民法では、請求と法律要件を意識することが極めて重要です。
民法では、ある人(法人を含む。以下同じ。)からある人に対する請求が認められるかが問題となり、その請求は法律上の根拠(民法206条、415条、709条など)に基づくものでなければいけません。したがって、まず初めに、請求の法律上の根拠を特定する必要があります。
次に、請求の法律上の根拠を出発点として、その請求の法律要件を把握して、法律要件ごとにその充足性を検討することになります。いわゆる論点(判例、学説)は、法律要件の検討過程の一部にすぎません。
これは至って当然のことであり、多くの受験生は、答案練習では自然とできていることだと思います。
もっとも、普段のインプットにおいても「請求→法律要件」という枠組みに従って条文、論点を学習することが出来ている人は、意外と多くありません。どうしても、条文を条文だけとして、論点を論点だけとして見てしまいがちです。しかし、それでは、その条文、論点が登場する場面が良く分からないため、条文や論点を落としてしまったり、仮に条文や論点を拾えてもそれらを正しい位置付けで論じることができないといったことになりがちです。
この意味において、民法では、条文・論点を拾うことができるかと、その条文・論点に辿り着くまでの前提となる論述の仕方(原則論を含む。)でも大きな差がつきます。
ですから、答案練習だけでなく、日頃の条文・論点学習においても、その条文、論点が「どういった請求において、どの要件との関係で」問題になるかということを意識するべきです。
総まくり講座でも、条文・論点が登場する場面・過程を明確に示すために、頻繁に要件事実を反映した法律関係図を示すようにしています。
これは、授業中に受講画面に映し出している基礎応用完成テキストの抜粋です。
私は受験生時代、普段の条文・判例学習の際にも、まとめノートの余白に要件事実を反映した法律関係図を頻繁にメモしていました。これにより、司法試験過去問で出題されていない条文・論点であっても事例から抽出して正しく論じることができる状態にありました。
是非、参考にして頂きたいと思います。
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