本日、令和2年予備試験口述式の合否発表がありました。
口述試験に合格された方々は、本当におめでとうございます。
これから残り3カ月間で、司法試験合格に向けた対策をすることになります。
以下では、皆さんに正しい方向に従って効率的に司法試験対策をして頂くために、司法試験論文と予備試験論文の相違点を踏まえた論文対策のコツについて書かせて頂きます。
1.司法試験論文と予備試験論文との相違点
(1)問題文の複雑さ・情報量の多さに慣れる
司法試験の問題文は、予備試験に比べて、複雑であるとともに、情報量が多いです。
とにかく、複雑で情報量の多い問題を処理することに慣れる必要があります。
答案の分量としては、平均的な文章力を基準とするのであれば、50~55点を取るためには、憲法で4枚半(1行28~30文字)、行政法で4枚、民法で4枚半、商法で4枚半~5枚(検討事項が多い問題では5枚)、民事訴訟法では4枚、刑法・刑事訴訟法で5枚くらい必要です。
問題文へのメモ・マークの仕方、答案構成の仕方、時間配分といったことについて、司法試験の問題文に合わせた工夫を要することもあります。
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(2)問題文の読み方の違い
司法試験の問題文は、予備試験に比べて、何についてどう論じるべきかについて、分かりやすく誘導してくれる傾向が強いです。
問題文の行間まで読んで論点を抽出するということは、まずありません。
問題文を読んで理論上問題となり得ることであっても、問題文における指示・誘導により、検討対象から除外されていることがあります。
例えば、令和2年司法試験憲法の規制②については、問題文の最終段落におけるXの発言で「自家用車での移動が規制されていることには批判の声もあります。」として、選択するべき人権が移動の自由(憲法22条1項又は13条後段)に限定されており、平等権(憲法14条1項)が除外されています。
令和2年司法試験行政法設問1(1)では、農業振興地域の整備に関する法律(=農振法)10条5項に基づく農業振興地整備計画の変更の処分性が問われている問題において、「まず、農用地区域を定める計画自体の法的性格を検討してみてください。…それを踏まえて、本件農地のような個別の農地を農用地区域から除外するための計画変更の処分性を検討してください。」とする会議録の指示により、農業振興地整備計画の変更の法効果の有無・内容について、これにより変更されることになる農業振興地域整備計画の一環としての農用地利用計画の法効果の有無・内容から検討することが誘導されています。
令和2年司法試験商法の設問1では、非公開会社が特定の株主に対して議決権のある剰余金配当優先株式を新たに発行した事案において、設問でBが訴えを提起する動機として「Bは、本件決議1及び本件決議2には瑕疵があり、そのことが本件株式発行の効力に影響を及ぼすと考えている」ということを明示することにより、検討対象から「本件株式発行の効力」の否定につながらない損害賠償請求等を除外しています。
これらは、ほんの一例です。
このように、司法試験では、予備試験よりも、何についてどう論じるのかを問題文の指示・誘導に従って判断するということを強く意識する必要があります。
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(3)現場思考問題への対処
司法試験では、予備試験に比べて、現場思考問題が頻繁に出題されます。
令和2年司法試験では、行政法設問2、民法設問2及び設問3の最後、民事訴訟法の設問2及び設問3の最後で、現場思考問題が出題されています。因みに、労働法第2問でも現場思考問題が出題されています。
そのため、司法試験の論文対策としては、現場思考問題の対処法を確立することが非常に重要です。
基本的に、現場思考問題については、問題文や会話文(会議録)で当てはめと結論が誘導されますから、㋐問題文や会話文(会議録)から出題者が求めている当てはめと結論を把握し、㋑その当てはめと結論を導くことができる抽象論をイメージした上で答案上に文章化する、という方法により対処することができます。
司法試験過去問の演習・復習を繰り返すことにより、上記㋑における思考・論述のコツと、その前提となる上記㋐における読解のコツを徐々に身に付けていきましょう。
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(4)出題形式の違い
科目によっては、司法試験と予備試験とで出題の形式が異なることがあります。
行政法では、会議録の誘導に従って何についてどう論じるべきかを判断する必要がありますし、刑法・刑事訴訟法でも三者間形式をはじめとする特殊な形式の出題がなされることがあります。
特に、刑事系においては、三者間形式をはじめとする複数の理論構成を検討させる問題では、自説に関する知識だけでは対応できないことが多々あるため、知識の幅を広げる必要があります。
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(5)当てはめのボリューム
司法試験では、予備試験にも増して、典型論点が正面から出題されます。
例えば、令和2年司法試験の刑事訴訟法では、設問1で任意同行後の取調べの適法性、設問2で自白法則と違法収集証拠排除法則、設問3で類似事実証拠による犯人性立証が出題されており、いずれもAランクの典型論点です。
こうした出題では、論点を外す受験生が少ないため、正しい論証を書いた上で、規範の正しい意味に従い、問題文の事実を網羅的に摘示・評価することにより、ボリュームのある当てはめを展開することが重要です。
そのため、正しく説得力のある当てはめをするために、規範の正しい意味までインプットするとともに、問題文に食らいついて規範に関連する事実を正しい流れ・方向で摘示・評価するための姿勢と文章力を鍛える必要もあります。
2.今後の勉強の進め方
(1)司法試験過去問中心の勉強が望ましい、インプット教材の乗換えは原則不要
これからは、司法試験過去問中心の勉強により、上記1(1)~(5)の習得に重点を置くことが望ましいです。
科目・分野・論点によっては、知識を追加したり、理解を修正するべき箇所もあると思いますが、インプット教材を乗り換えるべきではありません。
予備試験論文に合格できるだけ使い込んだ一元化教材があるのですから、それを継続利用しつつ、司法試験過去問や司法試験向けのインプット講座で学習したことを一元化教材に反映すれば足ります。
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(2)秒速講座及び令和3年合格目標加藤ゼミの受講方法
これから、司法試験に向けて、秒速・総まくり2021、秒速・過去問攻略講座2021又は令和3年合格目標加藤ゼミを受講される方がいらっしゃると思います。
まず、秒速・総まくり2021と秒速・過去問攻略講座2021をセットで受講することは、お薦めいたしません。予備試験論文に合格する実力があることからすればそこまで網羅的に受講する必要性は高くないですし、残り3カ月間で消化し切ることは困難であると思います。
秒速講座を受講するのであれば、秒速・総まくり2021と秒速・過去問攻略講座2021のいずれか一方になります。上記2(1)の通り、今後は司法試験過去問中心の勉強をすることになることを踏まえると、秒速・過去問攻略講座2021を受講して頂くことをお薦めいたします。
秒速・過去問攻略講座2021には、プレテストから令和2年までの16年分(合計112問)の過去問を網羅しているコンプリートと、問題を厳選したセレクト45があります。
本試験まで3カ月間しかないことを踏まえるとセレクト45のほうが良さそうな気もしますが、私は、コンプリートを受講した上で、ランク付けに従い、この問題はフル起案して解説動画も視聴するが、この問題は解説・答案をざっと読んで答案の流れ・解答筋・論証だけを確認するというように、重要度に応じてメリハリを付けながらなるべく多くの問題にあたるのが望ましいと考えます。
次に、司法試験対策として科目特性に応じたインプットを短時間で完成させ、決められたスケジュールに従って司法試験過去問の演習・分析をしたいという方には、総まくり論証集を使ったミニ総まくり講義(1科目5時間前後)と最重要過去問35問の解説講義がセットになっている「令和3年合格目標加藤ゼミ」(現在、添削なしのコースに限り、募集しております)に参加して頂くことをお薦めいたします。
現在、論証集・過去問解説冊子の配送準備を完了しているため、入金確認後から2~3日以内に論証集・過去問攻解説冊子をお届けすることができますので、司法試験対策としての勉強をスムーズに進めることができます。
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(3)労働法対策
これから労働法の勉強を始める方には、こちらの記事で労働法の科目特性をそれを踏まえた効果的な勉強法を参考にして頂きたいと思います。
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(4)令和2年司法試験過去問の分析
令和3年司法試験合格を目指す上で、令和2年司法試験過去問を通じて、直近の出題の傾向・形式と現実的な上位答案の水準を把握することは非常に重要です。
令和2年司法試験過去問の解説講義は、採点実感の公表後、速やかに作成に取り掛かり、なるべく早くリリースできるようにいたします(※秒速・過去問攻略講座2021コンプリートと令和3年合格目標加藤ゼミには、無料で付属します)。
それまでは、令和2年リアル解答速報における参考答案及び解説記事・動画を参考にして頂ければと思います。
3.各種講座の説明
(1)秒速・総まくり2021
秒速・総まくり2021は、各科目につき、約15~20時間程度で、論文試験で必要とされる知識(条文、論点等)を答案に書くことができる形で網羅的に習得することができる講座です。
本講座には、有料で、論文試験で必要とされる条文・論点・方法論が集約された総まくり論証集も付属します。
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(2)秒速・過去問攻略講座2021
秒速・過去問攻略講座2021は、私が徹底した出題分析に基づいて作成した解説・答案により、表面的な解答筋だけでなく、重要な分野・論点についての深く正しい知識、さらには、解答筋に気が付くために必要な問題文の読み方・思考方法、科目・分野に特有な書き方の作法等を習得することができます。
本講座では、完全解に近い模範答案と4~5枚でまとめて中位答案の2通を用意しているため、中位答案を通じて現実的な上位水準・合格水準を把握することも可能です。
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(3)令和3年合格目標加藤ゼミ
令和3年合格目標加藤ゼミでは、最新版の総まくり論証集を使ったミニ総まくり講義(1科目5時間前後)によるインプットと最重要過去問5年分(+労働法オリジナル問題)によるアウトプットを短期間で連続的に行うことにより、論文の実力を短期間で合格水準(さらには、上位水準)まで一気に引き上げます。
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(4)労働法講座
労働法講座には、労働法速修テキスト講義(入門講義)、労働法過去問完全攻略講座、労働法速習論証集講義及び事例演習労働法解説講義がございます。
私の労働法講座は、2019年に配信元であるBEXAで「合格力ランキング1位」を獲得しており、2015年版からずっと、多くの合格者の方々に受講して頂いております。
平成26年秋にリリースされてから現在に至るまでの6年間で1500人、1年あたり平均250人前後の方々に受講して頂いております。
労働法講座のテキストと講義動画だけで、労働法の基礎固めからアウトプットまでを完結させ、労働法でトップレベルの実力を身につけることが可能です。
講義のご紹介
令和6年司法試験 有料講座の合格者数356名
加藤ゼミナールでは、令和6年司法試験において、有料講座の受講者様から356名の合格者を輩出することができました!
令和4年司法試験 110名
令和5年司法試験 212名
令和6年司法試験 356名 2年で3.2倍増!
毎年、順調に有料講座の合格者数を伸ばすことが出来ています。
加藤ゼミナールの講師・スタッフ一同、より多くの方々の合格をサポートすることができるよう、邁進してまいります。
受験生応援キャンペーン 全講座10%オフ
受験生応援キャンペーンとして、2024年度版の司法試験・予備試験対策講座を対象とした10%OFFセールを実施しております。
全ての受験生様にご利用頂けるセールでございます。
令和6年司法試験合格祝賀会 11/19@パレスホテル東京
令和6年司法試験に合格された皆様、誠におめでとうございます。
講師・社員一同、皆様の合格を大変嬉しく思っております。
加藤ゼミナールでは、講座の受講者様を対象とした合格祝賀会を開催いたします。
加藤ゼミナールへの合格体験記の提出、他校への合格体験記の提出禁止、他校での講師活動の禁止といった参加条件はございません。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。
司法試験・予備試験対策なら加藤ゼミナール!
加藤ゼミナールは、2021年に開校し、有料講座の合格者数を110名(2022年)→212名(2023年)→356名(2024年)と順調に伸ばすことができており、今最も急成長を遂げている予備校です。
1位~1桁合格者や10位台~2桁合格者を多数輩出しており、上位合格を目指すための” もう一歩先の勉強 “をすることができる点も、加藤ゼミナールの大きな特徴であるといえます。
入門講座から、論文講座、選択科目講座、実務基礎講座まで、幅広い講座を取り扱っています。
予備試験講座説明会
毎週、予備試験講座説明会をオンライン開催しております。
加藤ゼミナール代表の加藤講師が「予備試験講座の概要」に加えて、「予備試験の勉強法」や「攻略法の最新動向」についてまで説明いたします
参加特典(特別クーポン)もございますので、是非ご参加ください!
加藤ゼミナールのテキストのこだわり
加藤ゼミナールでは、受験生スタッフや合格者スタッフがテキストを作成するのではなく、全てのテキストを代表である加藤喬講師をはじめとする所属講師がいちから作成しています。
基本7科目の論文対策講座・労働法講座・法律実務基礎科目講座のテキストは全て、代表である加藤喬講師だけで作成しており、だからこそ、テキストは試験傾向にもしっかりと対応している、テキストどうしの一貫性が確保されているなど、クオリティが非常に高いです。
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