じて、教材の記載の理解を深めるために教材の余白にメモ書きをしたり、論証を追加・修正するなどして、これまで使ってきた一元化教材をカスタマイズするのが望ましいです。

残り10カ月間で司法試験過去問と選択科目対策を終わらせる必要があるのですから、これまで使ってきた一元化教材に大きな問題がない限り、一元化教材を変更することは、なるべく控えましょう。少なくとも、司法試験合格だけを目標とするのであれば、そうなります。

例えば、これまで使ってきた一元化教材を継続利用しながらを受講するのであれば、総まくりテキストと一元化教材を机に並べた状態で総まくりの講義動画を視聴し、ランク付け及びマーク・アンダーライン指示によるメリハリ付けを一元化教材に反映するとともに、教材の記載の理解を深めるために教材の余白にメモ書きをしたり、論証を追加・修正するなどして、これまで使ってきた一元化教材をカスタマイズすることになります。

 

これに対し、1桁~2桁での上位合格を目指すのであれば、一元化教材を総まくりテキスト又は論証集に切り替えるのもありです。予備試験合格後、総まくり講座と司法試験過去問講座を使って令和2年司法試験に200番台で合格した谷口陸様(東京大学法科大学院在学中に予備試験合格)の合格者インタビューが参考になると思います。

 

•   一部の科目だけ総まくり講座2021を受講したり、一元化教材を総まくりテキスト・論証集に切り替える方法

入門講座の受講を終えた方にとって、予備校講座・基本書・演習書等は、自分に足りないものを補うために使用するものです。総まくり講座2021についても同様です。せっかく購入したのだからとの思いから、全科目について最初から最後まで受講し、一元化教材を総まくりの教材の切り替えようとするのではなく、特定の科目・分野についてのみ総まくり講義を視聴し、講義内容をこれまで使ってきた一元化教材に反映するという方法もあります。

ある科目では一元化教材を総まくりテキスト・論証集に切り替える一方で、他の科目ではこれまで使ってきた一元化教材を継続利用するという方法もありです。

全科目について最初から最後まで受講し、一元化教材を総まくりの教材の切り替えることは、学習効果を最大化するための一手段にすぎません。論文知識の基礎固めができていない、本試験に耐え得る一元化教材が手元にない、全科目について講義視聴・教材切り替えをするだけの時間的余裕があるといった方には、最適な手段です。

学習効果を最大化するための講座の使い方は人によって異なります。インプット講座受講する必要性と一元化教材を切り替える必要性について科目ごとに考え、学習効果を最大化するためには、インプット講座をどの範囲で受講するか、どの科目の一元化教材を切り替えるかといったことについて考え、自分にとってベストな選択しましょう。

〇司法試験過去問をやる際には、過去問講座を使う

司法試験過去問をやる際には、学習の効率化を図るためにも、間違った書き方を身につけることを避けるためにも、質の高い司法試験過去問講座を受講することをお薦めいたします。

残り10カ月間で自力で出題趣旨・採点実感・再現答案を使って分析をするには無理があります。しかも、市販の再現答案も完璧ではありませんから、どこでどう点を伸ばしたのかが分からない状態で参考にすると、書き方が間違っている箇所まで参考することにより間違った書き方を身に付けてしまうという危険もあります。特に、公法系については、司法試験初期のころは試験対策が進んでいなかったため、今の公法系の受験生のレベルを前提にする参考にならない上位答案もありますから、間違った書き方を身に付けてしまう危険もあります。

司法試験過去問をやる意味は、単なる解答筋レベルのことを身に付ることではありません。こういった事案では、この条文やこの論点が問題となり、こういった流れで条文や論点を並べて結論を導くということは、基本的には、司法試験過去問に入る前の短文事例問題演習の段階で学習することです。

司法試験では、予備試験以上に、「何を」書いたかだけではく「どう」書いたかという書き方が重視されますし、現場思考問題もバンバン出題されますから、科目・分野ごとの「書き方」の作法現場思考問題の対処法を確立しておく必要性が非常に高いです。

したがって、司法試験過去問講座では、答案の背後にある書き方と、現場思考問題(さらには、知らない既存論点)の対処法まで説明してくれる講座を選択する必要があります。それから、司法試験における合格答案・上位答案の水準が分からないと思いますので、出題趣旨・採点実感に依拠した理想的な答案だけでなく、現実的な上位答案まで示してくれたり、合格水準として書くべきこと・書かなくていいことを具体的に示してくれる講座を選択する必要もあります。

以上のことを踏まえると、司法試験対策として最適な司法試験過去問講座とは、次のようなものであると考えます。

出題趣旨・採点実感に依拠した理想的な答案を示している

①を書くために必要とされる「答案の背後にある書き方・考え方」まで説明がある

現場思考問題(さらには、分からな既存論点)の対処法まで説明がある

現実的な上位答案が想定順位とともに示されている

例えば、刑事訴訟法の任意捜査の限界で、他人が作った参考答案を読み上げるだけでは、仮に参考答案の内容が正しくても、受講生は、別の問題で参考答案に近い水準の答案を書けるようになりません。理想的な当てはめの背後にある、正しく事実を分類するための規範適用の作法が分からないからです(②)。

解説者自身も、自分で答案を作成する過程で、徹底的に調べ上げ、考え抜くからこそ、答案の背後にある書き方・考え方を正確に把握し、伝えられるようになります。解説者自身がしっかりと書き方・考え方を理解した上で、適切な説明を通じて、書き方・考え方を受講者と共有する必要があります(②)。

8枚フルに使った理想的な答案やそれを使った解説は、受講者が試験本番で合格答案を作成するための道具であって、それを作ること・伝えることがゴールなのではありません。受講者が理想的な答案を参考にして自分に見合った現実的な合格答案像をイメージすることができるよう、適切な妥協の仕方も示す必要があります(③)。

既現場思考要素の強い論点や学習不足であった既存論点が出題された場合の適切な対処法を示すことで、受講者が自分の知らない論点の出題を恐れて過度にインプットの範囲を広げようとする事態を防ぐことも出来ます(④)。

逆に、不適切な司法試験過去問解説講義は、以下のようなものです。

      • 出題趣旨・採点実感に依拠していない
        ⇒特に、答案の書き方、処分証書等の法律用語の使い方など
      • 参考答案の棒読み
        ⇒講師が自分で答案を作成していないと、正しい書き方・考え方を知らない上、答案作成者の思考過程も把握できていないため、答案の棒読みになりがちです
      • 現場思考要素が強い問題について、元ネタになっていると思われる裁判例や学者論文等を示しながら、現実離れした解説をする
        ⇒受験生が知識偏重の考えに陥ってしまい、いつまで経っても対処するための読解・思考・応用のコツや文章力が身に付かない上、過度に知識の量を増やそうとする間違った勉強法に陥ってしまいます
      • 現実離れした長すぎる答案だけを示す
        ⇒受験生が合格水準を見誤り間違った勉強法に陥ったり、いつまで経っても自分が目指すべき現実的な合格答案像を掴むことができなくなります..

(2) 選択科目対策

選択科目は、出来るだけ早い段階から勉強を開始しましょう。

新しく勉強する法律科目について、断片的な知識の記憶であれば短期間で完成させることができますが、「全体像をしっかりと頭に入れた状態で条文・知識を体系と典型事例に結び付ける形で理解・記憶することができている状態」にまで持っていくには、時間がかかるからです。

選択科目を選ぶ際の重要な考慮要素は、以下の4つです。

・受験生としての自分との相性
・基本7科目との共通性
・自分が関心を持つことができるか
・教材・講座が充実しているか

 予備試験論文後の選択科目対策については、こちらの記事を参考にして頂きたいと思います。

(3) 短答3科目の対策

予備試験論文受験者は、短答3科目の基礎がしっかりと身に付いていると思いますし、予備試験対策として司法試験の短答過去問までやっている人も多いと思います。

予備試験合格者の司法試験短答式の合格率の高さが物語っているように、予備試験合格者のほとんどが司法試験短答式に合格しますから、短答対策についてそこまで心配する必要はないと思います。

もっとも、以下の3点に留意する必要があると考えます。

1つ目は、司法試験では、予備試験とは違い、短答式と論文式とが同じ期間に実施されるため、試験1カ月前や1週間前に短答対策に専念することができないということです。論文対策と並行しながら短答対策をしても確実に合格点を取ることができるように、勉強計画を工夫する必要があります。試験前における論文対策と短答対策のバランスについては、全国模試を通じて確認・調整することになると思います。

2つ目は、消去法が使えない憲法と消去法が使いにくい刑法が合計点の57%を占めるということです。消去法が使えない憲法と消去法が使いにくい刑法とでは、論文知識を使って解くコツと読解思考重視で解くコツを身につけていないと、出題の内容に点数が左右されやすくなってしまいます。予備試験短答で憲法・刑法の点数が低かった人は、注意しましょう。司法試験でも予備試験でも、憲法と刑法の短答式問題の8割近くが論文知識重視の問題と読解思考重視の問題ですから、憲法と刑法で点数が安定しない人は、全ての問題について、暗記した知識と選択肢を形式的に比較して正誤を判断するという短答知識重視の問題における解法を使った解こうとしてしまっている可能性があります。知識に依存しない解法については、こちらの動画を参考にして頂けると思います。

3つ目は、短答対策を効率的に済ませるとともに、短答に対する不安を解消することで、論文対策にしっかりと時間を使うということです。

 

令和4年予備試験合格を目指す場合

勉強計画については、7月から勉強を開始することを前提とした「令和4年予備試験合格に向けた理想的な勉強計画」という記事及び動画を参考にして頂きたいと思います。

令和3年予備試験論文式の手応えがよくなく、令和4年予備試験合格を目指して勉強を再開する場合には、インプットから入ることになる方が多いと思います。

A・Bランクの条文・手続・論点について知識の穴があるのであれば、もう一度インプットに立ち返り、しっかりと知識面での基礎固めをする必要があります。

その上で、短文事例問題レベルの基礎的演習を終えているのであれば予備試験過去問をはじめとする本試験レベルの問題を使ったアウトプットに入り、基礎的演習を終えていないのであれば予備試験過去問等に入る前に基礎的演習をする必要があります。

急がば回れです。

焦って自分がやるべき勉強の一部を飛ばすのではなく、ご自身の学習段階に応じて必要とされる勉強を徐々に積み上げていきましょう。そうすることで初めて、確実に実力を高めることができます。

それから、令和4年予備試験論文式には選択科目(現行司法試験の選択科目と一致)が導入されますので、選択科目を選択した上で、選択科目の勉強も開始する必要があります。

選択科目対策については、以下の記事も参考にして頂きたいと思います。

新しく勉強する法律科目について、断片的な知識の記憶であれば短期間で完成させることができますが、「全体像をしっかりと頭に入れた状態で条文・知識を体系と典型事例に結び付ける形で理解・記憶することができている状態」にまで持っていくには、時間がかかります。しかも、年明けから5月中旬までは、短答試験対策に相当な時間を費やすことになります。したがって、年内に選択科目の1周目を終えておく必要があります。そのために、出来るだけ早い段階から勉強を開始しましょう。


以上が、令和3年予備試験論文式を受験された方々へ向けたメッセージとなります。

ご自身に合った進路及び勉強法を選択することにより、ご自身にとってベストな結果を出して頂ければと思っております。

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講師紹介

加藤 喬 (かとう たかし)

加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
司法試験・予備試験の予備校講師
6歳~中学3年 器械体操
高校1~3年  新体操(長崎インターハイ・個人総合5位)
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
労働法1位・総合39位で司法試験合格(平成26年・受験3回目)
合格後、辰已法律研究所で講師としてデビューし、司法修習後は、オンライン予備校で基本7科目・労働法のインプット講座・過去問講座を担当
2021年5月、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立

執筆
・「受験新報2019年10月号 特集1 合格
 答案を書くための 行政法集中演習」
 (法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
 憲法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成30年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成29年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成23~
 25年」行政法(法学書院)

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