加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

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令和2年司法試験設問1 任意同行後の取調べについて「強制の処分」該当性を肯定した場合における失点の有無・程度

令和2年司法試験設問1における任意同行後の取調べについて、「強制の処分」該当性を肯定し、その結果、任意捜査の限界について論じませんでした。この場合、任意捜査の限界まで論じている受験生と比べてだいぶ評価が下がることになるのでしょうか。

仮に、本問における任意同行後の取調べの適法性が限界事例問題に属するのであれば、①「強制の処分」該当性を肯定した場合と②「強制処分」該当性を否定した場合の双方を想定した採点表になっているはずです。例えば、配点30点なら、①では「強制の処分」該当性に30点、②では「強制の処分」該当性に10点・任意取調べの限界に20点、という感じです(配点割合等は、あくまでも例にすぎません)。この場合、結論を導く過程が大事なのであり、結論自体はいずれでも構いません。

これに対し、出題者が「強制の処分」該当性を肯定する答案を想定していない事案(該当しないことが明らかである事案)では、「強制の処分」該当性を否定した場合における②しか採点表に反映されていないはずです。そうすると、「強制の処分」該当性を肯定すると、「強制の処分」該当性に振られている10点の限度でした点が付きません。しかも、「強制の処分」該当性を肯定することが想定されていない事案でこれを肯定しているということは、事実の摘示が恣意的であったり(肯定寄りの事実だけ搔い摘んで当てはめをしている)、事実の評価が不合理であることにもなりますから、二重の意味で失点することになるのではないかと思います。

本問は、出題者が「強制の処分」該当性を肯定する答案を想定していない事案に属すると思いますので、「強制の処分」該当性を肯定して任意取調べの限界について一切言及しないとなると、大きな失点をすることになるのではないかと思います。

2020年09月15日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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