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労働保護法上の労働者概念と使用者概念の関係

労働保護法上の労働者概念と使用者概念について、いずれが問題になっているのか、又は双方問題になっているのかが分からなくなることがあります。これらの論点の棲み分けをするためのメルクマールはありますでしょうか。 

労働保護法上の使用者概念は、使用者性が問われている事業主と役務提供者の間に、現時点で、直接の契約関係が存在しない場合に問題となります。例えば、派遣労働者と派遣元、子会社労働者と親会社の関係などで問題となります。これらの事例では、役務提供者は派遣先や子会社との間で労働契約関係にありますから、労働者概念は問題になりません。

これに対し、役務提供者と直接の契約関係にある事業主の使用者性は、役務提供者の労働者性の論点に包摂されますから、労働者性と区別された論点として顕在化することはありません。例えば、役務提供者Xと業務請負契約を締結しているY社は、Xが労働保護法上の労働者に当たるのであれば、その反射的結果として、労働者Xが労働契約を締結した直接の相手方に当たるものとして労働保護法上の使用者に当たります。これについては、労働組合法上の労働者概念と使用者概念の関係においても同様です。

2020年09月15日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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