加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

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憲法で判例に言及する際に要求される正確性・具体性

いつもブログを拝読しております。私は、司法試験受験生です。
憲法における判例の引用の仕方についてなのですが、司法試験だと、どれくらいの具体性が必要でしょうか。知識が曖昧であるという自分の課題もあり、答案には事件名は書かず、「最高裁は~という立場であり…」といった抽象的な引用しかできていません。事件名や特徴的なワードなどにも点数は振られているのでしょうか。振られているとしても、その記憶に時間を割くより抽象的な引用のままで部分点を稼ぐというふうに考えても良いものなのでしょうか。ご意見をお聞かせいただければ幸いです。何卒宜しくお願いいたします。

憲法で判例に言及する際に要求される正確性・具体性は、だいぶ低いです。なので、普段のインプットにおいても、答案練習においても、正確性や具体性にあまりにこだわらないで、使える判例を増やすことに重点を置きましょう。事件名にも配点があると思いますが、事件名に言及することは採点上さほど重視されていないでしょうから、必須ではありません。玄人である採点官が当該記述を読んで「あの判例の、あの部分のことだな」と理解できる論述をすれば足ります。

以下の論述でも、十分合格です。

  • 閲読の自由の憲法上の保障(よど号ハイジャック記事抹消事件)
    ➡「判例によれば、閲読の自由は、個人の人格・思想の形成・発展に必要不可欠との理由から、憲法21条1項の派生原理として同条項により保障される。」
  • 選挙のルール論(戸別訪問禁止事件の伊藤正己裁判官補足意見)
    ➡「選挙運動規制については、国会の立法裁量(憲法47条)が強調されるから、厳格な審査基準は妥当しない。」
  • 形式的には職業遂行の自由を制約するにとどまる規制であっても実質的には狭義の職業選択の自由に対する制約に該当することがあること(薬事法事件)
    ➡「判例では、形式的には職業遂行の自由に対する制約にとどまる開業場所の規制であっても、経営上の採算が取れないことなどにより開業の断念に繋がることがあるとの理由から、実質的には狭義の職業選択の自由に対する制約に該当することがあるとされている。」

憲法判例の学習の仕方については、「憲法判例を学習する際のコツ」という記事も参考にして頂けると思います。

2021年01月31日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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