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労働協約による労働条件の不利益変更の限界を論じる場合に、それに先立ち、有利原則否定説にも言及するべきか

労働協約による労働条件の不利益変更の限界を論じる場合、それに先立ち、有利原則否定説にも言及するべきでしょうか。労働協約による労働条件の不利益変更が出題された過去問の出題趣旨・採点実感では有利原則の肯否について言及されていないため、疑問に思いました。

確かに、労働協約による労働条件の不利益変更が出題された平成19年司法試験第2問、平成27年司法試験第2問及び平成30年司法試験第2問の出題趣旨・採点実感では、有利原則の肯否には言及されていません。しかし、労働協約による労働条件の引下げは、①その「可否」が有利原則の肯否として、②その「限界」が協約自治の限界として、それぞれ問題になります。この流れで議論を進めるのが通常であり、元考査委員である野川忍教授の「労働協約法」初版173頁以下でも、そのように説明されています。したがって、有利原則の肯否にも何らかの配点があると思われるため、書くのが望ましいです。

もっとも、出題者側は、受験生答案が有利原則肯定説を採用することを想定していませんから、配点は小さいです。そのため、有利原則否定説には簡潔に言及すれば足りますし、時間がないときは有利原則否定説の指摘を飛ばして構いません。私の過去問攻略講座の答案では、紙面に余裕のある平成19年司法試験第2問では3行で有利原則否定説に言及していますが、検討事項が多いために紙面に余裕がない平成27年司法試験第2問及平成30年司法試験第2問では有利原則否定説に言及していません。

2020年09月15日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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