加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

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政教分離原則における総合衡量型の判断枠組み

秒速・過去問攻略講座セレクト45を受講しています。
平成24年憲法の答案について質問がございます。
模範答案では、判断枠組みのところで、総合衡量型の枠組みを反論として書かれています。これは、総合衡量型の方が厳格という前提での構成でしょうか?
過去問解説では145頁ウ(1)及び146頁エ(2)の2つの考えたがあり、どちらに依拠した答案か不明のため質問させていただきました。
なお、個人的には、反論で言う以上は反論者(今回でいえば村民?)側は自身に有利な主張をするはずですので、総合衡量型の方が厳格というスタンスでかかれていると思ってはおります。
ご回答よろしくお願いします。

確かに、総合衡量型の判断枠組みのほうが厳格であるとの立場に立った場合、原告側の主張:目的効果基準⇒被告側の反論:総合衡量型という構成をとることはできません。合憲の結論に向けられた反論をするべき被告側が、違憲の結論に向けられた反論をすることになってしまうからです。

しかし、法律意見書形式における反論は、自己の見解と異なる考えに基づくものであれば足りるため、平成24年司法試験の事案であれば、合憲の結論を望む村側の立場からの反論に限定されません。そのため、仮に総合衡量型の判断枠組みのほうが厳格であるとの立場つ場合であっても、自身の見解:目的効果基準⇒反論:総合衡量型という構成をとっても問題ありません。

それから、目的効果基準と総合衡量型の違いについては、①物差しの形の違いであるとの理解(厳格度の違いでないとの理解)と②物差しの目盛りの細かさの違いであるとの理解(厳格度の違いであるとの理解)があり、司法試験委員会がどちらの理解に立っているのかは定かではありません。仮に②の理解に立ったとしても、当てはめで、厳格度の違いを示すことは難しいです(特に、平成24年司法試験の事例では、目的効果基準からも違憲となるため)。そのため、少なくとも平成24年司法試験の事案では、①の理解を前提とするべきであると考えています。

2020年12月31日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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