加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

予備試験論文対策における予備試験論文過去問の位置づけ

予備試験論文対策における予備試験論文過去問の位置づけについては、どのように考えるべきでしょうか。司法試験過去問と異なり、予備試験過去問は、10年分しかありませんし、1問辺りの情報量もさほど多くないので、予備試験過去問だけでは知識・演習の穴が生じてしまうと考えています。加藤先生のお考えをお聞かせ願えればと思います。

過去問をやる目的は、以下の3つです。

    • 自分と本試験の距離及び最新の出題傾向を把握することで、科目ごとに自分が目指すべき理想の答案像を具体化し、今後の勉強の方向性を明らかにする(①)
    • 答案作成の感覚を培う、維持する(②)
    • 再度の出題可能性に備えるために知識・方法論を身につける(③)

予備試験論文対策としての予備試験論文過去問の位置づけと、司法試験論文対策としての司法試験過去問の位置づけとは、科目にもよりますが、少し異なると思います。

結論から先に申し上げますと、司法試験論文対策では、司法試験過去問で対応できる範囲が広いため、①・②だけでなく③にも重点を置くことになる(出題範囲の偏りが大きい科目なら、司法試験過去問中心の勉強で対応できる)一方で、予備試験論文対策では、予備試験過去問で対応できる範囲がそこまで広くないため、③にはあまり重点を置くべきではない(出題範囲の偏りが大きい科目であっても、予備試験過去問中心の勉強で対応できると思ってはいけない)、と考えます。

司法試験過去問は、プレテストから令和2年までで合計16年分ありますし、1問辺りの検討事項の量も予備試験過去問の2倍近くあります。しかも、予備試験に比べて出題範囲の偏りが大きいです。そうすると、科目によって違いはあるものの、憲法・行政法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法・労働法のように出題範囲の偏りが大きい科目だと、司法試験過去問により出題範囲を半分以上をカバーできることが多いです。実際、令和2年司法試験の問題と司法試験過去問との対応関係は相当強いです(なお、今年の行政法は例外であり、普段の対応関係は80%~90%くらいです)。

    • 刑事訴訟法 90%
    • 憲 法   70%
    • 労働法   65%
    • 刑 法   60%
    • 民事訴訟法 50%
    • 商 法   45%
    • 行政法   40%
    • 民 法   35%

これに対し、予備試験過去問は、サンプルから令和1年までで合計10年分しかありませんし、1問辺りの検討事項の量も司法試験過去問の2分の1くらいです。しかも、司法試験に比べて出題範囲の偏りが小さいです。そのため、予備試験過去問により対応できる範囲はそこまで広くありません。

したがって、予備試験論文対策では、①・②に重点を置きつつ、③頻出論点・重要論点については、再度の出題可能性に備えるという意味で、事案と論点の対応関係、検討の流れ、論証及び当てはめの仕方についてまで学習し、さらに、④予備試験過去問以外からの出題に備えるために、短文事例問題集(市販のものでも、旧司法試験過去問でも構いません)や予備校答練で知識と演習の穴を無くしておく必要性が”高い”です。

司法試験論文対策では④が不要というわけではありませんが、予備校論文対策に比べると④として要求される量が少なく、出題範囲の偏りが大きい憲法・行政法・刑事訴訟法あたりでは司法試験過去問中心の勉強だけで合格答案(さらには、上位答案)を書けることが多いです。

2020年10月01日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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