加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

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平成22年司法試験第1問 本件と青山会事件との違い

加藤先生の答案では、平成22年司法試験第1問における、A社の事業を譲り受けたB社による元A社従業員X1・X2の採用拒否についての不利益取扱いの不当労働行為の成否の検討過程において、青山会事件・東京高判平成14・2・27と異なり、B社が実質的にA社の雇用関係を承継したに等しいとはいえないと認定されています。答案上の理由及び口頭での解説を聞いても納得できなかったので、もう少し丁寧に説明して頂いても宜しいでしょうか。

青山会事件では、譲受法人Xが、不当労働行為成立を主張しているB1・B2を除き、採用希望者全員について採用面接をして、賃金等の条件面の折り合いがついた者につき、全員採用しています。

これに対し、平成22年司法試験第1問の事案では、譲受会社B社は、A社工場部門(譲渡対象である事業部門)の退職者45名のうち5名も採用を拒否していますし、C組合所属の労働者3名につき採用面接すらしなかったという事情もありません。そのため、青山会事件のように解するのは難しいと考えております。

もっとも、①覚書には「B社はA社工場部門の従業員をできる限り引き受けるよう努力する旨の条項」があること、②A社工場部門退職者45名の採用率が約89%(40/45名)であるのに対し、外部からの応募者の採用率が約66.7%(10/15名)であり、前者が後者よりも約22%高いことを強調して、B社がA社の雇用関係を実質的に承継したに等しいと認定する余地もあると考えます。例えば、日本評論社「別冊法学セミナー  新司法試験の問題と解説2010」343頁(担当:山下昇・紺屋博昭)では、②については言及がありませんが、①にも言及した上で、B社がA社の雇用関係を実質的に承継したに等しいと認定されています。そして、②を重視してB社がA社の雇用関係を実質的に承継したに等しいと認定する場合、A社工場部門退職者で採用を拒否された5名のうち2名はC組合に所属していなかったという事情を、不当労働行為意思を否定する事情として使い、不当労働行為の成立を否定することになります。

2020年09月15日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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