憲法論文では、まずは、①違憲審査の基本形に関する深く正しい理解と、②人権ごとの定義、保障内容、保障の趣旨といった教科書知識をしっかりと身に付けることが重要です。
違憲審査の基本形とは、保障→制約→違憲審査基準の定立→違憲審査基準の適用(目的手段審査)という枠組みであり、司法試験でも予備試験でも頻出です。
学説が違憲審査の基本形を採用している領域(典型的には、表現の自由、職業の自由など)では、①違憲審査の基本形で「答案の骨格」を作り、②の教科書知識や判例学説は「肉付けの一部」として整理して理解・使用することになります。
これが出来るようになったら、③法人の人権と構成員の人権の衝突、私人間効力、政教分離原則、財産権、生存権、制度形成など、違憲審査の基本形では処理できない場面における違憲審査の枠組みについても勉強していきます。
また、近時の予備試験では、特定の判例を正面から問う問題が出題される傾向が強いです(特に令和1年以降)。
- 令和1年 市立中学校における信仰を理由とする水泳授業の免除の可否(エホバの証人剣道実技受講拒否事件)
- 令和4年 私鉄の労働者の争議行為等の禁止(公務員の争議行為の禁止等に関する各種判例)
- 令和5年 フリージャーナリストによる取材源についての証言拒絶(NHK記者証言拒絶事件)
司法試験では、ほとんどの場合、違憲審査の基本形で処理できる問題が出題されるため、仮に問われている判例知識を使えなかったとしても、違憲審査の基本形に従って検討過程における論点の一部を落とすにとどまりますが、上記の予備試験過去問のように特定の判例を正面から問う問題では、判例知識を使えないと、違憲審査の枠組みレベルところで間違えることになる危険があります。
したがって、予備試験受験生は、司法試験受験生以上に判例知識を身に付ける必要性が高いと言えます。
以上が、憲法の論文学習のコツです。
参考にして頂けたらと思います。
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