加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

令和3年司法試験・予備試験の短答式の合否発表を受けて

先ほど、令和3年司法試験・予備試験の短答式の正解及び合格点が発表されました。

私から、試験の結果に応じて、皆さんにお伝えしたいことがございます。

クリックすると該当箇所に移動します。

 

司法試験短答式に合格された方々には、論文試験の手ごたえも踏まえながら、9月の合否発表まで有意義な時間の使い方をして頂きたいと思います。

論文合格の手ごたえがある方は、司法試験の勉強以外のことに時間を使ってもいいと思います。合格後は、何かと忙しいですし、司法修習を終えるともっと忙しくなります。人生の中でこんなに自由な時間を過ごすチャンスは、当分来ないと思います。今だからできることに時間を使ってほしいと思います。

他方で、合格しているかよくわからないという手応えであれば、これまで使ってきた教材の読み込みを繰り返すとともに、勘を鈍らせないために定期的に答案練習をやる、という勉強を継続するのが望ましいです。

ただ、こうした試験直前期における「能動的な勉強」を試験直後から継続するのは精神的に辛いと思いますから、こうした勉強をすることが難しいのであれば、合格時キャッシュバックキャンペーンのある予備校講座を利用して「受動的な勉強」をしながら結果発表を待つ、という方法でもいいかなと思います(加藤ゼミナールでも、6月20日まで合格時全額キャッシュバックキャンペーンを実施しております)。

論文試験の出来を確認する際には、令和3年司法試験解答速報も参考にして頂ければと思います。

 

司法試験短答式に合格できなかった方々は、令和4年司法試験合格を目指して、短答対策及び論文対策をすることになります。

〇短答対策

いきなり短答過去問集や肢別本をやり込むという勉強に入るのではなく、合格点に到達しなかった原因をしっかりと分析した上で、自分の個性と試験傾向に合った対策の仕方を考えましょう。

例えば、短答式の問題は、短答知識重視の問題、論文知識重視の問題及び読解思考重視の問題の3つに分類されます。これらの区別は、憲法・民法・刑法で顕著です。

短答知識重視の問題での正答率が高い一方で、論文知識重視の問題及び読解思考重視の問題における正答率が低い場合、短答式で合格点に到達しなかった原因は、主として、知識量の不足ではなく、論文知識が浅いことと、読解思考のコツを掴んでいない(さらに言うと、読解思考重視の問題まで知識だけで解こうとしている)ことにあると考えられます。そうすると、短答固有の知識の量を増やしても、なかなか点数は伸びません。特に憲法・刑法では、短答知識だけで解くことができない論文知識重視の問題及び読解思考重視の問題が多いからです。

勉強量の割に点数が伸びない、あるいは、点数が安定しないという方は、上記の問題類型を意識することができておらず、全ての問題を、短答知識重視の問題として、丸暗記した知識だけで解こうとしてしまっている傾向が強いです。問題の傾向に合った効果的な勉強法と解法を知らないだけなのです。勉強法と解法を変えるだけで、短答試験の見え方が変わります。そして、一気に点数が上がります。

短答式で伸び悩んでいる方には、下記の動画と記事を参考にして頂きたいと思います。

[知識以外で短答を解くコツ]

令和3年司法試験向けに収録・公開した動画であり、令和2年司法試験過去問(各科目3問ずつ)を使って、知識に依存しない読解思考重視の解法について説明しています。

1問ずつ、画面に問題文を映し、マーカーなども使いながら、読解と思考のコツについて丁寧に説明しておりますので、解答に至るプロセスをイメージしやすいと思います。

 

[短答対策の常識が変わる「令和2年司法試験短答過去問完全解説講義」]

去年秋に販売を開始した「令和2年司法試験短答過去問完全解説講義」の講座紹介記事では、短答試験の勉強法について丁寧に説明しおります。

本講座の販売は終了しておりますが、講座紹介記事、ガイダンス動画及びサンプル動画は、問題類型に応じた解法と勉強法を習得する上で非常に参考になると思います。

「令和2年司法試験短答過去問完全解説講義」の講座紹介記事

〇論文対策

短答が苦手だからといって、短答対策に偏った勉強をすることにならないよう、注意しましょう。

短答対策よりも先に、論文試験についての自己分析と出題分析をする必要があります。この過程を飛ばすことはできません。

初めに、再現答案を作成しましょう。記憶が衰退しており、再現できないのであれば、もう一度制限時間内で答案を書いてみましょう。その上で、私の解答速報も参考にして頂き、自分の弱点と出題傾向を把握することにより、「これから、何についてどういった勉強をするべきか」について考えます。

知識が足りていない、出題された知識が一元化教材に載っていなかった(あるいは、そもそも一元化教材と呼べるものを持っていない)、科目特性に対応することができていないといった方には、論文試験で必要とされる知識と方法論が集約されている総まくり講座2021を受講して頂くことをお薦めいたします。

さらに、司法試験過去問講座2021も受講して頂き、科目ごとに、総まくり講座2021→司法試験過去問の演習・分析という流れで、インプットとアウトプットを連続的に行うことで、インプットとアウトプットの効果を最大化することが可能となります。司法試験過去問の演習に入る際には、総まくり講座2021で学習したことを総動員するくらいの気持ちで臨むのが望ましいです。頭の中がまっさらな状態で司法試験過去問を解いても、総まくり講座2021で学んだ知識及び方法論の使い方に慣れるとともに、これらの精度を高めるという効果が期待できないからです。

 

予備試験短答式に合格された方々は、本当におめでとうございます。

去年、私は、予備試験論文式の問題文が発表されてから3日間で、総まくり講座のテキスト・論証集だけを参照して一気に7科目分の答案と解説を書き上げるとともに、解説動画を収録・公開しました。

大部分が総まくり講座のAランクからの出題であり、尚且つ、司法試験ほど捻った出題もなかったので、Aランクレベルのことをしっかりと理解・記憶することが大事であると感じました(これに関する記事はこちら→「令和2年予備試験論文と総まくり論証集の対応関係(100%)」)。

これから新しいことに手を広げるのではなく、これまで勉強してきたことの精度を高めるために、これまで使ってきた一元化教材、問題集及び予備試験過去問を徹底的に繰り返しましょう。

なお、予備試験過去問講座に代わるものとして、令和2年予備試験解答速報における解説及び参考答案から、問題文の読み方、科目ごとの答案の書き方、分からない問題が出題された場合の対処法(令和2年行政法で出題された公害防止協定など)、出題の傾向などを把握して頂ければと思います。

令和2年予備試験解答速報(解説及び答案)はこちらのページでまとめて公開しております。

 

予備試験短答式に合格できなかった方々は、令和4年予備試験合格を目指して、短答対策、選択科目対策及び基本7科目の論文対策をすることになります。

〇短答対策

いきなり短答過去問集や肢別本をやり込むという勉強に入るのではなく、合格点に到達しなかった原因をしっかりと分析した上で、自分の個性と試験傾向に合った対策の仕方を考えましょう。

上記の通り、憲法・刑法では、論文知識重視の問題及び読解思考重視の問題が多いですし、民法では価値判断による解法と消去法を併用することで分からない選択肢が複数ある問題でも正解を導けることが少なくありません。こうした、問題の傾向と解法を踏まえて、短答試験対策として有効な勉強をして頂きたいと思います。

下四法では、短答知識重視の問題が大部分ですから、短答過去問集や肢別本のやり込み(人によっては、六法全書の素読)を中心とした勉強をすることになります。過去問集をやる場合、ある程度、やり込む問題を絞った方がいいと思います。ここまで過去問が蓄積されてくると、全部の問題をやり込むことには無理があると思います。無理に全問やろうとすると、1問1問の復習が雑になり、選択肢の正誤を判断するために必要とされる条文・判例等の知識及び解法ではなく、選択肢の表現とその正誤を記憶するという間違ったやり方に陥ってしまう危険もあります。

私は、繰り返し解く短答過去問を2分の1から3分の2くらいまで絞っても構わないと思います。その際には、①正答率だけでなく、②出題範囲の重なりも考慮しましょう。①だけだと、特定の分野・条文・論点が手薄になってしまうおそれがあるからです。

①正答率については70~80%を基準とし、②重要度の高い分野・条文・論点(例えば、刑法の因果関係)以外については同じことが問われている問題はやらない(あるいは、後回しにする)という方法により、正当率の高い問題で正解することができる分野・条文・論点の幅を広げましょう。

過去問集としては辰已法律研究所のパーフェクト本をお薦めいたします。解説が分かりやすいことは勿論のこと、問題ごとに正答率が書かれている上、全問題が掲載されているため、①に基づく問題の絞り込みがやりやすいです。

〇選択科目対策

令和4年からは予備試験に選択科目も導入されますから、選択科目の対策もして頂く必要があります。

令和4年以降の予備試験論文式の選択科目は司法試験論文式の選択科目と一致する予定です(詳細はこちらの記事でご確認頂けます)。

まだ選択科目が決まっていない方は、選択科目を決める際に、以下の動画の前半部分も参考にして頂ければと思います。

労働法を選択される方には、入門講座である労働法速修テキスト講座2021と論点が網羅された労働法重要問題習得100選講座をお薦めいたします。

労働法速修テキスト講座2021では、インプット講義を[導入編]→[基礎編]→[応用編]という3段階に分けることで、学習段階に合ったレベルの講義を提供することにより、労働法のインプットを完成させます。

以下の動画は、[基礎編]に入る下準備をするための[導入編]の第1回目です。

労働法速修テキスト講座2021(導入編)サンプル

それから、予備試験選択科目では、司法試験過去問が流用される可能性が非常に高いです。もっとも、予備試験選択科目では、司法試験過去問に比べて、問題文がシンプルである上、捻った出題も少ないと思います。そうすると、予備試験選択科目の対策として司法試験過去問までやるのはオーバースペックであると思います。

労働法重要問題100選講座では、予備試験労働法で司法試験過去問が流用されることも踏まえて、司法試験過去問のうち予備試験で流用される可能性がそれなりにあると考えられるものについては、問題文をシンプルなものに修正した上で講座に反映しております。例えば、サンプルとして公開している〔第16問〕〔第80問〕はいずれも司法試験過去問の問題文をシンプルなものに修正したものです。

従いまして、予備試験対策として司法試験過去問から学ぶべきことは全て、労働法重要問題100選講座から学ぶことができますから、予備試験対策としては「労働法速修テキスト講座+労働法重要問題100選講座」を受講して頂き、予備試験合格後、最後の仕上げとして「司法試験過去問講座」を受講して頂くのがベストな勉強法であると考えます。

〇基本7科目の論文対策

基本7科目の論文対策をする際、科目分・分野ごとの特徴を意識した勉強が足りていない、試験範囲が網羅されている一元化教材がないといった方には、論文試験で必要とされる知識と方法論が集約されている総まくり講座2021を受講して頂くことをお薦めいたします。

さらに、予備試験過去問講座2021も受講して頂き、総まくり講座2021→予備試験過去問の演習・分析という流れで、総まくり講座2021で学習した知識及び方法論を総動員するつもりで予備試験過去問の演習・分析に入って頂くと、インプットとアウトプットの効果を最大化することが可能となります。予備試験過去問を、そこから真新しいことを学ぶためにやるのではなく、本試験レベルの問題の演習・分析を通じて総まくり講座2021で学んだ知識及び方法論の使い方に慣れるとともに、これらの精度を高めるためにやるというイメージです。

なお、最近、予備試験受験生の方から、「総まくり講座2021を受講するべき学習段階」についてご質問を頂くことが多いです。

総まくり講座は、基本7科目について、予備校入門講座又は薄めの基本書1冊を使って、「科目ごとにこういった分野があり、この分野にはこういった条文と論点があり、この論点について判例・通説はだいたいこういった立場である」といったことを一通り学習している方を対象者として想定しております。

例えば、「民法94条2項の類推適用が問題となる場面及び類推適用の3要件」、「会社法における利益相反取引規制の条文番号とその類型」、「民事訴訟法における既判力という概念の意味と、それが後訴に作用する3場面」について脳内でイメージできる状態にあるのであれば、総まくり講座を受講する段階に到達しております。

これに対し、これらを脳内でイメージすることができないのであれば、総まくり講座を受講する段階に到達していませんので、総まくり講座の受講に先立ち、予備校入門講座の受講又は薄めの基本書1冊の通読により、科目ごとの全体像を把握して頂くことをお薦めいたします。あくまでも科目ごとの全体像を把握するためですから、分からないことや細かいことはどんどん飛ばしていただいて構いません。分からないことや細かいことこそ、総まくり講座で補って頂くことでございます。

以下が、お薦めの基本書となります。

憲法  芦部信喜・髙橋和之「憲法」第7版(岩波新書)
行政法 中原茂樹「基本行政法」第3版(日本評論社)
民法  潮見佳男「民法(全)」第2版(有斐閣)
会社法 伊藤・大杉ほか「リーガルクエスト刑事訴訟法」第4版(有斐閣)
民事訴訟法 和田吉弘「基礎からわかる民事訴訟法」(商事法務)
刑法  井田良「刑法入門学・総論・各論」(有斐閣)
刑事訴訟法 緑大輔「刑事訴訟法入門」(日本評論社)

 

加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ
1970.01.01
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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