加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

0

共謀共同正犯の成立要件

司法試験対策講座を受講させていただいている者です。私は、共同正犯の成立要件について、実行共同正犯、共謀共同正犯共に、①意思連絡、②正犯意思、③一部の者による実行為と理解しているのですが、この認識でよろしいでしょうか。総まくり論証集と少し異なるため気になりました。
ご回答よろしくお願いいたします。

共同正犯の成立要件について質問様のように理解する見解もありますが、それだと、実行共同正犯の場合でも”常に”正犯意思についてまで言及する必要があるため、書きにくいですし、司法試験委員会の理解とも整合しないように思えます(少なくとも、これまでの司法試験の出題趣旨・採点実感・ヒアリング、予備試験の出題趣旨において、実行共同正犯の場合に正犯意思についてまで言及するべきとの指摘は一度もありませんので)。

試験対策としては、”原則として”、実行共同正犯の成立要件は「特定の犯罪を共同遂行する旨の意思連絡という意味での共謀、共謀者全員の共謀に基づく実行行為」、共謀共同正犯の成立要件は「特定の犯罪を共同遂行する旨の意思連絡という意味での共謀、共謀者の一部による共謀に基づく実行行為、正犯性(又は正犯意思)」と理解するべきです。なお、”原則として”という留保があるのは、ある共犯者が意思連絡に基づき実行行為を行ったものの、関与の動機や態様や従属的なものであるために幇助犯どまりとするべきでないという点が問われる可能性もあり、その場合には、実行共同正犯の成立要件として正犯意思を顕在化させたほうが書きやすいからです。

なお、共同正犯の成立要件については、こちらの記事で詳細に説明しておりますので、参考にして頂けますと幸いでございます。

2022年02月14日
講義のご紹介
もっと見る

コメントする

コメントを残す

コメントをするには会員登録(無料)が必要です
※スパムコメントを防ぐため、コメントの掲載には管理者の承認が行われます。
※記事が削除された場合も、投稿したコメントは削除されます。ご了承ください。

加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

kato portrait
加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
質問コーナーのカテゴリ
ブログ記事のカテゴリ