加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

質問コーナー

誤った記述は積極的に減点されるか?

司法試験、予備試験において、誤った記載をした場合、全体として減点されますか。それたも、その部分だけ減点ですみますでしょうか。
なぜこのような質問をしたかと言いますと以下の問題で疑問に思ったからです。
今年の予備試験の民事訴訟法第2問で、「既判力及ぶ→債権者代位権だから債権者同士で反射効→反射効のような制度は明文ないため認めるべきじゃない→とはいえ、必要性から、既判力が他の債権者にも拡張される」と書いた場合、反射効が債権者同士に及ばないのは債権者同士は実体法上依存関係にはないため、明らかであってこの部分が間違いなのですが、これを書いたことが全体として大幅に減点となりますか。仮にならないとしても、その後に必要性から、として明文ないのに認めていることは、論理矛盾として大幅に減点対象となりますでしょうか。
加藤様のお考えをお聞かせいただければ幸いです。

一般論として、司法試験・予備試験の採点方法は、原則として加点方式です。したがって、例えば、配点10点/100点の事項(以下「配点事項A」とします)について完全に誤ったことだけを書いた場合、配点事項Aの配点10点が丸々入らないというだけです。これが原則です。

もっとも、例外として、極端に誤ったことを書いた結果、採点官の印象が悪くなり、他の配点事項について辛めの採点をされる結果として答案全体の点数が下がる可能性があります。採点官の悪印象を通じて、間接的に減点に繋がるということがあるということです。

質問者様の記述は、「既判力が後訴に作用する→債権者代位権だから債権者間で反射効が及ぶかが問題となる→反射効のような制度は明文ないため認めるべきじゃない→とはいえ必要性から、前訴判決の既判力が他の債権者にも拡張される」というものでしょうか?

既判力→反射効→既判力という不自然な流れが気になりますが、反射効自体を否定しているのですから「反射効が債権者同士に及ばないのは債権者同士は実体法上依存関係にはないため、明らかであってこの部分が間違い」ということにはならないと思います。また、債権者代位訴訟において債権者Aが受けた判決の既判力は債務者Bに拡張されることを介して他の債権者Cにも及ぶ(拡張される)と理解されているので、「とはいえ必要性から、前訴判決の既判力が他の債権者にも拡張される」という部分は、少なくとも解釈上の結論としては正しいです。

したがって、大幅に減点されることはありませんし、むしろ、「とはいえ必要性から、前訴判決の既判力が他の債権者にも拡張される」という部分には少なからず点が付くと思います(理由付けはさておき、解釈上の結論としては正しいからです。)。

参考にして頂けますと幸いです。

2021年10月04日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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