確実な基礎を身につけるためのインプットのコツ

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今回は、確実な基礎を身に付けるためのインプットのコツについてお話しいたします。

コツは、(1)脳内でイメージする段階と言語化の段階とを区別する、(2)記憶範囲と理解のために読む範囲を区別する、(3)ヤマをはるのは浅く広い勉強により対応可能範囲を広げてからにする、の3つです。

(1) 脳内でイメージする段階と言語化の段階とを区別する

特に、新しい科目を勉強する際に意識して頂きたいことです。

新しい科目を勉強する際、まずは全体を俯瞰することを優先します。

その法律がどういった分野から構成されていて、各分野ごとにどうった条文・手続・論点があり、それらがだいたいどういったものであるのかについて脳内でイメージできるようになることを優先します。そのイメージは、曖昧・不正確でも構いません。

その後で、徐々に、脳内でイメージできることを言語化して理解・記憶していきます。回数を重ねるにつれて、イメージの解像度を高めていくという感じです。

言語化はイメージの後で構いません。いきなり言語化して理解・記憶しようとすると、視野狭窄となり、「木を見て森を見ず」になる結果、法体系に紐づけられていないぶつ切りの知識しか身につかない可能性があります。

焦らないで、学習段階に応じて、徐々にインプットのレベルを上げていきましょう。

入門講座である労働法速修テキスト講座でも、講義を[導入編][基礎編][応用編]の3段階に分けた上で、全体を俯瞰することを目的とした[導入編]では、法律関係図も使った具体例をたくさん取り上げるとともに、認識対象が狭まることを防ぐために敢えてマーク・アンダーラインの指示しておりません。

(2) 記憶範囲と理解のために読む範囲を区別する

基本書・テキストには、①記憶範囲に属する記述と②記憶範囲に属する記述を理解するために読むべき記述とがあります。

①は、①の何倍もある②によって支えられています。

労働法速修講座や総まくり講座でいうと、マーク・アンダーラインの指示をしている箇所が①、これらの指示がない箇所が②に属します。

最初からコンパクトにまとめられている予備校テキストを使って勉強したいという気持ちは分かります。

しかし、入門テキストが①に重点を置きすぎたものだと、よほど上手に講義で情報を補わない限り、②の知識が不十分になり、ガタガタな②の土台のうえに①が辛うじて乗っているという状態に陥ります。

②が疎かだと、①の知識が理解を伴わない使えない知識になるとともに、記憶も定着し難いです。さらに、①を土台として現場思考することが求められる場面では、①を使いこなすことができないため、対応することができません。

急がば回れです。

初めは、①だけでなく、②もしっかりと読みます。

読み返す回数が増えるにつれて、徐々に①を理解するために読むべき②の範囲が狭まっていき、試験1~2か月前には①を読むだけで理解の伴った記憶を完成させられる状態になっているのが理想的です。

(3) ヤマをはるのは浅く広い勉強により対応可能範囲を広げてからにする

ある分野・論点から出題された場合に平均的受験生の水準を上回る論述をするために、ある分野・論点について、他の分野・論点に比べて手厚く勉強するということも必要です。

例えば、行政裁量・処分性・原告適格という行政法の三大頻出分野については判例理論の深い理解や当てはめの作法まで勉強しておく必要がありますし、全科目に共通することとしてAランク論点については「理由→規範」という論証形式で記憶をするとともに「規範」についてなるべく正確に表現できるようにしておく必要があります。

もっとも、それ以外の分野・論点についても、出題される可能性がそれなりにあるのですから、合格水準をぎりぎり下回らないくらいの論述をすることができるよう、最低限の知識を身に付けておく必要があります。

何も知らないという分野・論点は、なるべく作らないようにしましょう。

分野・論点ごとの重要度に応じたメリハリ付けとは、あくまでも「濃淡をつけて」勉強をすることであって、重要でない分野・論点を学習範囲から除外することを意味するものではありません。

まずは浅く広い勉強により何も知らないという分野・論点を極力減らすことで、どの分野・論点から出題されても最低限の論述をすることができるようにします。その上で、重要度の高い分野・論点について、平均的受験生の水準を上回る論述をできるようになるために、分野固有の処理手順を確立したり、論点について「理由→規範」という論証形式で記憶したり、規範の正しい意味(当てはめの仕方)を学習するといった、深い学習をすることになります。

例えば、Aランクの民法94条2項類推適用については、「理由→規範」という論証形式で理解・記憶する必要があるとともに、3つの事案類型ごとの真正権利者の帰責性の内容及び第三者の信頼の内容について94条2項の趣旨から説明できるように準備しておく必要があり、B~Cランクの民法193条の意義については「盗難等の時から2年間は、盗品等の所有権は原権利者に帰属する」という判例の解釈の結論くらいは書けるようにしておく必要があります。

 

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講師紹介

加藤 喬 (かとう たかし)

加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
司法試験・予備試験の予備校講師
6歳~中学3年 器械体操
高校1~3年  新体操(長崎インターハイ・個人総合5位)
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
労働法1位・総合39位で司法試験合格(平成26年・受験3回目)
合格後、辰已法律研究所で講師としてデビューし、司法修習後は、オンライン予備校で基本7科目・労働法のインプット講座・過去問講座を担当
2021年5月、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立

執筆
・「受験新報2019年10月号 特集1 合格
 答案を書くための 行政法集中演習」
 (法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
 憲法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 令和元年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成30年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成29年」
 行政法(法学書院)
・「予備試験 論文式 問題と解説 平成23~
 25年」行政法(法学書院)

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