加藤喬の司法試験・予備試験対策ブログ

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令和3年司法試験行政法設問1(2)で狭義の訴えの利益の定義まで書くべきか

いつも有益な情報をありがとうございます。
ひょっとすると解答速報の内容と重複するかもしれませんが、今は非公開になっていて(質問者さんとのやり取りの中で、再編集しているものと認識しています。)、この質問を入力する時点で私は速報を見ることができないので何卒ご容赦ください。
今年の行政法の問題に関連する話にのですが、取消訴訟における狭義の訴えの利益の定義(取消訴訟により回復すべき法律上の利益)は、受験生なら書けて然るべきものなのでしょうか?
私は試験中に「狭義の訴えの利益ってどこかに書いてあった気がするけど、あやふやな記憶を辿りながら書くのは怖いなぁ。確か訴えの利益については明確な規範みたいなものは存在しなかったはずなんだよなぁ。」みたいに考えてしまい、「回復すべき法律上の利益」という文言を書けなかったので、ひょっとして相対的に沈んでしまうのではないかと危惧しているのです。

令和3年司法試験解答速報を参考にして頂きありがとうございます。設問1(1)における解説記事として申請権アプローチのことを追加していた際に、一時的に非公開になっていたのだと思います、ご不便おかけすることになり申し訳ございませんでした。

設問1(2)における合格水準(1400番前後)として必要とされる論述事項は、以下の4点であると考えます。

①Bの提訴の目的が自分が本件区画の屋台営業候補者に選定されることにある
②本件区画について屋台営業候補者に選定されるのは1人だけであること(競願関係というキーワード不要)
③本件不選定決定の取消訴訟における取消判決の拘束力(33条1項、2項)の生じ方から、市長による再審査の結果、Cに対する本件選定決定を取り消した上でBを屋台営業候補者に選定するという結論に至る可能性がある
④上記③ゆえに上記①の目的が達成される可能性があるから、訴えの利益が認められる

従いまして、狭義の訴えの利益の定義を書かなくても、ちゃんと合格水準に入ることができます。

なお、競願関係というキーワード、本件不選定決定の取消訴訟における取消判決にはCに対する選定決定を当然に失効させるという形成力(行訴法32条)は生じないこと、取消訴訟の形成力(行訴法32条)によりBに対する本件不選定決定が失効してBに対する申請に対して諾否の応答がなされていない(市長の審査応答義務が果たされていない)状態に戻ることについては、答案で言及できなくても問題なく合格水準に入ります。また、①を答案で明示せずに、②~④を論じる過程で①が前提になっているだけでも、合格水準に入れます。

参考にして頂ければと思います。

2021年05月23日
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加藤ゼミナールは、加藤喬講師が代表を務める予備試験・司法試験のオンライン予備校です。

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加藤ゼミナール代表取締役
加藤 喬かとう たかし
加藤ゼミナール代表取締役
弁護士(第二東京弁護士会)
加藤ゼミナール代表
青山学院大学法学部 卒業
慶應義塾大学法科大学院(既修) 卒業
2014年 労働法1位・総合39位で司法試験合格
2021年 7年間の講師活動を経て、「法曹教育の機会均等」の実現と「真の合格実績」の追求を理念として加藤ゼミナールを設立
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